更新日: 2024.05.16 その他相続
【M&Aコンサルタント監修】中小企業・個人事業主の事業承継は3種類! それぞれのメリット・デメリットを解説
本記事では、事業承継の3つの主要な方法である、親族内承継、親族外承継(社内承継)、M&A(企業の合併・買収)について、その概要とメリット・デメリットについて解説します。また、事業承継全体の流れなども解説しています。
監修:冨永 真哉(とみなが しんや) / RGPコンサルタント
ベンチャーキャピタルでCFOとして適時開示、国内外の投資事業組合の設立運用に携わる。専門はインベスター・リレーションズ。現在までは、事業承継M&Aと統合後プロセスPMIに従事。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
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事業承継とは?
「事業承継」とは、企業の経営権や資産を次世代に引き継ぐことです。
中小企業や個人事業主の事業承継は、経営者の退職、死去、または他の事情で経営を継続できない場合に行われます。事業承継は、単に資産の移転だけでなく、企業のビジョン、価値、従業員の雇用、ノウハウ、負債も含まれます。ここでは、事業承継の目的、全体的な流れ、法的側面と近年のトレンドについて紹介します。
事業承継の重要性と目的
事業承継の重要性は、企業の存続と発展に直結します。企業は既存の大会社からの事業分割や子会社設立といった場合を除くと、創業者が自分の資産若しくは資金援助を受けて創業することから始まります。
創業者は人間である以上、どこかのタイミングで引退し、事業を承継することになります。もしも誰にも承継する気がないのであれば、創業者またはその時点での経営者が引退するタイミングで、その事業を廃業しなければなりません。
事業承継は、適切な計画と実行によって、企業は安定した経営を維持し、市場での競争力を保つことができます。また、承継は従業員の雇用保持や地域経済への貢献にも影響を与えます。
事業承継の概要
事業承継の流れには、後継者の選定、承継計画の策定、法的手続きの完了、そして実際の経営移転が含まれます。このプロセスは通常、数年に渡る計画的な取り組みを必要とします。また、後述する3つの事業承継方法によって、必要な手順は変わります。
事業承継の法的側面
事業承継には税法、会社法、労働法など多岐に渡る法的側面が関わってきます。特に税制面では、承継に伴う税負担を最小限に抑えるための様々な制度が存在します。会社法や労働法を含めた法律上の契約関係、税法上の会計や事業売却の場合には会社の査定など、多方面に渡るため、複数の専門家を入れたチームが必要となります。
国内の事業承継のトレンド
近年、国内外で事業承継は多様化していますが、国内の事業承継のトレンドは次のとおりです。
日本の中小企業では、ほとんどの場合に親族での事業承継が行われてきました。しかし、少子高齢化が進み、どこの中小企業・個人事業主も後継者不足に悩んでいます。ゆとり世代、Z世代などとカテゴライズされていますが、世代ごとの価値観の移り変わりも早くなっており、親子でも価値観に大きな差ができてしまい、親の事業をそのまま継ぐということが減っています。
また、社内で後継者を選ぶ社内承継も有効ですが、経営権まで譲渡するとなると、それまでサラリーマンとして働いていた社員にとって資金面での問題が大きく、こちらも実現することは困難です。
現在増えているのはM&Aによる事業承継で、同業他社、またはその業種に参入しようとしている他業種の経営者、投資先を探している投資家などが買い手として存在しています。ちなみにM&Aとは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称です。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用し、企業を変革し、自社の競争力を高めること)により連携企業との成長、持続可能性への関心の高まりも承継のトレンドに影響を与えています。
事業承継で引き継ぐ経営資源
次に、事業承継で引き継ぐ経営資源の代表的なもの、人(経営権)、資産、知的資産の3つを詳しく見ていきましょう。
1.人(経営権)の承継
人の承継とは、次世代の経営者を選定し、経営権を承継することです。会社であれば代表取締役の交代、個人事業主であれば今の経営者が廃業し、後継者が開業することとなります。
2.資産の承継
