新社会人、保険に入る必要はある?知っておきたい保険のこと

配信日: 2021.05.20 更新日: 2021.05.21

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新社会人、保険に入る必要はある?知っておきたい保険のこと
新入社員として働き始め、少しずつ仕事や環境に慣れてきた頃です。若い世代にとっては、死亡・入院・通院・休業など、健康状態の心配ごとは身近なものとして捉えにくいかもしれませんが、年齢に関係なく、万が一の事態に備えておくことは大切です。
 
会社員の場合、社会保険から受けられる保障は、実はなかなか充実しており、それらを加味して保険を考える必要があります。具体的にアドバイスします。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

社会保険について知ろう

私たちの人生には、自分や家族の病気、失業、障害、介護、死亡、事故、火災など、さまざまなリスクが潜んでいます。これらのリスクが起こった場合、大きな経済的損失が生じる可能性があります。
 
これらの経済的損失に備えて、個人が預貯金などで準備することには限界があります。そこで、これら生活上のリスクの一部に対して、社会全体で支えようという仕組みとして社会保険があります。
 
新入社員の方は、初めて給与明細をもらったら、控除項目を確認してみましょう。税金と健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保険料が差し引かれていることに気付くと思います。
 
例えば、健康保険では、病気やケガで病院などの医療機関で治療を受けた場合、窓口で支払うのは治療費の3割ですみます。さらに、月ごとの自己負担額が一定の限度額を超えた場合には、超過分について還付してもらえます(高額療養費)。
 
療養のため働けない場合には、休業4日目から1年6ヶ月間、給料の3分の2が給付されます(傷病手当金)。厚生年金加入者は、老齢年金や遺族年金、障害年金を受け取れます。雇用保険では、失業手当(基本手当)などが支給されます。このように社会保険の保障内容はかなり充実しています。
 

民間保険の種類

社会保険や貯蓄などでカバーできない損失は、民間保険への加入でカバーすることが可能です。民間保険は大きく分けると、「生命保険(第一分野)」と「損害保険(第二分野)」、そして、これらの中間に位置する「第三分野」という3つの分野があります。
 
生命保険(第一分野に)は、被保険者(大黒柱)が死亡したとき、遺された家族に保険金を支払ってくれる死亡保険があります。これには、一定期間保障が受けられる「定期保険」と一生涯保障される「終身保険」があります。死亡保険以外には、契約時に設定した年齢、年金が受け取れる「個人年金保険」もあります。
 
損害保険(第二分野)は、災害や事故など、偶然のアクシデントに対して補償してくれます。例えば、自動車の運転中に他人や他の自動車を傷つけてしまった場合に、損害額を補償してくれる「自動車保険」や、火事で家が焼けてしまった場合などに、建物や家財が受けた損害を補償してくれる「火災保険」などがあります。
 
賃貸の場合、借り主は「家財保険(火災保険)」や「借家人賠償責任保険」に加えて、日常のトラブルに対応する「個人賠償責任保険」も加入するとよいでしょう。
 
第三分野の保険は、病気や不慮の事故による入院や手術などの費用を保障する「医療保険」が代表的です。がんで入院や通院、所定の手術を受けた場合などに給付金が支払われる「がん保険」や、不慮の災害により負傷・障害・死亡した場合に保険金が支払われる「傷害保険」があります。また、病気やケガで働けなくなったときに収入を保障する「就業不能保障保険」などもあります。
 

民間保険に加入する場合のポイント

まず、どのようなリスクに備えるのかを考えましょう。
 
例えば、独身であれば、親を扶養しているなどの事情がなければ、遺族保障を目的とする死亡保険に加入する必要はありません。加入目的が明確でないと、例えば勤務先に営業に来る保険会社の担当者から「社会人になったら保険に入るのは常識」とか「同期の〇〇君も入った」などと勧められるままに死亡保険に入ってしまうかもしれません。
 
次に、社会保険などでリスクがどの程度カバーできるか確認します。
 
例えば、健康に自信がないので、民間医療保険に加入しようと考えたとしましょう。仮に治療費が100万円かかったとしても窓口で支払うのは30万円です。預貯金のほとんどない新入社員にとっては大きな負担です。しかし、高額療養費制度によって、月給27万円未満であれば、5万7600円(月額)を超える部分24万2400円が申請により数ヶ月後に還付されます。
 
事前に「限度額適用認定証」を入手し、健康保険証を併せて医療機関等の窓口に提示すれば、窓口の支払いが5万7600円ですみます。
 
このように健康保険はかなり保障内容が充実しているので、ある程度預貯金があれば民間医療保険に加入する必要はないかもしれない、と判断できます。もっとも、先進医療を受けた場合や差額ベッド代は全額自己負担ですので、これらに備えて先進医療保険特約や医療保険に加入するという考えもあるかと思います。
 

まとめ

民間保険に加入する前に社会保険でカバーされる内容を確認しましょう。その上で、社会保険、貯蓄などでカバーできない経済的損失について民間保険を検討しましょう。
 
なお、生命保険選びは公益財団法人生命保険文化センターの「ほけんガイドWeb(※1)」、損害保険選びは一般社団法人日本損害保険協会の「損害保険Q&A(※2)」が役立ちます。参考までにご覧ください。
 
(※1)公益財団法人生命保険文化センター「ほけんガイドWeb」
(※2)一般社団法人日本損害保険協会「損害保険Q&A」
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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