更新日: 2024.07.08 贈与

口座に残っている「学資保険」の残りを子どもに渡したい。「贈与税」の対象になるケースとは?

口座に残っている「学資保険」の残りを子どもに渡したい。「贈与税」の対象になるケースとは?
学資保険などを利用してお金を貯め、子どもが大学の入学や結婚など大きな節目を迎えたときに資金として渡そうと考えている方もいるでしょう。
 
保険などを利用して貯めたお金を子どもへ渡すと、金額によっては子どもが贈与税を支払う必要があるようです。なるべく非課税で子どもへ資金を渡したいなら、制度の活用も検討しておきましょう。
 
今回は、親から子どもへ財産を渡した場合に贈与税の対象になるケースとならないケース、また結婚資金を渡すときに利用できる制度などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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親から子への財産の受け渡しで贈与税の対象になるものは?

親子間で金銭をはじめとする財産の受け渡しをすると、状況に応じて贈与税の対象になるケースとならないケースがあります。贈与税の対象になることを知らずに放置していると、本来の納付額のほかに追加で税金を支払わなければならないケースもあるので、確認しておきましょう。
 

贈与税の対象にならないもの

国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)NO.4405贈与税がかからない場合」によると、親子間で財産を受け渡した場合に贈与税の対象外となる例は以下の通りです。


・夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

・直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

・直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

・直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

・個人から受ける香典・花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどの為の金品で、社会通念上相当と認められるもの

など

例えば、子どもの結婚祝いとしてご祝儀を渡した場合は、高すぎる金額でなければ贈与税はかかりません。社会通念上相当であると認められる金額に明確な規定はありませんが、1000万円など一般的に高いとみなされやすい金額は贈与税の対象になる可能性があります。不安な場合は、一度専門家へ相談することも選択肢の一つです。
 

贈与税の対象になるもの

基本的に、贈与税の対象外に当てはまらない財産の贈与で、基礎控除額である年間110万円を超えていれば贈与税は発生するようです。学資保険の満期保険金も例外ではなく、親が自分で貯めてきた満期保険の受取人を子どもにしていた場合、金額が110万円を超えていると子どもは受け取った年に贈与税の納付が必要です。
 
また、子ども名義の口座を親が管理してお金を入れていた場合も、子どもが受け取ったときに贈与税が発生する可能性があります。親が管理している子ども名義の口座は「名義預金」と呼ばれ、名義が子どもであるだけで、実際の所有権は親にあると見なされるためです。
 
贈与税の対象にならないよう子ども名義の口座を作るときは、作った時点で管理も子どもに任せましょう。
 

贈与税の対象にならずに結婚や子育て資金を渡したいなら制度を活用する

学資保険の満期で受け取るお金を子どもに渡すと贈与税の対象になりますが、保険ではなく国の制度を活用して子どもの口座にお金をまとめて入れると、贈与税の対象にはなりません。
 
「父母などから結婚 ・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」と呼ばれ、金融機関で正式な手続きを踏んでいると、令和7年3月31日まで両親や祖父母などの直系尊属から最高1000万円までは非課税で子どもへお金を渡せます。
 
ただし、非課税が適用されるのはあくまで結婚や子育て費用として使われた場合のみです。例えば、子どもが制度用の口座から引き出したお金を娯楽や投資に使用すると、目的外での使用と見なされ贈与税がかかる可能性があるので注意が必要です。
 

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贈与税の対象になったときは税金を支払う

もし子どもに渡した学資保険のお金が贈与税の対象になった場合は、期限内に申告をして納付しましょう。贈与税は贈与された金額によって税率が異なっています。
 
例えば、成人済みの子どもへ親が満期金500万円を渡すとすると、税率は15%、控除額は10万円です。贈与税は48万5000円を支払う必要があります。なお、成人済みの子どもへお金を渡す場合と未成年の子どもへお金を渡す場合では、税率が異なるため注意が必要です。
 

学資保険を子どもに渡すと贈与税の対象になる可能性がある

贈与税は、直接教育費や生活費として渡した場合や特定の制度を活用した場合などを除いて、親子間の受け渡しであっても110万円を超えていれば税金の対象です。子ども名義の口座を親が管理していた場合も贈与税の対象となるため、注意しましょう。
 
もし贈与税の対象にならずに教育資金や結婚資金を渡したいのであれば、制度を活用した贈与が有効です。例えば、結婚や子育て資金だと制度を活用することで最大1000万円までを非課税で子どもへ渡せます。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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