シングルマザーからの相談「家計は苦しいけど、子どもが心配だから保険に入ったほうが良い?」
配信日: 2020.05.12
児童扶養手当などの給付金や養育費も含めて243万円ですから、家計は楽でないでしょう。収入を増やしたくても子どもがいると働く時間に制約があります。
その一方で、ひとり親であるがゆえに、自分に万一のことがあったらわが子はどうなってしまうのだろうという心配を感じ、相談に来られるシングルマザーもいらっしゃいます。
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
公的な保障はどのくらい受けられる?
まずは公的な制度でどのくらい保障されるのかを知っておきましょう。もしも母親が死亡したら、子どもは18歳になる年の年度末まで遺族基礎年金を受け取ることができます。
母親が厚生年金に加入していれば、遺族厚生年金もプラスされます。遺族基礎年金だけなら月額約6万5000円と決して多い金額ではありませんが、確実に受け取ることができるので、これにプラスする保障の準備を考えれば良いのです。
ただし、母親が年金の保険料を払っていないと子どもが遺族年金を受け取れないので、公的年金制度への未加入は避けましょう。
国民年金の場合、年間約20万円の保険料は大きな負担になると思いますが、収入が少なくて苦しい場合は免除制度(収入によって1/4免除、半額免除、3/4免除、全額免除)もあります。可能なら、厚生年金制度に加入できる働き方を選択すれば、保険料の負担が少し楽になるでしょう。
生命保険を検討するなら
遺族年金だけでは高校までしか保障されないし、金額も不安ということであれば、生命保険を検討してみましょう。子どもが大学を卒業するまでと割り切って、保険期間が短い定期保険や収入保障保険であれば保険料がお手頃なのでおススメです。
例えば、収入保障保険を子どもが大学を卒業する年齢まで月10万円の保険金を受け取る契約を検討してみてはいかがでしょうか。一時金で保険金を受け取る生命保険より、毎月年金のように受け取るタイプのほうが、一気に使ってしまう心配がないメリットもあります。
もちろん、保険金額は多いに越したことはありませんが、万一のときは安心でも普段の生活が苦しくなるのでは本末転倒です。できるだけ家計に無理のないプランを検討しましょう。
子どもの進学費用の準備
家計の事情で進学を我慢させたくないというのは、シングルマザーに限らず親の切実な思いだと思います。昨今、大学や専門学校の進学には思いのほか費用が掛かりますから、できれば進学費用を準備しておきたいものです。
準備方法として多く利用されるのが学資保険です。着実に積み立てることができ、親に万一のことがあれば以後の保険料は払わずに満期保険金を受け取れるので、検討してみてはいかがでしょう。
ただし、学費が足りなければ奨学金を借りるという選択もあります。また、せっかく学資保険を契約したのに、途中で保険料を払うのが苦しくなって解約ということになった場合、一般に払い戻される金額は既払い保険料の合計より少なくなります。
学資保険は確実に18歳まで払い続けることができる契約プランを検討しましょう。
また、最近は学資保険に加入しても、払った保険料の合計額より多い満期保険金を受け取れるメリットが少なく、中には満期保険金のほうが少ないケースもあります。であれば、貯蓄で備えるのも一つです。
つみたてNISAなどを利用するのも良いでしょう。毎月1万円ずつ貯めれば、15年で180万円貯まります。家計が苦しくなったら積立額を減らす、余裕があるときは増やすということもできるので、何かトラブルがあっても安心です。
まとめ
「もしも自分がいなくなったら子どもはどうなるのだろう」と心配するシングルマザーの気持ちはよく分かります。でも、心配し過ぎは禁物。まずは公的な支援制度について知りましょう。その上で、無理のない範囲で保障を検討するのが良いと思います。
また、子どものことも大切ですが、自分のことも大切に考えましょう。女性の人生は長いのですから、長いスパンでライフプランを考えなければなりません。すぐには無理でも、キャリアアップのチャンスを狙う心の準備もしておきたいものです。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者