更新日: 2020.11.11 その他保険
収入保障保険と定期保険。自分にあった保険はどっち? それぞれの特徴を解説
収入保障保険と同種の保険に定期保険があります。どちらも死亡保障に特化した保険ですが、今回は2つの保険の違いと、収入保障保険の特徴について説明してみたいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
収入保障保険と定期保険
定期保険と収入保障保険は、ともに稼ぎ手である世帯主の死亡保障に特化した保険ですが、収入保障保険は世帯主=被保険者に万が一のことが起こった日(事故発生日)がいつになるかによって保険金額が変わってくることに特徴があります。
定期保険は保障期間中に保険事故が発生した場合、時期によらず、一定金額の保険金が一時金で支払われます。
これに対して収入保障保険は、事故発生日が保険期間満了時期(例えば、世帯主60歳または65歳)に近ければ近いほど保険金額が減り、保険金は月払いか年払いで支払われます。
これは収入保障保険が次の考え方に基づいて設計されているためです。
1. 世帯主に万が一のことがあった場合、世帯主の退職時点までの遺族の生活費を保障する。
2. 遺族が生活費として使いやすいように、保険金は一時金ではなく、月払い、または年払いとする。
具体的には以下の例のようになります。
・毎月10万円を受け取る契約で、保険期間が残り30年の場合の保険金総額
10万円×12ヶ月×30年=3600万円
・毎月10万円を受け取る契約で、保険期間が残り15年の場合の保険金総額
10万円×12ヶ月×15年=1800万円
上記の例で分かるように、保険満了期間までの年数に比例して保険金額が少なくなります。
世帯主は退職までの間、家族の生活費を稼ぎますが、退職が近づくにつれて稼げる収入は少なくなり、また子どもの成長に応じて教育費などの負担も減るので、この保険金額の設定は合理的です。保険会社から見ても、時間の経過とともに保険金額が少なくなるので保険料を安くすることができます。
定期保険の場合、子どもの成長に応じて保険金額を少しずつ下げることがありますが、収入保障保険はその調整を自動的にやってくれます。
また、保険期間満了の3ヶ月前に万が一のことがあった場合、本来であれば保険金額は10万円×3ヶ月=30万円になりますが、確定保証期間がある保険に加入していれば保険金額の最低保証があります。確定保証期間は保険会社や商品により異なりますが、通常1年から5年といった間で契約時に選択することができ、長い期間を選べば保険料はそれだけ高くなります。
例えば確定保証期間が2年で、毎月10万円を受け取る契約であった場合、最低保険金は次のとおりになります。
10万円×12ヶ月×2年=240万円
ただし、保険期間満了時期までに保険事故がなければ保険料は掛け捨てとなります。この点は定期保険と同様です。
収入保障保険の特徴
●メリット
(1)生活費は毎月かかるので、継続的にもらった方が実際の支出に見合い、便利で管理も容易である。
(2)子どもの成長などに合わせて、保険金額を自動的に調整してくれる。
●デメリット
月額または年額払いなので、一時的に生じる大きな出費には対応できない。例えば、大学への入学金、結婚費用、住宅購入のための頭金など。
まとめ
ここまで見てきたように、収入保障保険と定期保険の大きな違いは、保険金額が年齢によって調整されるかどうかという点と、保険金額の支払方法(継続払いか一時払いか)にあるようです。自分自身のニーズやライフプランに合わせて、どちらにするか決めることをお勧めします。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー