住まいの終活、トラブルにならないために事前に知っておきたいこと
配信日: 2020.02.04
執筆者:中田真(なかだ まこと)
CFP(R)認定者、終活アドバイザー
中田FP事務所 代表
NPO法人ら・し・さ 正会員
株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師
給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP(R)資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
https://nakada-fp.com/
なぜトラブルが発生するのか
相続人が複数いる場合、相続する財産が預貯金であれば、相続人で振り分けるのは難しくありません。しかし不動産では、預貯金のように簡単に分けられない場合があるなど、分け方でトラブルになるケースがあります。
不動産の相続トラブル回避につながる知識として、事前に知っておきたい民法における相続について、確認してみましょう。
相続の順位
相続する順位は、以下のとおり民法で規定されています。
【相続する順位】
配偶者: 常に相続人となります
第一順位: 子
第二順位: 直系尊属(父母・祖父母など)
第三順位: 兄弟姉妹
例えば、被相続人に配偶者と子(第一順位)がいれば、相続人は配偶者と子になります。しかし、子がいない場合で直系尊属である父母(第二順位)が亡くなっていなければ、相続人は配偶者と父母です。子がいない+父母も亡くなっているが兄弟姉妹(第三順位)がいる場合は、相続人は配偶者と兄弟姉妹ということになります。
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相続する割合
相続する割合(法定相続分)についても、以下のとおり民法で規定されています。
【相続人と相続する割合(法定相続分)の例】
配偶者のみ: 配偶者100%
配偶者と子: 配偶者2分の1、子2分の1(全員で)
配偶者と父母: 配偶者3分の2、父母3分の1(全員で)
配偶者と兄弟姉妹:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1(全員で)
上記のように、相続人に該当する人が複数いる場合は、民法で規定されている割合で財産を相続することになります。ただし、遺言書がある場合はその内容に従ったり、遺産分割協議によって相続財産が分割される場合もあります。
不動産の相続でトラブルになる主なケース
不動産の相続でトラブルになる例として最近多いのが、子どものいない夫婦で、不動産の名義人である夫(兄弟姉妹がいる)が亡くなった場合です。
夫婦の間では、夫が亡くなった後、妻が自宅を相続して引き続き住むということになっていましたが、相続人である兄弟姉妹が自宅の権利(相続割合4分の1)を主張してくるというケースです。
民法における相続について知らなかったことで、夫婦の間では暗黙の了解となっていたことが実施できなくなる可能性もあります。
ですので、住まいの終活を進めるうえでは、まず民法上の相続人を確認しておきましょう。トラブルが想定される場合は、「自宅は妻に相続する」といった内容の遺言書を作成するなどの対策・準備をしておく必要があります。
まとめ
不動産の相続でトラブルになるケースは少なくありません。トラブルが想定される場合は、住まいの終活を進めるうえで、民法における相続について知っておくことで、事前に対策などをしておくことができるため、トラブルを回避できる可能性が高くなります。
特に、相続人が複数いる場合は、相続人間の関係が必ずしも良好ではない場合がありますので、その点についても十分考慮する必要があります。終活を進めるのであれば、残される人たちの間でトラブルになるのは避けたいですからね。
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー