実家に帰省したら、祖母が「税金対策だ」と12月31日と1月1日に「100万円」ずつくれました。1日ずらすことに、何か意味はあるのでしょうか…?
配信日: 2025.01.02
本記事では、暦年贈与で課税となる対象と、「節税対策」として押さえておきたいポイントについて解説していきます。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
暦年課税とは
暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円を超えると、超えた額に対して贈与税が発生するというものです。この贈与税の支払い義務があるのは、財産を受け取った本人となります。また、贈与が行われた関係性が家族間であっても、第三者であっても、同じように課税の対象となります。
課税の対象となるのは1月1日から12月31日まで
暦年課税でポイントになるのが「贈与のタイミング」です。暦年課税は「贈与を受けてから次の贈与までの期間」ではなく、「1月1日から12月31日」の1年間が課税対象となるので、12月31日と1月1日が年をまたぐ贈与であれば、それぞれ異なる年の贈与としてみなされることになります。
つまり、2024年12月31日に渡された100万円は2024年分、翌日でも2025年1月1日に渡された100万円は2025年分の贈与として、別の年の贈与として扱われることになるのです。
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課税対象にならないように気をつけたいポイント
12月31日と1月1日で分けて贈与を受けることで、贈与税を節税することができますが、次のポイントに注意しましょう。
「贈与日」を明確にしておく
贈与税は、贈与が成立した日に課税されます。例えば「12月31日に100万円の贈与を受けたけど、1月1日にまとめて200万円入金した」という場合、通帳の履歴上は、1月1日に200万円の贈与があったとみなされてしまうこともあります。
面倒でも贈与を受けた日に、その都度入金して「いつ」「いくら」もらったかを分かるようにしておくと安心です。
定期贈与と判断されることも
毎年定期的に贈与を約束していることを「定期贈与」といいます。定期贈与では、数百万円あるいは数千万円といったまとまった金額を、年ごとに分割して渡しているもので、定期贈与と判断されると、毎年の贈与額ではなく、その総額に対して贈与税が課される可能性があります。
贈与が定期贈与ではなく、あくまで「毎年その都度行われている」ことを証明するために、「贈与契約書」を作成することも検討しましょう。契約書に日付や金額、贈与者・受贈者の署名を明記してその年ごとに作成することで、その年におこなわれた贈与が「暦年課税における贈与」であることを形に残しておくことができます。
贈与の対象は「現金」だけじゃない!
暦年贈与の対象は現金だけではありません。「財産」すべてが課税の対象となっています。そのため、1年間のうちに現金の他に「宝石」や「車」など価値のある財産を譲り受けた場合は、その価値に相当する金額も、現金に上乗せして計算されます。
その総額が110万円を超えてしまうと、超えた分が課税の対象となるのです。1年間のうちに大きな贈与を受けた場合は、単独で判断するのではなく、現金やその他の財産をトータルで計算しておくようにしましょう。
まとめ
12月31日と1月1日にまたいで贈与をおこなうことで、贈与税の節税につなげることができます。しかし、「日にちを分けて受け取ったから、大丈夫」ではなく、「その年の暦年課税贈与」であることを証明するためにも、贈与の日にちを明確にしておいたり、契約書の作成をおこなったりするようにしましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級