更新日: 2021.09.15 保険

新型コロナの影響で生命保険会社の収支はどうなったか?

執筆者 : 松浦建二

新型コロナの影響で生命保険会社の収支はどうなったか?
生命保険会社各社の2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算発表がありました。新型コロナウイルス感染症の影響を1年間受けた結果、生命保険会社の業績はどのように変わったでしょうか? 
 
保険会社の保険料等収入と保険金等支払金に着目して全社を確認してみました。
 
松浦建二

執筆者:

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

松浦建二

執筆者:

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

保険料等収入は大手で減少が目立つ

生命保険会社42社の2020年度決算(案)から、最初に保険料等収入を確認し一覧表にしてみました。新型コロナウイルス感染症の影響を知るために、2019年度の数値と前年度比も載せてあります。
 


 
生命保険会社の「保険料等収入」は保険料と再保険収入の合計で、他に「資産運用収益」「その他経常収益」を合算すると経常収益になります。経常収益-経常費用で経常利益を算出できます。
 
2020年度の保険料等収入が最も多いのは日本生命で、1年間で4兆2646億円もあります。2番目の多いのはかんぽ生命(2兆6979億円)、3番目が明治安田生命(2兆3521億円)となっています。
 
1兆円を超える保険会社が9社あり、29社が1000億円を超えています。大手保険会社だと何千万件もの保有契約があるので、保険料収入もものすごい額になります。
 
しかし、2019年度と比べてみると減っている保険会社がかなりあります。かんぽ生命(83.1%)や第一フロンティア生命(86.1%)等は10%以上の大幅減で、保険料等収入が1兆円を超える9社はすべて前年度に比べて減っています。
 
一方で規模の小さい保険会社では多くが増やしています。イオン・アリアンツ生命(477.1%)やはなさく生命(436.5%)等は大幅に増えています。
 
保険料等収入が減少した理由は、日本生命では「銀行窓販チャネル向け商品の販売減」と「営業職員チャネルの販売減」等を挙げています。
 
新型コロナウイルス感染症の感染抑止策として人と会うことを避ける傾向があったことから、日本生命に限らず、対面による保険募集には大きな影響があったようです。
 

保険金等支払金は前年度比で27社が増加

次に生命保険会社42社の2020年度決算(案)から、保険金等支払金を確認し一覧表にしてみました。新型コロナウイルス感染症の影響を知るために、2019年度の数値と前年比も載せてあります。
 


 
生命保険会社の「保険金等支払金」は保険金・年金・給付金・解約返戻金・その他の返戻金・再保険料の合計で、他に「責任準備金等繰入額」「資産運用費用」「事業費」「その他経常費用」を合算すると経常費用になります。
 
保険金等支払金の多くは加入者へ支払うものなので、加入者に死亡や入院・手術、満期、解約等が多いと支払いが増えます。
 
2020年度の保険金等支払金が最も多いのはかんぽ生命で、1年間で5兆8661億円もあります。2番目に多いのは日本生命(3兆8035億円)、3番目が第一生命(2兆3646億円)となっています。1兆円を超える保険会社が7社あり、29社が1000億円を超えています。
 
保険金等支払金が前年度に比べて増えたのが27社、減ったのが15社と割れています。
 
保険金等支払金の中に解約返戻金等も含まれることから、貯蓄性の高い保険を多く取り扱いしていて解約が多かった保険会社や、業績が急拡大したことで支払金が増えた保険会社等が、前年度比で増えていると考えられます。
 
支払金が減った保険会社も多いことから、新型コロナウイルス感染症によって支払いが大幅に増えたとは考えづらいです。
 

保険会社も収支のバランスは大事

保険料等収入と保険金等支払金の両方の数値を見てみると、保険料等収入が多い保険会社は保険金等支払金も多くなっています。多くの保有契約があれば支払いも増えるのは当然な姿です。
 
保険料等収入が多くて保険金等支払金が極端に少なければもうけ過ぎと批判されるかもしれませんし、逆に支払金が極端に多いと経営が成り立ちません。家計と同じように収入と支払い(支出)のバランスが非常に大事といえます。
 
例えば、日本生命は4兆2646億円の収入に対し、支払いは3兆8035億円で「収入>支払い」の状態ですが、かんぽ生命は2兆6979億円の収入に対して支出は5兆8661億円もあり、極端に「収入<支払い」となっています。不適切募集により収入が減り、解約等の増加により支払いが増えていると考えられます。
 
収入より支払いが多い保険会社は、かんぽ生命以外にも8社あります。特に三井住友海上プライマリー生命は9135億円、第一フロンティア生命は4467億円も支払いのほうが多くなっています。
 
収支のバランスは何らかの理由で、1年だけ良かったり悪かったりすることは多々ありますが、悪い状態が何年も続いていると問題です。経常収益と経常費用は資産運用等の影響も受けます。
 
これらの情報は各保険会社の決算資料やディスクロージャー資料に載っているので、気になる人は確認してみると良いです。特に加入している保険会社の決算内容はこの機会に確認してみてください。
 
※保険会社の決算内容は保険会社のホームページに載っています。詳細については各保険会社のホームページで直接確認してください。
 
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者

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