更新日: 2024.06.17 その他保険

入社して2週間で辞めてしまった… 給料の受け取りと社会保険料の支払いはどうなる?

入社して2週間で辞めてしまった… 給料の受け取りと社会保険料の支払いはどうなる?
「入社前に説明されていた雇用条件と違った」「配属先・上司になじめなかった」などの理由で離職を選択する「スピード離職」が話題になっています。
 
例えば2週間でスピード離職した場合、給与や社会保険料の支払いはどうなるのでしょうか? 本記事で解説していきます。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

新入社員のスピード離職が話題になっている

希望の会社に就職できたとしても配属先や上司との折り合いなど、自身が望んでいるビジネススタイルとのギャップが大きく早期に解決できる見込みが薄いことなどを理由として新入社員がスピード離職を選ぶことが話題となっています。
 
スピード離職についての是非はあるものの、その間に働いた分の給与や社会保険料の支払いについては気になるところです。
 
特に新社会人は直近まで学生であったため預貯金が少なく、雇用保険の失業給付も受け取れないため、経済的に余裕がないことが想定されます。スピード離職に際しての収支について事前にしっかりと確認しておきましょう。
 

給与は就労期間に応じて支払いを受ける権利がある

まず給与の支払いについてですが、これは短期間で退職した場合でも雇用契約に沿って就労期間に応じた給与を受け取る権利があります。
 
また、円満退職でないとしても、雇用した会社は定められた給与を支払うのがルールですので給与の支払いについてはひとまず心配はいらないでしょう。
 
もし、就労したにもかかわらず給与が支払われない場合でも、単に振り込み忘れか給与支払日の認識違いの可能性があります。落ち着いて勤務先に連絡して振り込み状況を確認するようにしましょう。
 
しかし、なかには連絡しても支払いに応じないケースも考えられます。こうした場合でも給与の支払いを諦めず、労働基準監督署などの公的機関に相談するなどして支払いを受けられるように対応していきましょう。
 

1日でも就労したら社会保険料を支払う必要がある

社会保険料は、1日でも就労したら保険料を支払う義務が発生します。
 
ひとくちに社会保険といってもさまざまな種類がありますが、会社員が加入する代表的な社会保険は「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」の4つです。
 
このうち、労災保険については全額会社負担なので、スピード離職の場合でも支払いの心配をする必要はありません。これに対して、比較的負担額が大きいのは健康保険と厚生年金の保険料になります。
 
この2つの保険資格は同月特喪(同月内に社会保険の資格取得日(入社日)と資格喪失日(退職日の翌日)があること)になっており、1ヶ月のうち1日でも就労したら1ヶ月の保険料を支払うことになります。
 
また、注意したいのが、健康保険と厚生年金の資格喪失日は「退職日の翌日」になるという点です。
 
退職日を月末にしてしまった場合、翌月も就労したことになりますのでその分の社会保険料も発生するので都合2ヶ月分の社会保険料を負担することになります。スピード離職した場合は、社会保険料の負担により受け取る給与が少なくなってしまったり不足分を支払うよう求められたりするかもしれません。
 
再就職に向けてお金の懸念をできるだけ少なくするためにも給与の支払いと社会保険料の負担額について事前に把握しておきましょう。
 

まとめ~退職後の社会保険はどうなる?~

スピード離職した場合でも給与を受け取る権利がありますが、社会保険料を負担する義務もあります。
 
健康保険と厚生年金の社会保険料は、1ヶ月に1日でも就労すると1ヶ月分の保険料を負担する必要があります。そのため、給与だけでは支払いきれなかった場合、差額が持ち出しとなる恐れがあります。
 
また、退職後は健康保険・厚生年金についてさらに手続きを行う必要があります。
 
健康保険は退職の翌日に資格を喪失するので、健康保険証を利用することができなくなります。すでに転職先が決まっている場合以外はご自身で国民健康保険や国民基礎年金に入るか、配偶者が健康保険や厚生年金に加入しているのであればその扶養に入れるかもしれません。
 
スピード離職は、社会保険料も含めて経済的負担が大きくなる場合がありますので、注意して進めるようにしましょう。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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