更新日: 2024.07.08 贈与
父が「タンス預金が5000万円ある」と言ってるけれど、バレなくても申告って必要なんですか?「脱税」とみなされる場合もあるんでしょうか…?
本記事では、タンス預金は申告する必要があるのか、現金のまま持っているならバレないのかなど、タンス預金の概要について解説します。
執筆者:梅井沙也香(うめい さやか)
FP2級
タンス預金とは
タンス預金とは、まとまった額の金銭を銀行などの金融機関ではなく自宅等に現金として保管することです。
「タンス預金」と言っても保管場所はタンスに限らず、押し入れや金庫などに保管している場合でもタンス預金と呼ばれます。口座凍結などの心配がなく、必要なときにATMなどに行かなくても現金を使用できるところが魅力です。
資産を現金で保管するタンス預金は、金融機関のようにお金の流れが記録されないため、「税務署に申告しなければ税金対策になる」と思われることがあります。しかし、タンス預金は税金対策にはならないため注意しましょう。
タンス預金はなぜ税金対策にならないのか、以下で解説していきます。
タンス預金も場合によっては申告が必要
タンス預金も、相続や贈与など、金銭の動きがあった場合には銀行預金などと同様に申告が必要です。
現金として手元に置いておくタンス預金でも、収入として手元にきた時点で所得税の申告をしているはずなので、タンス預金で現金を保管していること自体に問題はなく、タンス預金をしているという理由だけで申告をする必要はありません。
しかし、相続や贈与の際は、銀行預金でも現金でも税金がかかることに変わりはなく、相続された際は相続税、贈与された際は贈与税がかかるため、そういった金銭の動きがある場合はきちんと申告しましょう。
タンス預金は現金だからバレない?
タンス預金は自宅に現金で保管しているのだから、税務署などに把握されることはないだろう、と考える人もいるかもしれません。しかし、税務署は国税総合管理(KSK)システムにより個人の金銭の流れをあらかた把握しているため、現金であるタンス預金でもバレる可能性は高いでしょう。
国税総合管理(KSK)システムとは、収入を得ることで所得税がかかったり、物を購入することで消費税がかかったりというような金銭の流れを蓄積するシステムのことです。税務署はこれにより、国民一人ひとりの金銭の流れを把握できます。
現金でのお金の動きは記録がないため申告しなくてもバレない、と思われることがありますが、国税総合管理(KSK)システムがあることで、個人の金銭の動きでも不自然な点を見つけ出すことが可能なのです。
タンス預金を相続・贈与された際に申告しなかったことがバレた場合、脱税とみなされて重加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があるため、申告はきちんとするようにしましょう。
相続税対策を検討しておくのがおすすめ
タンス預金が相続税の基礎控除額を超えている場合は、超えた金額分の相続税対策を検討しておくと良いでしょう。
相続税は、基礎控除額の「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えた額に課税されます。例えば、遺産がタンス預金の5000万円のみの場合は、基礎控除額を超えた額、つまり相続人が1人なら1400万円分、相続人が2人なら800万円分に対する相続税対策が必要です。
相続税対策には主に、「生命保険への加入」や「生前贈与の活用」、「不動産の購入」などが挙げられます。
タンス預金を含む遺産の総額を考慮して、相続税の控除額を超えた金額がある場合は、相続人に適した方法で対策してみましょう。
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まとめ
まとまった金銭を現金として保管するタンス預金では、相続や贈与をする際に申告をする必要があります。
税務署は国税総合管理(KSK)システムで個人の金銭の流れをあらかた把握しており、現金であるタンス預金でも把握されている可能性は高いため、相続などの金銭の動きがある場合はきちんと申告をしましょう。
タンス預金を含む遺産の総額が、相続税の基礎控除額である「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合、超えた金額に相続税が課せられます。
タンス預金の額が大きい場合など遺産の総額が多いようなら、生命保険に加入するなど相続人に適した方法で相続税の対策をしておくことがおすすめです。
出典
国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき
財務省 国税総合管理(KSK)システムの概要
執筆者:梅井沙也香
FP2級