資産(財務資源)の承継は、現金、銀行口座、投資、負債など、事業経営を行うために必要な資産を承継することです。これらは企業経営に当然必要な資源で、会社であれば株式の承継を行います。また、個人事業主の場合は、それぞれ個別に承継する必要があります。
3.知的資産の承継
知的資産とは、経営理念、経営者の信用、取引先との人脈、従業員の技術・ノウハウ、といった、目に見えにくい経営資源のことです。見える化がされていないことが多いですが、経験豊富な従業員やその知識の承継は、事業継続のために不可欠です。特に、企業固有のノウハウや業界の専門知識は、同業他社との差別化を維持する上で重要な役割を果たします。
また、経営者の信用や取引先との人脈も容易に引き継げるものではありません。
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中小企業・個人事業主の事業承継方法は3種類
中小企業・個人事業主の事業承継方法は、既に紹介したとおり、親族内承継、社内承継、M&Aの3種類です。この3種類の事業承継方法の基本的な概要と、一般的にそれぞれの方法に適していると言われる企業のタイプ、選択の際に考慮すべきポイントを説明します。
親族内承継、社内承継、M&Aの基本概要
・親族内承継
家族内での経営権の移転を指し、多くの場合は親から子へ承継します。この場合、後継者が早い時期から従業員として働いているかどうかで、承継の負担が大きく変わります。事業に必要な設備機器が個人所有の場合は事業承継の時点では承継せず、相続の際にまとめて引き継ぐこともあります。
・社内承継
従業員による承継を指します。全従業員の中から経営者に適した人材を選び、本人の意思に加えて、承継方法が合致すれば、既に従業員として働いてきた実績があるので、社風や社外・社内の信用、ノウハウなどの承継がスムーズに行える特徴があります。
・M&A
他の企業との合併や買収による承継を意味します。買い手・合併先企業により承継方法は異なりますが、知的資産の承継が一番のネックとなります。
それぞれの事業承継方法に適した企業タイプ
・親族内承継に適した企業タイプ
家族経営の中小企業、個人事業主の事業承継に適しています。特に外部の従業員がほとんどいない場合などは、社内承継という選択肢もなく、親族内承継かM&Aの2択となります。
・社内承継に適した企業タイプ
従業員の能力や意欲が高い企業は、社内承継が適しています。従業員の出世のゴールが会社経営者という意識の社員がいるのであれば、知的資産の承継もスムーズで、その先の世代にも社内承継の意識を高めることができます。
・M&A
利益率が高い、ある程度の従業員数がある、ブランド力が高い、技術力はあるが後継者不足の企業に適しています。買い手側から見ると、親族経営の会社などはトップが変わると誰もいなくなったり、会社への貢献意識が下がる場合もあるので、客観的に有益な数値がある企業を求めており、現在の安定した売り上げ、利益率、ブランド力が重視されます。
事業承継方法を選択する際のポイント
事業承継方法を選択する際は、企業の規模、業種、財務状況、親族・従業員に後継者がいるかどうか、M&Aも検討する場合には高い利益率や他にはないブランド力があるか、といった所がポイントになります。
従業員や顧客、関連業界への影響も重要な判断基準です。
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事業承継方法1:親族内承継とは?
では、ここからは各事業承継方法について、そのプロセスとメリット・デメリットを解説します。
親族内承継のプロセスと構造
親族内承継とは、事業を家族や親族に引き継ぐ方法です。多くの場合は現在の経営者の子が後継者となります。後継者が承継しない場合は、経営者の子の配偶者、経営者の兄弟姉妹や甥・姪などとなります。
親族内承継の場合、まずは家族間・親族間の合意形成から始まります。家族内で承継することが周知の事実だったとしても、次の後継者が経営をしていくには、この家族間・親族間での合意形成を取っておくと、後継者にならなかった、なれなかった候補者にもある程度の納得感が生まれ、内部分裂のリスクを軽減できるでしょう。
後継者の選定は親族内承継の中核をなす部分です。適切な後継者は、事業に対する深い理解と情熱、リーダーシップ能力を持つ必要があります。また、家族間の調和を保ちつつ、経営者としての資質を考慮することも重要です。そして何より、後継者の意思が大切です。
また、できるだけ早い段階で、事業承継をサポートする税理士、弁護士などの専門家に依頼しておきましょう。
現在の経営状況の把握と問題点の洗い出し
次に、現在の経営状況の把握と問題点を洗い出します。現代社会ではあらゆる価値観がものすごい早さで変化しているので、現在のビジネスモデルで利益を確保できるか、市場での自社の立ち位置、ブランド力、資産状況と現在の経営者の個人資産の分離は可能か、といった内容を把握し、問題点を洗い出します。
経営状況の改善
現在の経営状況と問題点を把握したら、より良い状態で事業承継を行えるように、ブランド力の確立、業務効率化による利益率の向上、取引先の選別、といった改善を行います。
この現状把握と問題点の洗い出し、改善は、後継者が中心となり、事業承継後のシミュレーションも兼ねて行います。現経営者がいる状態で行うのであれば失敗があってもフォローが効きますし、アドバイスを受けて実際に経営するという体験をすることができます。
そして、実際に体験してみて、後継者がどうしてもできない、どう頑張っても適性がないという場合には、この段階でしたら後継者を再考することも視野に入れておきましょう。
事業承継計画の策定
事業承継計画を策定する際には、経営戦略、財務計画、売上予測、現経営者・後継者の年齢、後継者教育のスケジュール、資産承継、持ち株の譲渡、個人資産の切り離しなど、多方面に渡る計画が必要です。親族内承継の場合には5年~10年といった長期の計画が可能ですので、段階的な計画を練りこみましょう。
事業承継計画の実行
事業承継計画が完成したら、実行に移します。計画を実行する際には様々なトラブルや想定外のことが起こりますが、後継者が一つ一つクリアしていく度に、経営者としての経験を積むことができます。
事業承継計画の見直し
計画はあくまで計画ですので、数ヶ月ごとに客観的な指標(売上や利益率、課題解決の進捗確認等)を基に現在位置を確認し、最終的な事業承継の完遂を目指しましょう。
事業承継計画の完了
事業承継が完了したら、そこが終わりではなく、新しい経営者のスタートとなります。改めて取引先と良好な関係を保ち、事業を進めていきましょう。
親族内承継のメリット・デメリット
親族内承継のメリット・デメリットは次のとおりです。
親族内承継のメリット
・事業承継の準備期間が確保できる
後継者候補が限られるために早い段階から事業承継の準備ができる
・従業員や取引先の理解を得やすい
日本では中小企業の事業承継は親族内承継が一般的なため、関係者・取引先に受け入れられやすい
・価値観や企業文化を引き継げる
家族経営のため、価値観の共有や企業文化の次世代への引き継ぎが行われやすい
親族内承継のデメリット
・後継者の資質
経営に不向きな後継者が生まれるかもしれない
・親族関係が経営に影響する
親族間の感情的なトラブルが経営に影響するおそれがある
・リソースが限られる
家族間・親族間にリソースが限られてしまい、限定的な発展となる
家族内承継は、社内の人間関係が近いことがメリットにもデメリットにもなり、家庭内不和が事業に影響してしまうこともあります。できるだけ後継者がコミュニケーションを多くとり、一丸となるイメージを作ることが大切です。
事業承継方法2:社内承継とは?
社内承継とは、社内にいる従業員や幹部社員へ事業を引き継ぐことです。社内承継のプロセスは次のとおりです。
次の経営者候補を選出
社内承継では、次の経営者候補を社内から選出します。
この選出には、社内の潜在的リーダーを見極め、育成することが含まれます。最終的に事業承継を実行するまでに、後継者の計画的なキャリア開発とリーダーシップトレーニングが重要な役割を果たします。また、家族内承継よりも候補者が退職や転職でいなくなるリスクが高いので、候補者を複数選出しておきましょう。
次の経営者候補の育成と選定
次の経営者候補の育成には、教育プログラムや実践的な経験を通じて、潜在的なリーダーの能力を伸ばすことが求められます。また、組織内の承認と支持を得られる人物の選定も重要です。
組織内の準備と変化管理
社内承継を成功させるには、組織全体の準備と変化に対する管理が不可欠です。これには、社内コミュニケーションの強化や、変化への適応を促進する文化の醸成が含まれます。また、会社の現状把握、事業承継計画書の作成といった内容は家庭内承継と同様に、現在の経営者が経営者候補と一緒に進められるとベターです。
社内承継で最も大変な経営権譲渡
社内承継で最も大変なことは、経営権の譲渡方法です。通常、経営権の譲渡方法は、後継者が株式を買い取る、後継者に株式を贈与する、株式は譲渡せずに経営権のみ譲渡する(いわゆる、雇われ社長)方法の3つです。
