実家の解体で壁から「1000万円」が出てきた! 脱税の「隠し預金」かも? 黙っていても大丈夫? 対応についても解説
配信日: 2024.01.06 更新日: 2024.01.12
本記事では、隠し預金を発見したときの対応について解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
タンス預金で脱税を疑う理由
壁の中に隠してあった現金も含めて、自宅に保管している現金のことを総じて「タンス預金」といいます。タンス預金は一般的に、銀行やATMに行く手間を省く、銀行が潰れた場合に備えてなどの目的で行われますが、今回のタンス預金は明らかに意図的に隠してあったと推測されます。つまり、親の脱税行為を疑ったほうがよいでしょう。
例えば親が事業をしていた場合や副業収入があった場合、その収入を確定申告せずに自宅で保管していた可能性があります。収入を預金口座へ振り込まれては取引の事実がすぐにわかってしまうので、証拠が残りにくい現金取引をしていたのかもしれません。
その他には、親の親(祖父母)からの相続財産を隠しているケースも考えられます。相続財産を少なく申告して、相続税を脱税した可能性もあるかもしれないのです。
親の申告を調べる
まずすべきことは、親の過去の申告内容を調べましょう。相続税の申告書には相続財産の内訳が詳しく記載されているので、1000万円もの現金の記載が漏れていればすぐにわかるはずです。
確定申告での過少申告や、そもそも申告自体していない場合には、複数年にわたって行われている可能性が高いので、申告書を精査するだけではあぶり出せないかもしれません。その場合は税理士に協力してもらう、親の交友関係などから聞き込みを行うなどしてみましょう。覚悟を決めて税務署に調査を依頼するのも方法の1つです。
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修正申告を行うのは相続人
親の脱税の事実が発覚した場合、本来の税金との差額を納めなければならないので修正申告を行います。親の確定申告や相続税申告の修正申告を行うのは相続人(子ども)です。1000万円にもなると複雑な修正内容になることが予想されるので、税理士に依頼することをおすすめします。
黙っていても大丈夫では?
「これまで隠せていたのだから、黙っていても大丈夫」と思うかもしれません。確かに壁の中に入ったままであれば、その可能性は高かったかもしれませんね。ただ、出てきてしまった場合、その現金はどうしますか?
高額な現金を銀行に預け入れれば、税務署の目につくでしょう。不動産を購入しても登記情報から税務署はすぐに発見するはずです。解体工事を行った人たちもその現金を見ているかもしれないので、誰かに話すこともあり得ます。税務署に直接密告されたり、噂が回って税務署に届いたりする可能性もあるでしょう。
また自主的な申告ではなく、税務調査によって脱税が発覚した場合には、加算税も課されますし、悪質な場合には刑事罰もあり得ます。よって「隠し続ける」という判断はおすすめできません。
まとめ
実家の壁から1000万円もの現金が出てきた場合、まずは落ち着いて親の申告状況をチェックしましょう。自分だけでなんとかしようとせず、税理士や税務署の力を素直に借りることをおすすめします。隠し続けようとすると、次は自分の子どもが同じ思いをすることになるかもしれません。自分の代でしっかり終わりにしましょう。
出典
国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士