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更新日: 2024.07.26 その他相続

65歳の夫が急逝。死後に“借金”が判明したので「相続放棄」を考えています。その場合、「遺族年金」も受給できなくなってしまいますか? 受け取れるお金もあるのでしょうか…?

65歳の夫が急逝。死後に“借金”が判明したので「相続放棄」を考えています。その場合、「遺族年金」も受給できなくなってしまいますか? 受け取れるお金もあるのでしょうか…?
相続放棄すると故人の財産をいっさい相続できなくなりますが、遺族年金など今後の生活に関わるお金まで受給できなくなると困りますよね。この記事では、毎月約16万円の老齢年金を受け取っていた夫が亡くなったとき、妻や子どもが相続放棄しても遺族年金を受け取れるかについて解説します。
古澤綾

執筆者:古澤綾(ふるさわ あや)

FP2級

相続放棄とは?

相続放棄とは、相続権のある法定相続人が故人の財産の相続を、すべて放棄することをいいます。借金などのマイナス財産だけでなく、預貯金などのプラス財産もすべて相続できなくなる点に注意が必要です。一般的には次のような場合に、相続放棄を検討します。
 

・相続財産のうち、プラス財産よりマイナス財産が明らかに多い場合
・相続争いに一切関わりたくない場合

 
最近では実家を相続したくない子世代による相続放棄も増えており、2023年度の「司法統計年報」によると相続放棄は過去最高の28万2785件にのぼります。相続放棄は亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に手続きする必要があるため、スピーディな判断が必要です。しかし、一度相続放棄すると撤回できないため、慎重に進める必要もあります。
 

相続放棄したときの遺族年金の位置付けとは?

前述のとおり、相続放棄すると故人の財産を一切相続できなくなりますが、遺族年金は今後の生活費となる大切なお金です。毎月約16万円(老齢基礎年金約6万円+老齢厚生年金約10万円)の年金を受け取っていた夫が亡くなった場合、受け取れる遺族年金は、妻の年金額などにもよりますが、毎月約7万5000円です。
 
相続放棄では「故人の財産」は一切受け取れなくなりますが、「受取人固有の権利」である遺族年金は、相続放棄していても条件を満たせば受け取れます。
 
また、老齢年金は原則2ヶ月に1度偶数月に支給されるため、亡くなったタイミングによっては、故人が受け取れなかった未支給年金が発生します。未支給年金も遺族の固有財産と位置付けられ、相続放棄していても受け取れます。
 

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相続放棄しても受け取れるお金と受け取れないお金

遺族年金や未支給年金以外にも、受取人固有の権利とみなされて相続放棄しても受け取れるお金があります。ここでは、相続放棄しても受け取れるお金と、故人の財産のため受け取れないお金について紹介します。
 

受け取れるお金

相続放棄しても、遺族の固有財産に該当するお金には、次のようなものがあります。
 

・生命保険金
・遺族に支給される死亡退職金
・香典
・仏壇や神棚などの祭祀財産
・健康保険から支給される葬祭費用や埋葬料

 
生命保険の死亡保険金も受け取れないと思っている人が多いのですが、これは故人の財産ではなく、保険会社との契約により受取人に支払われるお金です。そのため、相続放棄していても受け取れます。
 

受け取れないお金

続いて、相続放棄すると受け取れなくなるお金には次のようなものがあります。
 

・故人の預貯金や不動産
・受取人が故人の保険金や死亡退職金
・高額療養費の還付金(故人が世帯主の場合)
・税金や健康保険などの過払いによる還付金
・故人の未払い給与

 
これらは、明らかに故人のものであるため、相続財産とみなされます。相続財産の場合は、相続放棄した人は一切受け取れません。
 

まとめ

故人に多額の借金がある場合や、相続争いを避けたい場合など相続放棄を検討する場合があります。しかし、相続放棄すると一切の相続財産を受け取れなくなりますが、遺族年金や未支給年金など、相続財産ではなく「遺族の固有の権利」とみなされるお金は受け取れることは覚えておきましょう。
 
遺族年金や生命保険金は、故人が亡くなった後に生活費として利用できる重要なお金です。受け取れるお金と受け取れないお金について知っておくことで、相続についてもしっかり考えておくことができそうです。
 

出典

最高裁判所 令和5年 司法統計年報 3 家事編
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者:古澤綾
FP2級

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