相続放棄したあとに「1億円」の遺産が見つかった!知らなかったのはしょうがないし、放棄の取り消しはできますか?
配信日: 2024.12.28
今回は、相続放棄の取り消しができない理由や、相続放棄をする際の注意点についてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続放棄の取り消しはできない可能性がある
相続放棄をしたあとに多額の財産が見つかっても、基本的に相続放棄を取り消すことはできないようです。裁判所によると、「相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないこと」とされています。
相続放棄をする前に見つかっていた財産だけでなく、相続放棄後に見つかった財産の相続権利も放棄しなくてはなりません。そのため、相続放棄後に1億円が見つかったとしても、自分を除いたほかの相続人で財産を分割することになるでしょう。
相続放棄の撤回は基本的にはできませんが、条件を満たしていれば取り消せる可能性もあります。例えば、民法第95条に「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる」と定められています。「次に掲げる錯誤」の内容は、以下の通りです。
一:意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二:表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
もし相続に関して重大な勘違いをしており、その勘違いによって相続放棄をしたと認められれば撤回が可能です。また、詐欺や脅迫を受けて相続放棄をしたと判断されたときも取り消せる可能性があるようです。
もし上記に該当する場合は、取り消しができるかを専門家に相談してから家庭裁判所へ申し立てましょう。
相続放棄をするにあたっての注意点
相続放棄をする前に、見落としている財産がないかをよく確認しておきましょう。相続放棄後は相続財産を処分したり取得したりといった行為はできません。相続財産に関する権利を一切失っているためです。
相続は、現金や宝石といったプラスの財産のほかに借金などマイナスの財産も引き継ぐことになります。知られていない預金や借金があとから見つかるケースもあるため、購入履歴なども確認しておいた方がいいでしょう。
事前調査で借金が多いようであれば相続放棄をする方が負担も減ります。プラスの財産が多ければ相続放棄をしない方がいいかもしれません。
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相続放棄自体にも期限がある
相続放棄をする場合は、相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に申述しなくてはなりません。3ヶ月を超えると相続放棄の申述ができなくなります。3ヶ月を超えてしまった場合は、財産の相続手続きのほかに必要に応じて相続税の申告を行いましょう。
なお、相続財産があることをまったく知らず、そのことに正当な理由があれば相続を開始してから3ヶ月を超えていても申述できるケースがあります。この場合「相続があることを知った日」から3ヶ月以内が申述できる期限です。
相続放棄は一度行うと基本的には取り消せない
相続放棄とは、相続に関する一切の権利を放棄する制度です。そのため、被相続人に借金があったとしても返済を免れられます。しかし、相続放棄後に多額の財産が見つかっても、基本的には相続はできないとされているため注意が必要です。
ただし、「重大な事実誤認がある」「脅迫された」などの理由で相続放棄をした場合は撤回できる可能性があります。撤回したいときは、専門家に相談しましょう。
自主的に相続放棄をする場合は、申述前にほかにも財産がないのかを確認することが大切です。相続放棄後に後悔しないためにも慎重に決断しましょう。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十五条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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