会社の場合は事業承継を受けるには株式の譲渡を受ける必要があります。売買の場合には会社を買い取ることになり、会社規模に応じた資金が必要になります。また、贈与を受けるとしても、贈与税が課税されますので、結局資金が必要となります。
後継者になるまでは、会社の従業員として働いてきた方が、会社を買い取れるだけの資金を持っていることは現実的に難しく、数年かけて買い取りのための資金として給与を増額するか、事業承継税制を活用するか、銀行から資金を借りるといった対策が必要となります。
株式は譲渡せずに、経営権のみ譲渡する方法もありますが、その場合には株主と経営方針が相違した際に自分の方針を貫くことができないおそれがあり、できるだけ避けたい承継方法です。
社内承継のメリット・デメリット
社内承継のメリット・デメリットは次のとおりです。
社内承継のメリット
・社内の知的資産が維持できる
事業の連続性を保ちながら、社内の経験と知識を活用できる
・引き続きスムーズな運営ができる
組織の歴史や業務に精通した人物がリーダーシップを担うことで、次世代も引き続きスムーズな運営が可能となる
社内承継のデメリット
・後継者への引き継ぎ方法が難しい
後継者の資金調達力に限りがあるため、贈与、数年かけての資金捻出、といった対策が必要になる
・現在の経営者親族との関係
少しの行き違いで、トラブルになるおそれがある
既に述べたとおり、社内承継のネックになるのは、後継者が株式を引き継ごうとすると会社規模に応じた資金が必要になり、個人で準備するのが難しいことです。また、現在の経営者の家族や親族が、親族以外の人が経営権を持つことに納得していないと、株主総会などで嫌がらせを受けるおそれもあります。
事業承継をする前に、親族や家族とはコミュニケーションを取り、理解してもらうことが大切です。。
事業承継方法3:第三者企業へのM&Aによる事業承継とは?
事業承継の3つ目の方法は、第三者企業へのM&A(合併・買収)による事業承継です。ここでは上の2つに合わせて、企業買収について解説します。
M&Aによる承継の特徴と流れ
M&Aによる事業承継は、第三者企業との合併や買収を通じて行われる事業承継です。この方法は、企業価値の最大化を目指す場合や後継者不足による事業継続の困難な状況で選択されることが多いです。
後継者不足の会社にとっては、事業が継続し、雇用を守ることもできます。ただし、中小企業のM&Aにおいては、まず売り手側の企業は利益率が高いことがとても重要で、次に、他に真似できないブランド力やノウハウが求められます。
M&Aの売り手側の手順は、M&Aアドバイザーの選定・契約を行い、市場分析、潜在的な買い手先のリストアップ、買い手企業との交渉、合意契約、買収監査、最終契約、情報公開、事業譲渡完了となります。
M&A仲介業者の選定・契約
第三者企業とのM&Aを成功させるためには、経験豊富で優秀なM&A仲介業者を選定することが大切です。
まず何より、自社がM&Aで売り出そうとしていることが周りに知られてしまうと、取引先に影響したり、従業員が退職してしまうことにつながります。従って、機密保持契約を締結した上で、できるだけ買い手企業の情報を多く持っている会社に依頼しましょう。
M&Aの内容を従業員に通知する時に注意すべきこと
買い手側企業との連絡はM&A仲介業者を通して行いますので、売り手側企業の経営者が考えるべきは、従業員へM&Aを通知するタイミングです。会社の評価にもつながりますので、本来は最終段階まで秘匿するのが理想ですが、役職に応じてタイミングを分けるのが一般的です。
経営に深く関わっている役職クラスには合意契約前、各事業部の責任者や役員クラスには合意契約後、一般従業員には最終契約の前後が良いでしょう。買い手側からすると、役員や責任者も込みで買取金額を決めることになるので、あまり遅いタイミングで伝えて退職されてしまうと、買収監査に影響が出てしまいます。
また、一般従業員についても、今後の雇用条件や待遇についての質問も出てくるので、買い手側の責任者などと同席でしっかりと面談することが大切です。
第三者企業へのM&Aによる事業承継のメリット・デメリット
M&Aを利用した事業承継は、特に後継者不足に悩む企業にとって有効な手段です。以下では、主なメリットとデメリットについて解説します。
M&Aによる事業承継のメリット
・現在の経営者は販売利益が手に入る
事業を創業してきた会社が、売買代金として評価されることになる
