ひとり暮らしの父が亡くなった後も、新聞が投函されていることに気が付きました。契約したのは父なのですが、新聞代を払わなくてはいけないのでしょうか?
配信日: 2024.12.31
本記事では、どのような場合に新聞の購読契約を解除できるのか、そして、その手続き方法やトラブル時の対応について解説します。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
どんなときに新聞購読を解約できるのか?
日本新聞協会販売委員会および新聞公正取引協議会は、新聞の途中解約に関する指針として「新聞購読契約に関するガイドライン」を策定しています。以下の3つに該当する場合には、解約できることを定めています。
1. ルールに基づく解約申し出である場合
「契約書面を受け取った日から8日以内」であればクーリングオフ期間中ということで、書面により解約ができます。今回のケースで、父親が契約した新聞購読が、クーリングオフ期間中であることが確認できれば、解約できます。
2. 不適切な契約が行われていた場合
以下の該当する場合には、解約の申し出によって直ちに応じるようになっています。
(1) 威迫や不実告知など、不適切な勧誘を行ったとき
(2) 新聞公正競争規約の上限を超える景品類の提供など、同規約に沿わない販売方法を行ったとき
(3) 契約期間が自治体の定める条例等の基準を超過していたとき
(4) 相手方の判断力が不足している状態で契約したとき(認知症の方など)
(5) 相手方が本人や配偶者以外の名前で契約したとき
今回の父親のケースで上記に該当するものがあれば、契約を解除することが可能です。
3. その他、考慮すべき事情がある場合
購読者の死亡や病気・入院・転居など、解約が合理的と考えられたケースや未成年者の契約であったケースが該当します。今回の場合には父親が亡くなっているので、理由が合理的と判断され解約できます。
新聞購読契約の解約にはお金がかかるのか?
今回のケースは購読者の死亡によるもので、「その他、考慮すべき事情がある場合」に該当すると考えられるので、契約の解約は可能でしょう。
以下、その方法について解説します。
1. 権利義務の移行
父親が亡くなったことで、新聞購読の「契約」は相続人に権利義務が移行します。
2. 手続きの開始
相続人の代表者は、父親が契約した新聞販売店に、契約者である父親が亡くなったこと、そして自分が相続人であることを伝え、以下のいずれかの手続きをする必要があります。
(1) 名義変更
父親が住んでいた場所に相続人が移住し、新聞購読を継続したいなど、今後も、契約内容を引き継ぎたい場合には、契約者の名義を父親から相続人へ変更する必要があります。手続きの際に、購読料の引落口座情報などの必要な変更を行います。
(2) 解約
契約を解除したい場合には、解約の手続きを行います。
ただし、契約内容が定期購読で契約期間が残っている場合には、違約金の発生や期間満了まで解約することができない場合もあります。なお、相続人が相続放棄をしている場合には、権利義務の移行が行われず、新聞購読の契約を引き継ぐ必要がなくなります。その場合には、違約金などの請求をされることはありません。
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まとめ
新聞購読の契約者が亡くなったら、速やかに契約先の新聞販売店に連絡し、名義変更か、解約の手続きをしましょう。ただし、違約金が発生する場合があります。
なお、相続放棄をすれば、新聞購読契約の権利義務の移行が行われず、違約金の支払い義務などは発生しません。
もし、新聞販売店との話し合いがうまく行かずにトラブルになった場合は、お住まいの自治体にある消費者センターなどに相談をするとよいでしょう。
出典
新聞公正取引協議会・日本新聞協会販売委員会 新聞販売のルール
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー