更新日: 2024.07.27 生命保険
【保険の契約者貸付】夫の生命保険をもとにお金を借りました。10年前のことなのに、先日「保険が失効する」という手紙が来てビックリ。掛けていた保険料はどうなるんですか?
本記事では、この制度の内容を確認し、留意点を解説します。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
契約者貸付制度とは?
契約者貸付制度とは、契約している生命保険の解約払戻金を担保にして、生命保険会社からお金の貸付けを受けることができる制度です。この制度は、一定範囲内の解約払戻金を担保にしているため、審査を簡略化することができ、契約者貸付を受けている間も保障は変わりなく継続します。
しかしながら、返済状況を確認せずに、返済を怠っていると、生命保険の契約が失効される場合がありますので、注意が必要です。以下、この契約者貸付制度の留意点について解説します。
契約者貸付制度の留意点
1.契約者貸付制度を利用できない保険があります
保険の種類によっては、この制度を利用できません。したがって、生命保険に入っているからといって契約者貸付制度を利用できるとは限らないので、制度を利用する際は、ご自身が加入している保険会社や担当者に確認しましょう。
2.利息は複利で計算されます
貸付金には所定の利息がつきます。その利息は毎年元金に繰り入れられ、元金と利息の合計額は年々ふくらみます。つまり、複利の効果で思った以上に貸付金が増えていることになりかねませんので、返済を滞納することなく、確実に行う必要があります。
また、貸付利率は契約の時期などにより異なりますが、予定利率が高い契約は貸付利率も高くなりますので、注意をしましょう。
3.残高通知を確認しましょう
保険会社から、契約者あてに貸付残高や利息額・返済額などが記された通知が毎年送付されます。上記2でも触れたように、利息は元金に繰り入れられ元利金は年々膨らみますので、残高をしっかり確認し、必要に応じて対策をする必要があります。
もし、返済が難しい場合には、利息のみを返済し、貸付期間を更新するなどの手続きをすることもできますので、生命保険会社に相談をすると良いでしょう。
4.受け取れる保険額が減少することがあります
貸付を受けその後未返済額があった場合に、保険が満期を迎えると、満期保険金から未返済の元金と利息が差し引かれます。また、被保険者が亡くなった場合も同様、死亡保険金から未返済の元金と利息が差し引かれますので注意が必要です。
5.保険契約が失効する場合があります
本記事のタイトルにあるように、「保険が失効する」場合があります。
具体的には、貸付金の元利金合計額が解約返戻金額を超えた場合で、かつ生命保険会社から通知された金額を所定の期日まで払い込まなかったときは、保険契約は失効します。その場合は、せっかくこれまで振り込んだ保険金がムダになってしまいますので、借入金を怠ることなく継続して返済するようにしましょう。
まとめ
生命保険に加入しており、その保険が契約者貸付制度の利用対象であれば、解約返戻金を担保に生命保険会社からお金を借りることができます。しかしながら、利息は複利で計算されるため、返済を怠っていると返済総額が大きく膨らむ可能性があり、借入元利金総額が解約返戻金を超えると「保険契約が失効」することになりかねません。
保険会社から毎年送付される残高通知を確認し、計画的な返済をするようにしましょう。
出典
公益財団法人 生命保険文化センター 契約者貸付
独立行政法人 国民生活センター 生命保険会社から借りたお金の利息がふくらみ、保険契約が失効になると言われた
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー