子どもも保険に入ったほうがいいの?
配信日: 2020.10.27
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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医療保障
病気やケガで入院したり、所定の手術を受けたときに給付金を受け取れるのが民間の医療保険です。公的医療保険を補完するために加入します。
公的医療保険(健康保険など)の対象となる治療などを受けた場合、医療費の一部を支払うだけで、診療を受けることができます。負担割合は、
●小学校就学前:2割、
●7~69歳:3割
●70~74歳:2割(現役並み所得者は3割)
さらに、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1カ月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」もあり、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないようになっています。
したがって、民間の医療保険に加入する主な目的は、公的医療保険の対象とならない差額ベッド代や先進医療などや仕事ができないことによる収入減に備える点にあるといえます。
主たる家計支持者(夫など)が入院・手術をした場合、治療費やその間仕事ができなければ収入の減少が考えられ、家計への影響は大きいでしょう。しかし、子どもが入院や手術をした場合、収入が減るわけでもなく、医療費助成制度(対象年齢は自治体によって異なる)もありますので、家計への影響は大きくありません。
また、厚生労働省の平成29年患者調査の概況によると、受療率(人口10万人対)を見てみると、
●0歳:1167
●1~4歳:169
●5~9歳:86
●10~14歳:94
●15~19歳:113(他の年齢に比べて低い)
一方、入院した場合の平均在院日数は0~14歳は7.4日、15~34歳は11.1日にすぎません。以上のことを考えると、子どもが医療保険に加入する必要性は低いといえます。
死亡保障
被保険者が死亡したときに、保険金が支払われる保険が死亡保険です。終身保険や定期保険、収入保障保険などがあります。主な加入目的は、遺族の生活保障にあります。相続対策や葬式代の準備にも活用できます。
子どもが死亡した場合、これらの必要性はないといえますので、死亡保険は必要ないでしょう。なお、学資保険(こども保険)に加入している場合、子どもが死亡したとき、既払保険料相当額が死亡給付金として支払われますので、葬儀代に充てることができます。
親が会社のオーナー経営者である場合、後継者である子どもに保険を掛けるという方法があります。オーナー経営者は企業防衛のため、会社契約の定期保険や長期平準定期保険に加入するケースが一般的です。
子どものときにこれら保険に加入し、会社に入ったときに契約者・受取人を会社に変更すれば、会社は安い保険料で大きな保障を得ることができます。
貯蓄性の保険
貯蓄性の高い保険には、養老保険、個人年金保険、終身保険、長期平準定期保険、学資保険などがあります。一般的にこれらの保険は加入時の予定利率が保険期間を通じて適用されるため、今のように金利の低いときに加入するのは損です。
資金に余裕があるのであれば、ジュニアNISAなど保険以外にもさまざまな金融商品で運用するのがよいでしょう。
個人賠償責任保険
子どもが自転車に乗っていて歩行者に重傷を負わせたり、死亡させたりし、親に数千万円の損害賠償命令が出た判決事例もあります。
ここまで深刻な事故にはならなくても、買い物中に商品を壊してしまったとか、公園で遊んでいて誤って他の子どもにケガをさせてしまった、キャッチボールをしていて他人の家の窓ガラスを割ってしまった、友達宅で遊んでいるときにテレビを壊してしまったなど、日常生活において損害賠償が必要になる事例は身近に潜んでいます。
子どもが他人を傷つけたり物を壊してしまった場合、子どもに責任能力がなければ、損害賠償の責任は親が負うことになります。このようなリスクに備えるため、個人賠償責任保険に加入しておくと安心です。
個人賠償責任保険は、 家族の誰か1人が加入していれば子どもや配偶者も被保険者扱いとなります。自動車保険や火災保険などの特約として加入できます。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。