更新日: 2022.12.25 損害保険
シェアサイクリングサービスは自転車保険に加入している? 自分で加入する必要は?
そこで本記事では、シェアサイクリングサービスの自転車保険に関する規制の現状や、シェアサイクル利用時に自分の自転車保険を使えるかどうか、シェアサイクリングサービス利用時の自転車保険に関する注意点をまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
シェアサイクリング事業者の自転車保険加入を義務化する自治体が増えている
現在、国は自転車保険への加入促進に取り組んでおり、国の要請を受けた自治体が次々に、条例などによって自転車保険の加入を義務化しています。義務化の対象は自転車に乗る個人だけでなく、シェアサイクリング事業を営む自転車貸付事業者も対象です。
現在、自転車保険の加入が義務化されている都道府県は、図表1のとおりです。
【図表1】
条例の種類 | 都道府県 |
---|---|
義務 | 宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県、静岡県、岐阜県、愛知県、三重県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
努力義務 | 北海道、青森県、茨城県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、佐賀県 |
出典:国土交通省 道路 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
自転車は子どもから高齢者まで幅広い年齢層が、通勤や通学、日常的な買い物、サイクリングなどさまざまな用途で気軽に利用できる交通手段です。一方では、自転車事故を起こして他人の生命を奪ったり、けがをさせて障害を負わせたりするケースもあとを絶たず、被害者から数千万円もの高額な賠償請求をされる事例が増えている現状があります。
自転車保険に加入していなければ、自転車事故を起こしたときに高額な賠償が自身の経済的負担になるだけでなく、支払えない場合は被害者も経済的な補償を受けられません。そのため、加害者の経済的負担軽減と被害者の保護の両側面から、国や自治体は自転車保険への加入促進に取り組んでいるのです。
シェアサイクルの事故には自身で加入している自転車保険でも対応できる
シェアサイクルで事故を起こした場合、利用者が自分で加入している自転車保険での対応も可能です。シェアサイクリング事業者と保険と自身がともに保険に加入している場合は、補償内容などを比べてより状況に適したほうを利用するとよいでしょう。
ただし、自転車購入時などに取得するTSマークの付帯保険は、シェアサイクリング事業者が加入しているものしか使えません。なぜなら、TSマークは運転者ではなく車両にひも付いた保険のため、事故を起こしたときに乗っていた自転車が加入している保険しか適用できないからです。
そのため、自身の保険でシェアサイクルの事故に対応するには、TSマークではなく運転者ごとに補償するタイプの自転車保険に加入している必要があります。
シェアサイクリングサービス利用時の自転車保険で注意すること
シェアサイクル利用時の事故に備えるためには、自転車保険が必須です。しかし、シェアサイクリング事業者によって保険の加入状況にはばらつきがあるため、利用前にしっかりと確認する必要があります。
主に注意したいのは次の2点です。
●すべての事業者が保険に加入しているわけではない
●事業者が加入している保険の内容によって補償範囲が異なる
すべての事業者が保険に加入しているわけではない
義務化が進んでいるとはいえ、現状ではすべてのシェアサイクリング事業者が自転車保険に加入しているわけではありません。シェアサイクルを利用する前に、事業者が保険に加入しているかどうかを必ず確認しましょう。
シェアサイクリング事業者が保険に加入しておらず自身も未加入の場合は、保険に加入している事業者に変える、自分で自転車保険に加入するといった自衛が必要です。
事業者が加入している保険の内容によって補償範囲が異なる
自転車保険の補償範囲や限度額は、保険商品によって異なります。TSマークだけを見ても限度額が1000万円の種別と1億円の種別があるなど、補償内容に大きな差があるのです。
そのため、シェアサイクリングサービスの利用時には、事業者が入っている自転車保険の補償内容を十分に確認し、内容に不安がある場合はほかの事業者を利用することも考えましょう。
シェアサイクリング利用時は保険の有無・内容を必ず確認しよう
シェアサイクルで事故を起こしたときに、シェアサイクリング事業者が自転車保険に加入しておらず、自身で加入している保険もない場合は、高額な賠償による大きな経済的負担が発生するリスクがあります。また、被害者にも経済的な補償がなされない不安を与えることになるでしょう。
シェアサイクリングサービスを利用するときは、事業者の自転車保険加入状況と補償内容を必ず確認し、十分な補償がある事業者を選ぶのがおすすめです。
出典
国土交通省 道路 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
公益財団法人日本交通管理技術協会 TSマークとは
東京都環境局 自転車シェアリング詳細
東京都 東京くらしWEB とらぶるの芽(No.86) 自転車利用中の対人賠償事故に備える保険に入っていますか
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部