更新日: 2024.07.12 遺言書

【無効になるとどうなる?】きちんと遺言書を準備していても「無効」になることってありますか? 無効になったらどうなるのでしょう?

【無効になるとどうなる?】きちんと遺言書を準備していても「無効」になることってありますか? 無効になったらどうなるのでしょう?
相続対策として、遺言書の作成を検討される方もいらっしゃると思います。遺言書の作成は、遺産分割対策として有効です。しかし、遺言書をきちんと準備していたつもりでも、無効となる可能性はあります。
 
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。本記事では自筆証書遺言について、無効になるケース、無効になったらどうなるのかについて解説します。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

自筆証書遺言の方式に不備があると無効になる

自筆証書遺言について、民法第968条では以下のように規定しています。
 

(自筆証書遺言)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
出典:e-Gov法令検索「民法」

 
この条文は自筆証書遺言の作成について規定したものであり、この条文に則して作成していない遺言は無効となります。
 

民法に違反すると無効になる

上記以外にも遺言が無効となるケースがあります。例えば、以下のようなケースです。
 

・遺言の内容が不明確である
・2名以上の方が共同で作成している
・遺言能力・意思能力がない方が作成している
・公序良俗に違反している

 
遺言の内容は、「誰に何を相続させる」というものであり、具体的に記載しなければなりません。例えば、単に「預金を息子に相続させる」「不動産を娘に相続させる」といった遺言は、内容が明確ではない(対象が特定できない)ため無効となります。
 
2名以上の方が共同で遺言をすることを「共同遺言」といいます。共同遺言は民法第975条で禁止されているため、共同遺言を行った場合、その遺言は無効となります。
 
民法第961条には遺言能力についての規定があり、「15歳に達した者は、遺言をすることができる」としています。
 
また、民法第3条の2には意思能力についての規定があり、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」としています。したがって、遺言能力・意思能力がない方が作成した遺言は無効となります。
 
民法第90条には公序良俗についての規定があり、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」としています。例えば、不貞相手に全財産を相続させるといった内容の遺言は、公序良俗に違反するとして無効となります。
 

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遺言が無効なら相続人同士で遺産分割協議を行う

遺言が無効になった場合、遺言は初めからなかったものとみなされます。遺言がない相続においては、遺産分割は相続人同士の話し合いで行います。これを「遺産分割協議」といいます。
 
遺産分割協議の内容は、「遺産分割協議書」にまとめます。遺産分割協議書に決まった書式はありませんが、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。添付書類として相続人全員の印鑑証明書を添付し、全員が1部ずつ保有します。
 
遺産分割協議書は相続手続きを行ううえで必要となる書類です。遺言が無効となったときは、必ず作成するようにしましょう。
 

まとめ

相続対策として、遺言書を作成することは大切です。しかし、書類に不備があったり、内容が違法なものであったりした場合には、遺言は無効となります。遺言が無効となった場合、相続人間で遺産分割協議を行うことになります。
 
遺産分割協議の内容は遺産分割協議書にまとめ、相続人間でそれぞれ保有します。遺産分割協議書は相続手続きの際に必要な書類ですので、大切に保管しておくようにしましょう。
 
相続において、最もトラブルになりやすいのは遺産分割です。遺産分割対策として効果的なのが遺言書の作成です。遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があり、最も作成しやすいのは自筆証書遺言かもしれません。
 
しかし、自筆証書遺言の方式は民法で定められており、遺言書に不備があった場合、遺言書は無効となってしまいます。遺言書が無効となってしまえば、せっかくの遺産分割対策も意味がありません。
 
そうならないために、自筆証書遺言の方式をよく確認するほか、公正証書遺言を作成する、遺産分割についてよく話し合っておくなど、別の対策を検討してみるのもよいかもしれません。
 

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 民法
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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