失業したときにもらえるお金ってどんなものがあるの?給付条件や手続きを知っておこう
配信日: 2020.08.30
失業した場合でも生活するためのお金は必要であり、できるだけ給付金などを活用して家計をやりくりする必要があります。失業したときに受けられる給付について、条件や手続きの概要を紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
失業手当とは
失業した際に受けられる給付として「失業手当」があります。職に就けず収入がない状況での失業手当は、家計の大きな助けとなります。
失業手当で受給できる金額は、「基本手当日額」と「所定給付日数」によって決まります。
「基本手当日額」とは1日当たりに受給できる金額であり、離職前の賃金などに応じて50%から80%の割合で設定され、離職時の年齢によって上限が決められています。
「所定給付日数」とは受給できる日数であり、離職の理由と離職時の年齢、勤続年数によって決まり、90日から360日まで幅があります。一般的なケースでは、勤続年数により次のように決められています。
・1年以上10年未満:90日
・10年以上20年未満:120日
・20年以上:150日
しかし、会社の倒産や解雇などで再就職の準備をする時間的余裕がなかった人(特定受給資格者といいます)や、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことで退職した人(特定理由離職者といいます)の一部については、所定給付日数は多くなるように配慮されており、勤続年数が1年未満であっても90日の給付があります。
失業手当の受給条件
失業手当は誰でも受けられるわけではなく、受給するためには大きく2つの条件があります。
1つ目は「失業の状態」にあることです。就職する意思があり、ハローワークで手続きをして求職活動をする必要があります。新型コロナウイルス感染症が広がる中での求職活動は大変な面がありますが、求職活動を止めてしまうと対象外になります。
2つ目は離職した日までの2年以内に、通算12ヶ月以上雇用保険に加入している必要があります。ただし、特定受給資格者または特定理由離職者については、1年以内に通算6ヶ月以上の場合でも対象となります。
失業手当の受給手続き
失業手当を受給するためにはハローワークでの手続きが必要です。
初めに、離職前の勤務先から「雇用保険被保険者離職票」を受け取る必要があります。離職時でなく後日郵送される場合もあります。新型コロナウイルス感染症の影響で事務作業に時間が掛かるケースもあり、離職票をいつ発行してもらえるか事前に確認するとよいでしょう。
その後、住んでいる場所を管轄しているハローワークで申請の手続きをします。マイナンバーカードなどの個人番号を確認できる書類、運転免許証などの本人確認資料、顔写真、印鑑、失業手当を受け取る金融機関の通帳またはキャッシュカードが必要ですので、事前に用意しておきましょう。
失業手当の申請をした後に「雇用保険受給者初回説明会」に出席します。その後、ハローワークで職業相談を受けたり、求人に応募したり、指定のセミナーを受講するなどして求職活動をしますが、月2回以上の求職活動が必要です。
そして、4週間に1回、指定された「失業認定日」にハローワークに行き、失業の認定を受けます。その後、失業手当が指定の口座に振り込まれます。
なお、失業手当の申請から7日間は「待期期間」といい、失業手当が受けられません。また、
自己都合で離職した場合は「給付制限」があり、「待期期間」の後に3ヶ月間失業手当が受けられない期間があります。
家計の状況によっては特例貸付の利用も検討
失業手当の申請をしてから、実際に最初に失業手当が振り込まれるまで、会社都合で離職した場合でも1ヶ月以上の期間があります。
当面の生活費が不足する場合は、緊急小口資金や総合支援資金といった「生活福祉資金の特例貸付」を利用する必要があるかもしれません。なお、「生活福祉資金の特例貸付」の窓口は市区町村の社会福祉協議会です。離職したときの家計の状況を見て、必要であれば貸付制度の利用を検討し、手続きをするとよいでしょう。
出典
総務省統計局 「労働力調査(基本統計)2020年(令和2年)5月分 結果の概要」
ハローワークインターネットサービス 「基本手当について」
ハローワークインターネットサービス 「雇用保険手続きのご案内」
厚生労働省 「生活福祉資金貸付制度」
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員