更新日: 2019.01.11 その他保険

1年間に約1400万件の保険契約が? 保険の加入率が高いナゾ

執筆者 : 松浦建二

1年間に約1400万件の保険契約が? 保険の加入率が高いナゾ
日本は生命保険の加入率が高いと言われていますが、どのくらい加入しているのでしょうか?
 
保険の規模を計る指標は契約数や契約高、年換算保険料等いろいろありますが、今回は個人保険と個人年金保険の新契約数について確認してみました。
 
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

個人保険の新契約数は2年連続で減少している

下記のグラフは、生命保険協会の統計資料「生命保険事業概況」と「生命保険の動向」から、会員41社の個人保険の新契約数を合計して、10年間の推移を表したものです。
 

資料:生命保険協会「生命保険事業概況(2013~2017年度)」「生命保険の動向(2012年・2017年版)」
※新契約の件数には転換後契約の件数を含む
 
2017年度の個人保険の新契約数は1728万件で、前年より202万件も減少しています。2017年4月に予定利率を改定した影響がでているようです。過去10年間の推移をみると、2008年度から4年間は増加していて、特に2012年度は345万件も増加し1967万件となっています。その後、一度減少するものの2015年度には1988万件まで増えましたが、直近2年間は減少しています。
 
最も多い年度と少ない年度で600万件もの差があるように、生命保険は社会情勢や金融情勢等の影響を受けて、新契約数がかなり増減します。2012年度以降に件数が増えたのは、2011年3月に東北地方太平洋沖地震が起きたことで、備えの大切さを改めて感じた人が多かったのかもしれません。
 

個人年金保険の新契約数は前年の半分以下!

個人保険の新契約数に続いて、個人年金保険の新契約数もみてみましょう。下記のグラフは、同じく生命保険協会の統計資料「生命保険事業概況」と「生命保険の動向」から、個人年金保険の新契約数の推移を表したものです。
 

資料:生命保険協会「生命保険事業概況(2013~2017年度)」「生命保険の動向(2012年・2017年版)」
※新契約の件数には転換後契約の件数を含む
 
2017年度の個人年金保険の新契約数は88万件で、前年より57%(119万件)も減っています。2016年度は前年より36%(55万件)も増えていることから、その反動もありますが、おそらく2017年4月に予定利率が改定されて、個人年金保険の魅力が半減してしまったのでしょう。2016年度の件数が多いのは駆け込み需要があったのかもしれません。
 
2015年以前は150万件前後で推移していますが、定額年金と変額年金の割合は大きく変化しています。変額年金は2008年度に51万件ありましたが、2011年度は僅か7万件で、2017年度でも15万件しかありません。
 
昨今の個人年金保険は、保険会社から一時払い系の魅力的な商品が登場して、銀行窓販で積極的に推進されれば件数が急増し、売り止めになったり積極的に推進しなくなったりすると急減する傾向にあります。
 
新契約数は個人保険も個人年金保険も前年より大きく減らしていますが、それでも合わせれば1816万件にもなります。日本の総人口(総務省人口推計2017年の10月1日現在の総人口)で割ると7人に1人が新たに契約したことになるので、生命保険は多くの人に必要とされていることがよくわかります。生命保険業界の健全な発展を今後も願いましょう。
 
※新契約数の統計は生命保険協会に加盟している生命保険会社のみで、損害保険会社や共済等は含まれていません。生命保険協会に加盟している保険会社は現在41社ですが、会社数は毎年のように変動しています。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者

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