更新日: 2020.11.20 相続税
相続税が2割増しになる?相続税額の2割加算制度とその対象者とは
今回は、相続税額の2割加算の制度や対象者などについて解説します。
執筆者:中田真(なかだ まこと)
CFP(R)認定者、終活アドバイザー
中田FP事務所 代表
NPO法人ら・し・さ 正会員
株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師
給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP(R)資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
https://nakada-fp.com/
相続税額の2割加算とは
相続税額の2割加算とは、相続や遺贈などによって財産を取得した人が、特定の相続人に該当する場合、その人の相続税額が2割増しになる(相続税額の2割相当額が加算される)という制度になります。
なお、相続人に相続税額の2割加算の対象者と非対象者がいる場合でも、相続税額が2割増になるのは、相続税額の2割加算の対象者である相続人のみとなりますので、相続税の総額が2割増しになるということではありません。
相続税額の2割加算の対象者
相続税額の2割加算の対象者は、以下の2つの要件を満たす人となります。
・相続、遺贈、相続時精算課税制度にかかる贈与によって、財産を取得した人
・被相続人の配偶者および1親等の血族(代襲相続人となった孫[直系卑属]を含む)以外の人
相続税額の2割加算の主な対象者は、以下の通りとなります。
・被相続人の兄弟姉妹(2親等)
・被相続人の甥、姪(3親等)
・被相続人の孫(2親等)
・被相続人の祖父母
・被相続人の内縁の妻(夫)
また、以下の人については、条件によって相続税額の2割加算の対象者になるか否かが決まることになります。
・被相続人の孫(2親等)
前述の通り、被相続人の孫(2親等)は、相続税額の2割加算の対象者になりますが、被相続人の孫が代襲相続人に該当する場合(被相続人の子が亡くなっていて、孫が相続人となる場合)は、相続税額の2割加算の対象外となります。
・孫養子
孫養子とは、被相続人の養子となった孫のことになります。
原則として、被相続人の養子となった場合、養子は1親等の血族となりますので、相続税額の2割加算の対象外となるのですが、孫養子は、孫養子の親(被相続人の子)が生存している場合は、孫養子(被相続人の孫)が代襲相続人に該当しないため、相続税額の2割加算の対象となり、孫養子が代襲相続人に該当する場合(孫養子の親[被相続人の子]が亡くなっていて、孫養子が相続人となる場合)は、相続税額の2割加算の対象外となります。
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なぜ相続税額の2割加算の制度があるのか
なぜ、相続税額の2割加算の制度があるのかについては、相続税の負担を公平に調整するためであるといわれています。
例えば、親から子、子から孫へ相続されるのが一般的ですが、親から孫への遺贈や、孫を養子にするなどの場合は、相続税の課税を1世代免れる(回避する)ことになりますので、このような場合は、相続税を2割多めに負担することで、相続税の負担を公平に調整していることとなります。
まとめ
相続税対策として、孫を養子にする、生前贈与するなどのケースや、遺言で特定の人に財産を相続させたいケースなどでは、場合によって、相続税額の2割加算の対象になる可能性がありますので、相続税額の2割加算を回避したい場合は、相続税額の2割加算の対象となる要件などについて、十分考慮する必要があります。
[出典]
国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー