更新日: 2024.04.24 贈与

貯蓄「1000万円」には手を付けず、年金のみで暮らす予定です。なるべく多くの財産を孫に残すにはどうすればよいでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

貯蓄「1000万円」には手を付けず、年金のみで暮らす予定です。なるべく多くの財産を孫に残すにはどうすればよいでしょうか?
孫のためにお金を残したいと考えてはいるものの、実際にお金を渡す際の税金について気になっている方も多いでしょう。
 
親族であれ、自分の財産を他人に渡す場合は、贈与税がかかります。しかし、贈与する金額や目的によっては、贈与税がかからないケースもあるようです。
 
今回は、50代以上の平均貯蓄額や贈与税の内容、少しでも税負担を減らすための対策について解説します。
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50代以上の金融資産の平均額

金融広報中央委員会が令和5年(2023年)に行った家計の金融行動に関する世論調査によると、50代〜70代の金融資産の平均額は、表1の通りです。
 
表1

二人以上の世帯
50代 1147万円
60代 2026万円
70代 1757万円

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」を基に筆者作成
 
年代により金融資産額にばらつきはありますが、どの年代でも1000万円以上の金融資産があることが分かります。
 

定年退職後は年金だけで生活できるのか?

次は、毎月の年金だけで生活費を賄えるのかを見てみましょう。
 
総務省統計局の「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における平均支出は28万2497円となっています。
 
年金を含む社会保障給付額の平均は21万8441円で、毎月6万4056円の不足金が発生する計算になるため、年金だけでの生活は難しいと考えられます。
 
その不足分を1000万円の貯蓄で補うこともできますが、もし将来的に孫にお金を残したいと考えているのであれば、あまり貯蓄に手をつけずに不足分を賄う方法を考えましょう。
 
例えば、毎月の支出を見直して節約を心がけ、定年後も再雇用やアルバイトなどで収入を得られれば、貯蓄1000万円を維持しつつ、生活を送れる可能性があります。
 

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孫へ貯蓄1000万円の財産を残すには贈与税がかかる

もし、孫に1000万円の財産を渡す場合は、財産を渡す側ではなく財産を受け取った側に贈与税が課せられます。贈与税は、暦年課税と相続時精算課税の2つから選択可能です。
 
それぞれの特徴を表2にまとめました。
 
表2

暦年課税 ・生前贈与の年間(1月1日〜12月31日)の贈与額が基礎控除の110万円を超える場合に支払う税金
・直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与は特例税率、それ以外の贈与は一般税率が適用される
相続時精算課税 ・贈与を受けた財産の累計から2500万円の特別控除額を引いて残った金額に対して課せられる税金
・累計が2500万円を超えると超えた分に対して一律20%の税金がかかる

※国税庁 「贈与税の計算と税率(暦年課税)」「相続時精算課税の選択」基に筆者作成
 

贈与税の負担を軽減する方法

贈与税の負担を軽減させる方法として、「生前贈与」があります。
 
生前贈与とは、財産を所有している方が生きているうちに、自分の財産を他者に無償で与える行為です。生きているうちに自分の財産を贈与して減らしておくことで、亡くなったときに発生する相続税にかかる税金もおさえられます。
 
通常、自分の財産を他者に渡す場合、贈与税がかかりますが、贈与する金額や目的によっては、贈与税がかからないケースもあるようです。
 
例えば、暦年課税を選択したときに利用できる基礎控除110万円を超えない額であれば、贈与税はかかりません。さらに、生活費や教育費、結婚、子育て資金などの目的で贈与される場合は、一定の条件を満たせば非課税となります。
 
ただし、教育費という名目でお金を受け取っていても、違う目的でお金を使用してしまうと贈与税の対象となってしまうため、注意が必要です。
 

孫になるべく多くのお金を残すためには生前贈与で節税対策をする

孫のためにお金を残したいとを考えている方は、生前贈与による節税対策を検討しましょう。
 
生前贈与を行うことで贈与や相続時にかかる税金をおさえられる可能性がありますが、年間贈与額や目的によっては、課税されてしまうケースもあります。
 
生前贈与する際は、贈与する金額や目的に注意しましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]各種分類別データ(令和5年)
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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