更新日: 2024.02.13 贈与

親から「貯めてたへそくりあげる」と300万円を渡されました。金額が大きいので、そのまま受け取ると問題になるでしょうか?「無税」にすることもできるのですか?

親から「貯めてたへそくりあげる」と300万円を渡されました。金額が大きいので、そのまま受け取ると問題になるでしょうか?「無税」にすることもできるのですか?
たとえ親であっても個人からの現金贈与は、一定額を超えると贈与税が課されます。これを避けたければ、まとまった金額を受け取る場合は、ひと工夫して節税を図るのが良いでしょう。
 
また、親からの相続を考える時期であれば、相続税との兼ね合いも考えておきたいものです。あわせて解説します。
山田圭佑

執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

年間「110万円」までの贈与には、贈与税はかからない

今回の場合、「300万円を一度に贈与された」という形式をとると、贈与税が課されてしまいます。贈与税の金額は以下の式で計算します。
 
(その年の1月1日~12月31日に贈与を受けた金額-110万円)×税率
 
税率は贈与を受けた金額によって変化しますが、今回は「親から18歳以上の子」に300万円を贈与したケースと設定すると、税率は10%です。
 
(300万円-110万円)×10%=19万円
 
このように300万円を一括で受け取ると、受け取った側に19万円の贈与税が課されます。贈与税には、毎年「110万円」の基礎控除額の枠がありますので、この制度を上手に利用しましょう。今回のケースでは、例えば「3年間に分けて毎年100万円ずつ贈与された」という形式をとることにより、無税で全額を贈与してもらうことが可能です。
 

「贈与契約書」作成のすすめ

実際に贈与を行う際には、「誰が誰に、いつ、どれくらいの金額を贈与した」という事柄などを明示した「贈与契約書」を2通作成して、贈与をした人(贈与者)と贈与を受けた人(受贈者)がお互いに保存しておくと、より安全です。
 
後日、税務署から贈与に関する税務調査が行われた場合に、確実で客観的な証拠として利用できます。
 
また法律上、贈与者と受贈者の双方の合意があれば、贈与は「口約束」だけでも契約が成立しますが、金額が大きくて後ほどトラブルになることが不安な場合は、贈与契約書を作成することで、トラブルを避けることができます。
 

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遠からず相続が発生すると予想される場合は「相続時精算課税制度」の利用も検討

親が高齢であるなどの理由で、遠からず相続が発生すると予想される場合は、相続税との兼ね合いも考えましょう。その際に視野に入れておきたいのが「相続時精算課税制度」の利用です。
 
2024年1月1日より相続税及び贈与税の税制が改正され、相続時精算課税制度を利用する場合は、2024年1月1日以後に贈与により取得した財産に関するその年分の贈与税については、「暦年課税」の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除110万円が控除されるようになりました。
 
この控除制度は今までになかったものですので、毎年定期的に親から子などへ贈与を行っている家庭の場合、以前よりも有利になります。
 
一方で、毎年110万円の非課税枠を利用する暦年課税の方式では、これまでは「相続が発生した年の前の3年間」に行われた贈与が相続税の課税対象となっていましたが、これが段階的に「相続が発生した年の前の7年間」に行われた贈与が相続税の課税対象となっていくため、実質的に増税となります。
 
親の遺産が、相続税が多額に発生するほど潤沢であると思われる場合は、事前に税理士などに相談の上、今後の贈与の計画や制度の選択について慎重に考えていきましょう。
 

まとめ

以上、親からのまとまった金額の贈与を受ける際の注意点について解説しました。
 
親族同士だからと気軽に高額の贈与を行ってしまうと、後でトラブルとなったり、税務署の調査が入って贈与税の追納が必要になったりすることが考えられます。贈与にまつわる制度を正しく理解し、贈与契約書を残すなどしてトラブルを未然に防いでいきましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
 
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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