・新たな資本と技術の導入
M&Aにより、新しい経営陣や資本、技術が導入されることで、事業の拡大や革新が可能となる
・事業の継続性
後継者不足で廃業の危機にある企業にとって、M&Aは事業の継続性を確保する手段となる
・従業員の雇用維持
買収された企業の従業員は多くの場合、そのまま雇用が維持される
M&Aによる事業承継のデメリット
・企業文化の相違
買収によって企業文化が大きく変わることがあり、従業員の不満や抵抗を生じさせるおそれがある
・経営方針の違い
買収後の経営方針が元の経営者と異なる場合、ビジネスモデルの変更や事業方針の変化が発生する可能性がある
・従業員の不安感
M&Aの過程で従業員の不安が高まり、パフォーマンスの低下や離職率の上昇につながるおそれがある
事業承継する流れ
事業承継する流れについて、家族内承継、社内承継、M&Aそれぞれについて改めて解説します。
【事業承継】親族内承継の流れ
(1)引き継ぎの準備:経営状況の確認や承継に向けた課題の把握
(2)円滑な引き継ぎ:親族や従業員、取引先に承継の時期を説明する、後継者の育成、株式・事業用資産の譲渡、経営者保証の解除
(3)引き継ぎ後の成長:補助金や金融支援を利用した経営革新に向けた取り組み
【事業承継】社内承継の流れ
(1)引き継ぎの準備:従業員から後継者の選出、経営状況の確認や承継に向けた課題の把握
(2)円滑な引き継ぎ:親族や従業員、取引先に承継の時期を説明する、後継者の育成、株式・事業用資産の譲渡、経営者保証の解除
(3)引き継ぎ後の成長:補助金や金融支援を利用した経営革新に向けた取り組み
【事業承継】M&Aの流れ
(1)引き継ぎの準備:経営状況の確認や承継に向けた課題の把握
(2)円滑な引き継ぎ:M&A仲介業者との契約、企業価値評価・マッチング、交渉(基本合意・デューディリジェンス等)、株式・事業用資産の買取、従業員への説明、情報公開
(3)引き継ぎ後の成長:補助金や金融支援を利用した経営革新に向けた取り組み
どの方法をとっても、会社の経営状況の確認、承継に向けた課題確認などは共通しており、また、コミュニケーションが重要なことも変わりません。
事業承継を成功させるコツ
事業承継を成功に導くためのコツは以下のとおりです。
1.明確なビジョンと戦略の策定
事業承継を成功させるためには、まず明確なビジョンと具体的な戦略が不可欠です。これは、事業の長期的な目標と達成のための計画を意味します。事業承継計画には、会社の文化、価値観、そして将来の方向性を明確に反映させることが重要です。承継者がこのビジョンと戦略を理解し、共有することで、スムーズな移行と持続可能な成長が可能になります。
2.コミュニケーションと関係者の関与
コミュニケーションは事業承継の成功において重要な要素です。関係者全員がプロセスに参加し、意見を共有することで、不確実性を最小限に抑え、信頼関係を築くことができます。事業承継をどの手段で行うかによって変わりますが、従業員、取引先、そして家族など、事業に関わる全ての関係者とのオープンな対話が求められることには変わりありません。
適切なコミュニケーションを取ることで、後継者への支持を得やすくなります。
3.柔軟性とリスク管理
事業承継は長期に渡るプロジェクトであり、予測不可能な変化を伴うので、柔軟性と効果的なリスク管理が必要です。市場変動、技術革新、外部環境の変化に備えて、柔軟に対応することが重要です。
また、承継計画にはリスク評価を含め、潜在的な問題を早期に発見し解決することが求められます。
4.継続的な評価と調整
事業承継プロセスは静的なものではなく、常に状況の変化に応じて評価し、必要に応じて調整を行う必要があります。定期的なレビューを実施し、目標達成の進捗状況を評価することで、計画の有効性を担保します。
中小企業・個人事業主の事業承継まとめ
中小企業や個人事業主にとって、事業承継は会社の未来を左右する重要なプロセスです。事業承継を成功させるために重要なポイントは、後継者の選定、計画の早期立案、関係者との円滑なコミュニケーション、そしてリスク管理と柔軟性の確保です。これらの要素を適切に組み合わせることで、事業の持続的な成長と安定を図ることができるでしょう。
出典
中小企業庁ウェブさサイト2024年版中小企業白書(令和年5月10日)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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