祖母の遺品を整理して売りに行ったところ、全部で50万円になりました。これも「遺産」に含まれますか?
配信日: 2024.12.25
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
遺産とは?
遺産には、現預金や有価証券などの「プラスの遺産」と、借金や未払い金などの「マイナスの遺産」があります。ここでは、プラスの遺産で、相続税が課される財産について確認してみます。
1.被相続人が亡くなった時点において所有していた財産
現預金、有価証券、土地、建物など、金銭に見積もることができるすべての財産が相続税の課税対象となります。したがって、今回のケースである遺品については、相続税の課税対象です。
2.みなし相続財産
被相続人が亡くなったことによって支払われた「生命保険金」や「退職金」などは、被相続人が生前に保有していた財産ではありませんが、みなし相続財産として相続税の課税対象です。
3.被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
相続時精算課税適用財産とは、被相続人から生前に贈与を受けており、かつ贈与税を申告する際に、相続時精算課税を適用していた財産となります。なお、課税価格は、相続時のものではなく、贈与時のものが相続税の課税価格に加算されます。
4.相続開始前7年以内に取得した暦年課税適用財産
被相続人が亡くなった日からさかのぼって7年以内に行われた生前贈与についての財産は、相続税の課税対象となります。このケースでは、相続開始時の価格ではなく、贈与を受けた時の価格が相続税の課税価格です。
どのような人に相続税がかかるのか?
相続とは、亡くなった人の財産などの権利・義務を、遺族などが引き継ぐことです。亡くなった人を「被相続人」、財産などを引き継ぐ人を「相続人」といいます。相続は大きく分けて2種類あります。「法定相続」と「遺言相続」です。
1. 法定相続
民法に定められた相続人の範囲や順位、おのおのの相続分に従って行う相続を「法定相続」といい、相続人になれる人を「法定相続人」といいます。亡くなった人に配偶者がいた場合は、必ず相続人になります、子や親、兄弟姉妹がいる場合には、子が第1位相続人、親が第2位、そして兄弟姉妹が第3位相続人です。
したがって、今回のケースのように孫が相続人になるには、本来相続人になる人(例えば、被相続人の子であり孫の親)が、相続開始時にすでに亡くなっていた場合に、代襲相続が適用され、代わって相続人になることができます。
2. 遺言相続
遺言は、ご自身が亡くなったときに財産をどのように分配するのかなど、自分の最終的な意思を対外的に明らかにするものです。被相続人が生前に作成した遺言書がある場合は、基本的に遺言者の意思に基づいて財産分配が行われます。これを遺言相続といい、今回のケースでは、整理した遺品の金額相当を、課税対象の相続財産として合算し、さらに遺言において、孫に対してどのように資産を配分するかの記載内容があればそれに従います。相続内容や割合が決まってきますし、その相続した金額によっては孫に相続税が発生することもあります。
なお、仮に遺言書に「長男に全財産を与える」と記載されたとしても、民法では「遺留分」を定めています。これは、法定相続人が最低限できる割合が定められており、遺言で示された割合よりも優先されます。
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まとめ
遺産には、プラスの遺産とマイナスの遺産があります。プラスの遺産は、金銭に見積もることができるすべてのものが対象となります。そして、その遺産を引き継ぐのは、法定相続人もしくは、遺言により指定されていた人です。
なお、相続にあたっては、お住まいの税務署もしくは税理士に相談するとよいでしょう。
出典
政府広報オンライン 知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】
国税庁 No.4108 相続税がかからない財産
国税庁 相続税のあらまし
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー