兄弟から遺産を相続すると「税金が高くなる」って本当?5000万円を相続すると、子どもが相続したときと比べてどれくらい変わるの?

配信日: 2024.12.13

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兄弟から遺産を相続すると「税金が高くなる」って本当?5000万円を相続すると、子どもが相続したときと比べてどれくらい変わるの?
自身の兄弟姉妹が亡くなったとき、子どもや両親がいなかったり遺言書で指定されたりしていれば、兄弟姉妹が財産を相続できます。ただし、兄弟姉妹が遺産を相続するときは、子どもや両親と相続税額が異なるため、計算には注意が必要です。
 
今回は、兄弟姉妹から相続をすると税額が高くなる理由や、子どもが相続したときと比べて税額がいくら変わるのかなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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兄弟姉妹から相続をすると税額が高くなる

兄弟姉妹が財産を相続できるケースは次の2パターンです。

・亡くなった本人に子ども(子どもが亡くなっている場合はその子どもの直系卑属)と、直系尊属(両親や祖父母など)がいない
 
・亡くなった本人の遺言書で「兄弟姉妹に遺産を残す」と書かれている

いずれの場合でも、兄弟姉妹が相続したときは、税額が子どもや両親が相続したときよりも高くなります。「相続税額の2割加算」と呼ばれ、亡くなった本人の一親等の血族と配偶者以外には税額が2割加算されるためです。
 
相続税は、最終的に相続をした各人で相続税額を算出するため、それぞれの相続税額を求めたあとに税額控除前の相続税額に2割加算をします。相続税を求める手順は以下の通りです。

1 正味の遺産額(相続財産全体から債務といったマイナスの財産や葬式費用などを引いたもの)から基礎控除額を引く
 
2 1で求めた金額を法定相続分で分け、それぞれで仮の税額を求める
 
3 2の金額を合計し、実際に相続した割合で税額を按分する
 
4 2割加算の対象者は3の金額に対して税額を20%増額した金額を求める
 
5 未成年者控除など該当する税額控除がある場合は差し引いた金額が各人の相続税額

国税庁によると、相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」で求めた金額です。
 

子どもが相続したときと兄弟姉妹が相続したときの税額の差

今回は、本人の子どもと兄弟姉妹が同じ金額を相続したときの税額の差を比較しましょう。条件は以下とします。

・相続財産は合計5000万円で正味の遺産額も同額とする
 
・法定相続人は亡くなった本人の子ども1人もしくは弟1人
 
・基礎控除以外は考慮しない

まず、全額を1人で相続した場合は、基礎控除額が3600万円になります。そのため、1400万円が課税対象です。法定相続人は1人なので先述した手順2では1400万円全額に対する相続税を計算します。国税庁によれば、課税価格が1400万円のときの税額は以下の通りです。

・税率:15%
 
・控除額:50万円
 
・税額:160万円

子どもが1人で相続をする場合は、相続税は160万円です。しかし、弟が1人で相続をすると、子どもとは異なり2割加算が適用されます。そのため、実際に支払う税額は「160万円×120%」で192万円です。子どもが同じ金額を相続した場合と比較すると、32万円高くなります。
 

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亡くなった本人に配偶者がいる状態で兄弟姉妹が相続するときは相続する金額が変わる可能性も

配偶者がいる場合、兄弟姉妹は基本的に配偶者と遺産を分けることになります。法定相続分で分けるなら配偶者に4分の3、兄弟姉妹に4分の1(2人以上の場合は人数分に分ける)です。遺言書に相続の内容が指定してあったり、話し合いで決めたりできるのであれば、法定相続分で分けなくても問題ありません。
 
ただし、遺言書で「兄弟姉妹にすべての遺産を譲る」と書いてあったとしても、配偶者がいるときは全額受け取れない可能性があります。配偶者には「遺留分」といって、最低限相続できる金額が定められているためです。
 
民法第1042条では、兄弟姉妹以外の相続人は直系尊属のみが相続人のときは3分の1、それ以外のときは2分の1を遺留分として受け取れると定めています。そのため、相続財産が5000万円なら2500万円は配偶者の遺留分です。
 
民法第1046条によると、遺留分を受け取れていない場合、遺産を受け取った方に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する権利があります。遺言書通りに兄弟姉妹がすべて遺産を受け取っても、あとから配偶者への支払いが必要になるケースもあるため、注意しましょう。
 

兄弟姉妹は「相続税額の2割加算」が適用されるため税額が高くなる

兄弟姉妹は配偶者や子どもなどと異なり、相続税に対して2割加算が適用されます。もし同じ5000万円の相続だったとしても、今回の試算結果では、子どもと兄弟姉妹では支払う税額は32万円の差です。相続税の計算時には、2割加算の適用を忘れないようにしましょう。
 
また、配偶者がいる場合は相続する金額自体が変わる可能性もあるため、確認が必要です。あとになってトラブルが発生するのを防ぐためにも、亡くなった兄弟姉妹に配偶者がいるときはしっかり話し合った方がよいでしょう。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 財産を相続したとき
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第五編 相続 第九章 遺留分 第千四十二条(遺留分の帰属及びその割合)、第千四十六条(遺留分侵害額の請求)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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