更新日: 2022.05.25 生命保険
経営環境の変化に対して生命保険はどんな活用ができるのか? 活用の仕方を解説
本記事では、経営環境の変化に対して、どのようなときに生命保険が活用できるのかを解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
経営環境の変化はどんなものがあるのか
経営環境の変化には、事業が成功して好調なときでも、外的な要因によって経営状況が悪くなることがあります。
例えば、2008年9月に起きたリーマンショックのような世界規模の金融危機や、2011年3月に起きた東日本大震災のような自然災害、そして2020年1月から始まった新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックなどです。
自社の経営状況が好調でも、例に示したような外的要因によって、経営が左右されてしまい、悪くなってしまうことがあります。
生命保険に加入しているとどんな活用ができるのか
生命保険には、保険料を掛け捨てして保障を取るタイプと、保険料の一部を貯蓄するタイプの2つがあります。保険料の一部を貯蓄できる貯蓄型生命保険の場合、経営環境が悪化したときに活用できます。
経営者環境が悪化したときに活用できる内容
貯蓄型生命保険に加入している場合、次の内容を活用できます。
・契約者貸付の活用
貯蓄型生命保険の場合、保険料の一部が貯蓄されているため解約返戻金があります。
契約者貸付は、解約返戻金の範囲内で契約者に対して貸し付けを受けることができます。銀行などの金融機関で借り入れする場合、審査が必要となり、審査が通らなければ借り入れできず、借り入れができても実際に入金されるまでに一定の期間がかかります。
しかし、契約者貸付の場合、加入している生命保険会社に連絡をするだけで対応が可能です。保険商品によって、解約返戻金の70%から90%と幅があり、利率についても銀行よりも低い利率で貸し付けできます。急な出費が必要となった場合に対応ができます。
契約者貸付を活用した場合、貸付した金額を返済しないと、被保険者が死亡した場合に保障がほとんどない状態となります。急な出費に対応ができるものの、必要な保障がなくなるため注意しましょう。
・払済保険という方法
加入している生命保険の支払いが経営を圧迫している場合に取る方法として、払済保険があります。払済保険は、現在の保険料の支払いを中止して、解約返戻金の範囲内で保険期間の同じ生命保険を購入する方法です。
生命保険を解約すれば、経営を圧迫している要因を取り除くことができます。しかし、保障も同時になくなってしまいます。保険料の支払いを中止したいが、保障は残したい場合に活用できます。
払済保険にすれば、保険料の支払いが必要なくなります。しかし、その分保障が小さくなるため、払済保険にする場合、必ず保障金額を確認して納得したうえで行うようにしましょう。
外的要因による経営状況悪化に備えておこう
会社経営は、金融危機や自然災害、感染症の大流行などさまざまな外的要因によって経営環境が悪くなってしまうことがあります。
どんな事態になっても対応ができるように、あらかじめ準備しておくようにしましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 契約者貸付
公益財団法人生命保険文化センター 保険料の払い込みが困難になったときは?
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士