更新日: 2024.02.21 贈与

子どもが無理して500万円の「レクサス」を購入! 親バカと思いつつサプライズで返済したら「税務署」から連絡が!? 注意が必要な理由を解説

執筆者 : 佐々木咲

子どもが無理して500万円の「レクサス」を購入! 親バカと思いつつサプライズで返済したら「税務署」から連絡が!? 注意が必要な理由を解説
わが子は何歳になっても可愛いものです。子どもが苦しんでいたら、助けたいと思うのは当然でしょう。そのため、子どもが金銭的に困っているときなどは、「代わりに払ってあげよう」と思う人もいるのではないでしょうか。ただ、場合によってはその行動は問題になることもあるのです。
 
本記事では、子どもが購入したレクサスのマイカーローン500万円を親が一括返済してあげたケースを紹介します。本事例では、税務署からお尋ねの連絡が来たようです。なぜ税務署がからむのかについても解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

車のローン返済の肩代わりは贈与になる

人からお金などの財産をもらう行為は「贈与」に該当し、その金額に対して贈与税がかかります。子どものマイカーローンを肩代わりした本記事のケースでも、親から子どもへ500万円の贈与があったと見なされるので、贈与税の申告を行わなければなりません。500万円に対する贈与税は以下のとおりです。なお今回は、親から成人済みの子どもへの贈与となるため、特例税率で計算しています。
 
(500万円-基礎控除110万円)×税率15%-控除10万円=48万5000円
 
子どもは、親にローンを一括返済してもらった年の翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税の申告と贈与税48万5000円の納税をしなければなりませんでしたが、税務署からお尋ねがあったということは、行っていなかったと考えられます。
 

子どものローンを返しただけなのに贈与なの?

「子どもに500万円あげたわけではない。レクサスのローンを支払ってあげただけ」と言う人も中にはいるでしょう。確かに本記事のケースでは、子どもが500万円を直接手にしたわけではありません。しかし、親のお金で子どもが返済しなければならない借金が500万円なくなったので、実質的には親が子どもに500万円あげたことと同じになります。
 

税務署からお尋ねが来た理由

「贈与税申告を行っていなかったから」という理由以前に、なぜ税務署は贈与があった事実を把握しているのでしょうか。それは、税務署には金融機関等に問い合わせを行える法的な権限があるからです。ただ、常に全国民の動きを把握することは不可能なので、ある程度の富裕層や一定以上の金銭が移動された際に目星を付けているそうです。本記事の場合、500万円もの金額が動いたため、税務署に口座情報を追跡されていた可能性が高いでしょう。
 

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500万円に贈与税がかからない方法

贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられているので、毎年1月1日から12月31日までの贈与が110万円以下であれば贈与税はかかりません。つまり、500万円を5年に分けて100万円ずつ贈与すれば、贈与税はかからないということになります。「それではローン返済に苦しんでいる子どもをすぐに助けられない」と言うのであれば、年間110万円を超えない範囲で月々の返済を肩代わりしてあげるという方法もあります。
 
このほか、2500万円までの贈与には贈与税がかからない「相続時精算課税制度」があります。これを利用すれば500万円を一括で贈与したとしても贈与税はかかりませんが、文字通り、相続税を計算する際に、相続時精算課税制度の適用を受けたすべての贈与を含めなければなりません。つまり、贈与税の代わりに相続税がかかるということです。
 
将来的に相続税が発生する可能性があるのであれば、単に課税の先延ばしになるだけという点に注意しましょう。相続税がかからない見込みであれば、2500万円の非課税制度として利用できるのでおすすめです。
 

まとめ

親が子どものカーローンを肩代わりした場合、それは親から子どもへの贈与に該当し、年間110万円を超えた場合は贈与税がかかります。500万円程度であればバレないだろう、などと思う人もいるかもしれませんが、税務署は口座の動きをチェックできるため発見されると考えた方が良いです。
 
親からであっても、贈与を受けた場合には贈与税の申告を忘れないよう気をつけましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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