孫へのプレゼントは「医療保険」!? その意外なメリットとは
配信日: 2020.03.28 更新日: 2020.04.06
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
「医療保険」をプレゼントするってどういうこと?
「保険をプレゼント」と聞いてもイメージが湧かないかもしれませんね。具体的には、祖父母が契約者(保険料を払う人)になって、孫を被保険者(その保険で保障される人)に設定して、保険を契約します。
あまり知られていませんが、医療保険には短期間で一生分の保険料を納めるような支払いプランがあります。祖父母がその保険料を支払い、支払い終わった段階で名義変更をすれば、孫は保険料の負担なしで一生涯の保障を手に入れることができるのです。
なぜ「医療保険」をプレゼントするの?
まどろっこしいことをしているように感じるかもしれませんが、この方法はプレゼントされる側にもする側にもメリットがあります。
●医療保険をプレゼントされる側のメリット
医療保険は、一般的に年齢が若いうちに加入しているほうが保険料は安くなります。途中で保険料が上がらない医療保険なら、加入時の安い保険料のまま一生涯保障され続けるといったことも可能です。
同じ内容の保険でも1歳で加入したら月1000円程度、60歳で加入したら月6000円程度になることもあり、どちらも平均寿命まで生きるとすれば、早くから加入している人のほうが保険料の総支払額は少なくて済みます。
祖父母が契約者ですが、孫が自分で保険を管理できるような年齢になったら名義を書き換えて、孫自身を契約者にできます。孫は保険料負担が一切ないまま、自分が死亡するまで有効な保険を手に入れることができるというわけです。
●医療保険をプレゼントする側のメリット
医療保険をプレゼントすることは、実は「相続税対策」になります。相続税は、一定の金額(3000万円+600万円×法定相続人の数)以上の相続財産がある場合に発生します。
一生分の医療保険の保険料は100~200万円ほどになることが多いですが、この方法で契約することで、将来の相続財産を圧縮できます。
「医療保険」プレゼントの注意点
メリットだけではなくデメリットも紹介しておきましょう。ポイントは、この方法が「まだ生後間もない孫が一生を終えるまで」という、場合によっては100年近い長期間にかけて影響するということです。
今100万円で買えるものが100年後も100万円で買えるかどうかはわかりません。物価がかなり上がっていたら、少額の医療保険ではあまり役に立たないということもありうるかもしれません。社会保障制度が変わるかもしれませんし、保険会社がまだ存続しているのかという問題もありますね。
また、自分の財産額を低く抑えて孫に贈与する、ということができるのがこの方法の特徴ですが、事前に孫の親(つまり自分の子、義理の娘や息子)やその兄弟が知らない状態で行ってしまうと、相続関係でもめるきっかけになってしまうかもしれません。
1人目の孫にプレゼントしたあと、さらにもう1人、2人と誕生して、孫全員分の保険料を支払うことになって、今度は自分の老後資金が減ってしまって困る、ということも避けたいですね。
せっかくのプレゼントなので、あとからトラブルにならないように自分のお財布や家族の状況を見つつ、相談しながら決めるようにしましょう。
保険は「プレゼント」の選択肢の1つ
「保険をプレゼントする」ということは、ほとんどの方にとってなじみがないと思いますが、うまく使えば贈る側にも贈られる側にも役に立つプレゼントとなってくれるでしょう。自分がもし亡くなってしまっても、その保険は解約しない限り一生涯ずっと孫を守り続けてくれます。
万人に有用とは限りませんが、数ある選択肢のなかの1つとして、こういったものもあるということを頭の片隅に置いておくと、いずれ役立つときが来るかもしれませんよ。
(出典)
国税庁「No.4152 相続税の計算」2.相続税の総額の計算
国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」1.暦年課税
アフラック「ライフステージの変化にちゃんと応える医療保険EVER 保険料シミュレーション」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表