けがや病気だけじゃない。健康保険や国民健康保険は元気な時にも利用できる!
配信日: 2020.07.23
本稿では本来、病気やケガの時に役立つ健康保険や国民健康保険が、「元気な時」にも利用できることがある、そんな制度を見ていくことにします。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
健康保険や国民健康保険の制度のおさらい
健康保険や国民健康保険は、病気やケガで病院を利用した際、被保険者証を提示すれば医療費の負担が最大3割で済んだり、大きな治療を受けた時には高額療養費制度によって、医療費の負担を軽くしたりできる保険です。
また健康保険に限られますが、療養のために仕事を休み、給料がもらえなくなってしまった場合に、4日目から最大1年6ヶ月の間、傷病手当金を受けることができるという現金給付の制度もあります。
この保険制度を維持するために、健康保険料や国民健康保険料を毎月支払う(あるいは給与天引きされる)ことになっています。
元気な時に利用できる健康保険や国民健康保険
ところで、健康保険や国民健康保険の中には病気やケガに遭わなくても、「元気な時」に利用できる制度を設けている場合があります。「元気な時」に利用でき、身分証明書以外で利用することのできる1つが、保養所です。
例えば、東京都内で国民健康保険に加入している方を対象に、契約温泉施設(※1)があります。
筆者の住む渋谷区では、国民健康保険と後期高齢者医療制度に加入している方を対象に、『保養施設のご案内』というパンフレット(※2)が用意されています。協会けんぽ埼玉支部のホームページには、スポーツクラブの利用(※3)なども載っています。
上記のような「元気な時」に利用できる制度というのは、健康保険や国民健康保険制度の本来の趣旨とは異なるのかもしれませんが、日ごろの疲れを癒やし、英気を養うことで、病気やケガを未然に防ごうということなのかもしれませんね。
留意点
上記のような「元気な時」に利用できる制度というのは、前述のとおり健康保険や国民健康保険制度の本来の趣旨ではありませんので、利用することができるのはすべての被保険者とは限りませんし、加入している健康保険や国民健康保険によっても異なります。
また、上記のような保養所や制度があったとしても、夏季や年末年始の「繁忙期は対象外」という場合もあるようです。
ちなみに、筆者が会社員の時に加入していた組合健保(=健康保険組合)では、加入期間中に保養所がすべて廃止されてしまいました。ご自身が加入している健康保険・国民健康保険のウェブサイトや印刷物などを確認してみましょう。
(※1)東京都国民健康保険団体連合会「契約温泉施設(国保温泉センター)ご利用案内」
(※2)渋谷区「渋谷区国民健康保険・後期高齢者医療制度 保養施設のご案内」
(※3)全国健康保険協会 埼玉支部「メンバーシップ特典サービスについて」
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役