「生活が苦しい」と言う年金暮らしの親のために、仕送りをしてあげたいです。いくらまでなら贈与税がかからずにすみますか?

配信日: 2024.12.31

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「生活が苦しい」と言う年金暮らしの親のために、仕送りをしてあげたいです。いくらまでなら贈与税がかからずにすみますか?
「年金だけでは生活が厳しい」親を助けるため、仕送りを考えている方も多いでしょう。しかし、「仕送りは贈与税がかかるの?」「いくらまでなら問題ないの?」と、不安になることもあるはずです。本記事では、仕送りと贈与税の関係、そして仕送りをする際の注意点について分かりやすく解説します。
富澤佳代子

執筆者:富澤佳代子(とみさわ かよこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者

1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者として、多様な経歴と専門知識を生かし、「会社のお金」と「家庭のお金」をまとめて相談できるパートナーとして活動している。
 
新卒で警察官としてキャリアをスタートさせ、税理士事務所に6年間勤務した後に独立。多くの企業の経理業務を手がけてきた経験から、企業経理相談や経営分析に精通しており、幅広いコンサルティングや執筆・セミナー活動も行っている。
 
また、警察官時代に培った教育の視点を生かし、若手社員教育や金融教育にも注力。信頼できる「お金の相談役」として、より多くの方の人生に貢献している。

贈与税とは?

贈与税とは、個人から財産を贈与された際に課される税金です。例えば、家や土地、現金を贈与として受け取った場合に適用されます。しかし、年間110万円の基礎控除があるため、この控除額内であれば贈与税はかかりません。
 
そのため、親や家族への支援としての仕送りを行う場合も、この範囲内であれば基本的に問題はないとされています。ただし、仕送りが贈与税の対象になる場合もあるため、注意が必要です。
 

仕送りは贈与になるの?

子どもから親に送る現金が、すべて贈与税の対象になるわけではありません。税法では、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」については贈与税がかからないとされています。
つまり、(1) 扶養の義務のある親に対しての、(2) 日常生活を維持するために必要な範囲の仕送りであれば、基本的には贈与税の対象外です。
 
例えば、親の生活費として毎月一定額を送金する場合や、医療費の支払いを補助する目的で仕送りを行う場合、これらは扶養義務の範囲内であれば、贈与税がかかることはありません。
 

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仕送りが贈与とみなされてしまうケース

一方で、仕送りが贈与と判断されるケースもあります。まず、通常の生活に必要な範囲を超える高額な仕送りを行った場合です。例えば、毎月の生活費を補うために送金していたつもりが、金額が親の生活費を超えていた場合、贈与として扱われてしまうおそれがあります。
 
また、仕送りの使い道にも注意が必要です。仕送りを生活費や教育費として送った場合でも、親がそのお金を預金したり、株式や不動産の購入に利用したりした場合は、贈与とみなされるリスクがあります。仕送りが生活維持に必要な支出に充てられていることが条件であり、それ以外の目的で使われた場合には課税対象となることを覚えておきましょう。
 

仕送りをする際の注意点

仕送りが贈与とみなされないようにするために、いくつかの注意点があります。
 
まず、仕送りが扶養の義務のある親に対して行われることが基本です。親を税法上の扶養に入れることができれば、仕送りは贈与とみなされにくいでしょう。
 
親が税法上の扶養に入るためには、以下の条件を満たす必要があります。
 

(1)年間所得が48万円以下であること

所得が老齢年金だけであれば、65歳以上の方は受け取る年金額が158万円以下の場合に該当します。
 

(2)あなたと生計を一にしていること

一緒に住んでいなくても生活を支えていれば認められる場合があります。
扶養の条件を満たせば、仕送りは「扶養義務の範囲内」とみなされるため、贈与税がかかる不安を減らすことができます。
 
また、仕送りの目的と用途を明確に記録しておくことも重要です。食費、家賃、医療費など、親の生活を支えるための費用として送金していることを示す書類や振込明細を保管しておくとよいでしょう。
 
そして、銀行振込を利用し、仕送りの記録を残すことも大切です。現金手渡しは支援の証拠が残らないため避けましょう。振込時には「生活費」「医療費補助」など、具体的な名目を明記しておくとより安心です。
 

まとめ

贈与税には年間110万円の基礎控除があり、この範囲内であれば贈与税はかかりません。ただし、親への仕送りについては、適切な範囲内であればそもそも贈与税の対象外となります。
 
さらに、親を税法上の扶養に入れることで、仕送りに関する税金の心配を解消できます。仕送りをする際は、金額や用途が扶養義務の範囲内であることを確認し、記録をしっかり残すことで、安心して支援を続けられるでしょう。
 
親への支援が、思わぬ税金のトラブルにつながらないよう、ルールを理解したうえで取り組んでみてください。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 専門用語集 扶養親族
国税庁 高齢者と税(年金と税)
 
執筆者:富澤佳代子
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者

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