更新日: 2022.06.29 学資保険
子どもの学資保険って必要? “万一リスク”に備えて教育費を準備する方法
教育費の準備手段として学資保険を選択するメリットはあるのか、また、そのほかに手段はあるのかお伝えします。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
学資保険のメリット・デメリット
まずは、学資保険のメリットをお伝えします。
■万一の際の保障
学資保険は“保険”です。したがって契約者に万一のことがあると、その後の保険料を支払うことなく満期金を受け取ることができます。
自分で資金を準備するなら時間がかかり、資金準備中に万一のことが起こってしまうと、教育費の目標額を準備できない可能性があります。しかし、保険ならこの点、大きなリスクにすぐに対応できます。“万一リスク”に備えられることが大きなメリットです。
■生命保険料控除が使える
生命保険料控除が使えるので、節税ができます。
■計画的に教育費を準備できる
簡単に引き出すことができないため、積み立てに強制力が働きます。計画的に資金準備をするのが苦手な方には、おすすめです。
では、学資保険のデメリットにはどのようなものがあるでしょう。
■「増えること」には期待できない
学資保険は、保険料を支払い、教育費が必要な時期に満期金を受け取る仕組みです。したがって、支払った保険料に対して満期金がいくら戻ってくるのか、返戻率の高さが商品選択基準の1つになります。
返戻率は契約者の年齢や子どもの年齢、保険料の支払い方法などによって異なりますが、返戻率が高いといわれている保険でも、良くて105%程度の商品となるのが現状です(2022年6月時点)。
ただし、子どもの年齢や契約者の年齢が上がったり、満期金の受取方法を変更したりすると、返戻率が下がるケースもありますので注意してください。銀行預金より利率は良いかもしれませんが、期待できるほど増えるわけではありません。保険と割り切りましょう。
そのほかにも学資保険は、保険会社の破綻リスクがあることがデメリットとしてあげられます。
学資保険以外の教育費の準備方法
<準備方法1> 自分で積み立てる
預金や投資信託などで積み立てる方法です。
預金にしろ投信運用にしろ、どちらにしても契約者に万一のことがあったとき、必要資金が準備できていないと、進路選択に大きな影響を与えるリスクがあります。資金作りに時間がかかることがデメリットといえるでしょう。
ただし、投信積立なら長期間積み立てをすることによって、増えることも期待できます。
<準備方法2> 終身保険
教育費が必要になる時期に、保険を解約することを前提に、解約返戻金を教育費必要額に設定して終身保険を活用する方法です。
外貨建てや運用によって、保険金や解約返戻金が変化する変額保険等を利用すれば、返戻率が上がる可能性はありますが、自分で運用するより手数料が高くなるほか、保険料全額が運用されるわけではないので、運用面では必ずしも効率的とはいえません。
ただし、万一の際は保険金を受け取れるため、“万一リスク”には備えられます。
教育費の準備方法どれがよい?
教育費の作り方について、学資保険や学資保険以外にどのような方法があるのか紹介しましたが、いずれの方法もメリット・デメリットがあります。それぞれのデメリットを小さくするには、複数の準備方法を組み合わせ、デメリットを補完しながら教育費を準備するのがよいでしょう。
自分に合う方法を2~3つ見つけて、必要な時期に必要額を備えられるよう、早めに準備を始めましょう。
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