更新日: 2022.05.15 医療保険
そのままで大丈夫? 昔のガン保険と今のガン保険の違い
「何十年も前に加入したガン保険がそのまま」という人は、保険料に不満がなくても、一度見直しておいたほうがよいかもしれません。昔と今でどんな違いがあるのか、何をどう見て確認すべきなのか解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
何がどう違う? ガン保険の変遷
昔のガン保険と今のガン保険、その違いをひと言で表すと「死亡前提→生きる前提」です。数十年前はガンといえば「不治の病」のようなイメージで、かかったら重大なことになる=亡くなるものでした。
そのため、昔のガン保険には「ガンで死亡したとき」にお金を受け取れるものが多いです。それは今と違い、特約(オプション)ではなく、基本保障として必ずセットされているものだったのです。
しかし近年、医療が進歩した結果、ガンはさまざまな治療法が確立されて死亡率が下がり、入院する日数も短くなりました。ガンになってからも、治療して仕事に復帰し、日常を過ごしている人もたくさんいます。
それに合わせて、ガン保険は入院時だけでなく、以下のようなときにも保険金を受け取れるものが主流になりました。
・ガンと診断されたとき
・通院して治療を受けたとき
・手術・放射線治療・抗がん剤治療などを行ったとき
・先進医療を受けたとき
かつて標準仕様だった「死亡時の保険金」は、特約(オプション)として希望者だけがつける形に変わりつつあります。ガン保険はこのように、亡くなったときの生活保障から、生きているときの治療費負担軽減がメインの保険へと移り変わってきたのです。
また、昔のガン保険は、1つの保険契約で本人だけでなく配偶者や子どもも含めてカバーできる「夫婦型」や「家族型」といったタイプが多かったのも特徴です。
しかし「夫婦型」や「家族型」には、夫婦の一方の保障が少なく設定されてしまう、片方しか保険料控除を受けられない、離婚したときに片方の保障がなくなるなど、デメリットもあります。
昔は「家計を支える夫と専業主婦の妻が一生添い遂げる」というのが一般的で、保険もそれに合わせて作られていました。しかし今や共働きの家庭のほうが多数派です。こうした変化から、今では夫婦それぞれが自分の保険に加入する「個人型」が大半を占めています。
まずは自分の保険内容を確認してみよう
ガン保険は、数十年にわたって加入し続ける人も多いものです。加入したときに契約内容の説明を受けていても、時間の経過とともに忘れてしまうこともあるでしょう。
特に、今までずっと健康で契約更新などもなかった人なら、再確認したり見直したりする機会もなく「保険に入ったきりずっとそのまま」ということもあるかもしれません。
ただ、時を重ねるごとに、医療も保険も、自分の生活環境や家計状況も変わっていきます。定期的に見直して、そのとき最も適した内容になるよう調整していけば、「何かあっても安心」を確保し続けられますし、保険料の無駄も省きやすくなります。
年に1回でも、5年に1回でもよいので、今入っている保険内容をまとめてチェックするのがおすすめです。どの会社のどんな保険に入っていて、いつどんなときにいくら受け取れるのか、そのためにいくら保険料を支払っているのか確認してみましょう。
このとき、夫婦間や親子間で互いの保険情報をシェアしておくと、自分に不測の事態が起きても、家族が対応しやすくなります(その逆もしかりで、家族に何か起きたとき自分が対応しやすくなります)。
加入している保険の内容は、保険証券や契約のしおり、定期的に送付される書面などを見れば分かります。最近は保険会社の契約者専用サイト(マイページ)などでも確認できます。
「見方がよく分からない」「謎の特約が付いている」など疑問が出てきたときは、保険会社のコールセンターなどに問い合わせれば、丁寧に教えてもらえるはずです。
最近は、新しい保険に乗り換えなくても足りない部分だけを追加できる、上乗せ用のガン保険なども登場しています。このままで問題ないのか、追加しておいたほうがいいのか、もしくはもう不要になって解約してもよい状態なのか、改めて考えてみましょう。
まとめ
同じ「ガン」という病気でも、昔と今では治療法もその後の回復度も生存率も変わってきています。かなり前に入ったガン保険がそのままになっているなら、一度内容を確認しておくのがおすすめです。
ガン保険は、ガンが発覚したあとだと見直しにくくなります。健康なうちに、家族を巻き込んでじっくり再確認してみてはいかがでしょうか。
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表