更新日: 2021.02.19 相続税
生前贈与の申告期限、もし遅れるとどうなる?
しかし、生前贈与には一定の場合に贈与税が発生し、贈与税には申告期限があります。もし遅れてしまったらどうなるか。生前贈与の申告期限について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
そもそも生前贈与って何?
生前贈与とは、相続税の軽減目的で行われる節税対策の1つです。相続税は亡くなった方の相続財産が高ければ高いほど高額になります。そこで、亡くなる前に少しでも贈与によって財産を減らし、相続税の負担を減らそうというのが生前贈与の趣旨となります。生前贈与には通常の贈与を用いた暦年課税制度と、いったんは非課税だが相続時に精算する相続時精算課税制度の2パターンがあります。
暦年課税制度は贈与が毎年110万円までであれば非課税であることを利用して、毎年財産を110万円ずつ贈与していき、相続時に亡くなった方が保有する財産をできる限り少なくするという最もポピュラーな相続税対策かつ生前贈与になります。
相続時精算課税制度は贈与時2500万円までは贈与税が非課税となるが、実際相続が発生した際には相続税がかかるというものです。
暦年課税制度のように相続財産そのものを少なくする効果はないのですが、相続時精算課税制度においては贈与時の価格を基準に相続税が計算されます。そこに着目し、将来価格が上がることが想定される財産について価値が低いうちに相続時精算課税制度による生前贈与を行い、将来発生する相続税の節税を狙って利用されています。
死亡3年以内の生前贈与はみなし相続財産になる
注意すべき点は、毎年110万円以内であれば必ずしも相続税が発生しないわけではありません。
亡くなった方から死亡の前3年以内に相続人が受け取った財産は相続財産であると見なされ、相続税の対象となってしまうのです。この仕組みは特例的に相続財産と見なして相続税の計算がされることからみなし相続財産と呼ばれています。
このみなし相続財産の仕組みにより、相続税対策で行う生前贈与はできる限り早期に行っておくことが大切なのです。
生前贈与の申告期限は?
生前贈与の申告期限について暦年課税制度の場合と相続時精算課税制度の場合とに分けて説明します。なお、今回は住宅取得等資金の特例といった細かな特例については考慮しないものとします。
暦年課税制度の場合
暦年課税の場合、110万円以下であれば非課税であるため、110万円を超える部分についてのみ生前贈与の贈与税が発生します。暦年課税制度による贈与税の申告期限は例年、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間となっています。
相続時精算課税制度の場合
相続時精算課税制度を利用する場合、贈与された財産のうち2500万円を超える部分について贈与税が発生します。この場合、暦年課税と同様に翌年2月1日から3月15日の間に申告することが求められます。なお、相続時精算課税制度を利用する場合は税務署に対して相続時精算課税選択届出書や贈与された人の戸籍謄本の提出など一定の手続きが必要となります。
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生前贈与における贈与税の申告期限に遅れるとどうなる?
生前贈与による贈与税が期限までに納められない場合、延滞税や無申告加算税が課せられる可能性があります。また、贈与があったことを隠匿したり、贈与税が発生していないかのように偽った場合は重加算税が課されることもあります。
最悪の場合、自身の財産が差し押さえられたり、刑事罰が科されたりすることもあります。
生前贈与の申告期限に間に合わないときは税務署へ相談
生前贈与によって贈与税が発生するとき、申告期限に間に合わないからといって放置してはいけません。税務署に相談することで、状況次第では申告期限を猶予されたり、実際に支払う贈与税の分割を認められたりすることもあるからです。
万が一、生前贈与の申告期限に間に合わない場合や、贈与税を払えないという可能性が出たときは速やかに税務署に相談するようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士