更新日: 2023.12.13 贈与
2億円稼いだ「頂き女子」が話題だけど、実際いくら税金がかかるの? 2億円は「半分以上」を税金で支払う必要あり!? 金額を試算してみた
このように他人からもらったお金には税金がかからないのか、かかるとすれば一体いくらなのかといった疑問を持つ人もいると思います。
実は、パパ活で得たお金は、「贈与税」と「所得税」の2つに該当する可能性があるのです。本記事では、それぞれ具体的にいくら税金がかかるのか、脱税した場合のペナルティについても詳しく解説します。
執筆者:渡邉志帆(わたなべ しほ)
FP2級
パパ活で受け取った2億円には贈与税がかかる
パパ活によって受け取ったお金は、相手の財産を無償で受け取る「贈与」にあたり、贈与税の対象となり申告が必要となります。まずは贈与税についてみてみましょう。
贈与税とは
贈与税とは、個人から贈与により財産を取得した時にかかる税金です。1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対してかかります。受け取った財産には、現金だけでなく車や不動産なども含まれるため注意が必要です。
贈与税の計算は、図表1のように、受け取った金額に応じて異なる税率が用いられます。18歳以上の人が父母や祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合は特例贈与に該当し計算式が異なりますが、パパ活で得たお金は一般贈与にあたるため、図表1の表が適用されます。
図表1
国税庁 贈与税の計算と税率(暦年課税)
1億円以上の脱税!?
図表1をもとに、1年間で2億円受け取った場合の贈与税を計算してみます。
(受け取った金額)2億円-(基礎控除)110万円=1億9890万円
1億9890万円×(税率)55%-(控除額)400万円=1億539万5000円
2億円に対し、半分以上の金額を税金として支払う必要があり、申告をしなければ脱税となります。
脱税が税務署にバレると重加算税などのペナルティがある
贈与税は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告をしなければなりません。この期間を過ぎたり、もらったお金だからラッキーと思い申告しなかったりすると、ペナルティが課される可能性があります。主なものとして、延滞税、無申告加算税、重加算税などがあります。
なかでも、重加算税については最大で40%の課税割合で加算されるため、本来の納税額に加えるとかなりの金額になります。
パパ活の規模によっては所得税の対象になる
贈与税について解説しましたが、パパ活で得たお金が所得税の対象となる場合もあります。
例えば、1回の食事をするのに1万円、旅行は3万円、月に4回以上は会うなど、具体的なメニューと料金を決めてパパ活をしている場合、一般的に考えると、金銭の対価としてサービスを提供しているとみられるため、事業所得として所得税の対象となる可能性が高いでしょう。
贈与税との違いは、無償で受け取るかどうかにあるといえます。今月の生活費が足りないから10万円振り込んでもらった場合などは、金銭の対価を提供しておらず単に贈与されたものとして、贈与税の対象となります。
贈与税は、贈与額が年間で110万円を超えなければ支払う義務はないのに対し、所得税は年間20万円以上の所得があれば課されます。
なお、現地までの交通費など、活動の際にかかった費用は経費に算入できます。例えば、パパ活で食事などの対価として、1年間で300万円を受け取り、交通費で10万円支出している場合で、基礎控除と社会保険料控除(20万円と仮定)を加味して所得税を計算すると、以下のとおりとなります。
(受け取った金額)300万円-(経費)10万円=(所得)290万円
(所得)290万円-(基礎控除)48万円-(社会保険料控除)20万円=222万円
(課税所得)220万円×(税率)10%-(控除額)9万7500円=(所得税)12万4500円
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脱税は税務署が見逃さない
パパ活女子のもらったお金に対する税金について解説しました。冒頭で紹介した「頂き女子」は、口座に1億円以上の入金があったことが判明しているようです。
これは、たとえ現金手渡しで受け取ればバレない、というわけではありません。例えばパパ側が会社経営をしていて、税務調査を受けた場合、現金で渡した金額を記録していた場合、その理由を調べられる可能性も捨てきれません。
さらに、国税庁は、課税漏れなどに関する情報提供を受け付けており、通報などにより不正の発覚が判明したケースもあるようです。
パパ活でもらったお金もしっかり税申告を
パパ活で得たお金は、贈与税か所得税の対象になる可能性があります。いずれも税額は小さくないですが、脱税した場合のペナルティは大きいです。マイナスなイメージも大きいパパ活ですが、正しく納税すれば個人事業主です。ちゃんと申告して、納税義務を果たしましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税
財務省 加算税の概要
執筆者:渡邉志帆
FP2級