子どものいない夫婦 あなたが奥さんに全財産を残したいと思ったら? 相続のルールを知っておこう。
配信日: 2020.08.01
遺言書と遺留分の関係を踏まえて、この問題を考えてみましょう。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
法定相続分と相続順位
民法には法定相続分と相続順位が定められています。
(1)配偶者のみが相続人の場合
配偶者が全財産を相続します。
(2)配偶者と第1順位者(子)が相続人の場合
配偶者が2分の1、第1順位者が2分の1を相続します。第1順位者が複数いる場合は2分の1をさらに均等分割します(嫡出子、非嫡出子、養子であるかを問いません)。
(3)配偶者と第2順位者(直系尊属)が相続人の場合
配偶者が3分の2、第2順位者が3分の1相続します。第2順位者が複数いる場合は3分の1をさらに均等分割します。
(4)配偶者と第3順位者(兄弟姉妹)が相続人の場合
配偶者が4分の3、第3順位者が4分の1相続します。第3順位者が複数いる場合は4分の1をさらに均等分割します。ただし、父母の一方のみを同じくする半血兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする全血兄弟姉妹の2分の1とする。
子どものいない夫婦で、父母が存命しない場合でも、兄弟姉妹がいれば彼らに全財産の4分の1相当分の相続権があります。こうしたケースで、あなたの奥さんに全財産を残したいときはどうすればよいでしょうか?
遺言書と遺留分
「遺言書を書けばいいんじゃないか。でも、遺留分があったな」と思った方もいると思います。通常、相続人には遺留分があるので、遺言書で相続分なしとしても、その内容が100%認められるわけではありません。遺留分侵害額請求を受ければ、その相続人の遺留分は支払わなければなりません。
下の表を見てください。相続人には通常、法定相続分の2分の1相当の遺留分が認められています。ところが、兄弟姉妹には遺留分が認められていないのです(「注目」を参照)。あなたが奥さんに全財産を残すという遺言書を残しておけば、そのとおりになります。
これは、兄弟姉妹が亡くなっていて、その子ども(代襲相続人)がいる場合でも有効です。兄弟姉妹の場合でも代襲相続人は認められていますが、兄弟姉妹と同様、その代襲相続人にも遺留分は認められていません。
※筆者作成
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まとめ
奥さん以外に相続人が兄弟姉妹しかいない場合は、「奥さんに全財産を残す」という遺言書を書いておけばよいということになります。
しかしながら、父母が存命している場合、または子どもがいた場合は、「奥さんに全財産を残す」という遺言書があっても遺留分を主張できます。それも覚えておきましょう。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー