更新日: 2020.12.08 生命保険

死亡保障と資産形成が同時にできる変額保険は本当にお得?

執筆者 : 新美昌也

死亡保障と資産形成が同時にできる変額保険は本当にお得?
11月に、予定利率3%の円建て変額保険が販売され話題になりました。「万一のときの保障をしっかり確保しながら、将来の資産形成できる」のが変額保険のセールスポイントですが、どのくらいお得な商品なのか検証してみます。

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新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

変額保険の基本的な仕組み

変額保険は、万一のときの保障をしっかり確保しながら、将来の資産形成も行える保険です。
 
払込保険料をもとに国内外の株式や債券などに投資する特別勘定で積極的に運用し、その実績に応じて解約返戻金や保険金額が変動する商品です。契約者は、投資対象をバランス型、日本株式型、世界債券型など保険会社が用意する複数の特別勘定から選べます。契約後も特別勘定を乗り換えることができます。
 
死亡・高度障害状態に該当したときに受け取れる保険金は、運用実績にかかわらず最低保証されています。
 
定期保険や終身保険などは保険会社が運用に失敗しても、解約返戻金や満期保険金額が減額になることはありません。つまり、これらの運用のリスクは保険会社が負いますが、変額保険は契約者が負います。
 
変額保険のタイプには大きく分けて、一生涯保障が続く終身型と、一定期間で満期となる有期型があります。いずれも死亡したときには、基本保険金+変動保険金を受け取ることができます。基本保険金額は運用実績にかかわらず最低保証されるため、運用がマイナスになった場合でも基本保険金額は受け取ることができます。
 
有期型は養老保険をイメージするとわかりやすいでしょう。満期を向かえると満期保険金を受け取ることができます。養老保険と違い、満期保険金は、最低保証はありません。したがって、運用実績により基本保険金額を上回る場合もあれば、下回る場合もあります。
 
同様に、解約時に受け取る解約返戻金も資産運用の実績によって変動し、最低保証はありません。死亡・高度障害保険金は最低保障があります。
 
また、保険契約の維持にかかる費用(保険関係費用)のほかに、特別勘定の運用にかかる費用などが毎年差し引かれます。解約時などには解約控除といった費用も差し引かれます。どのような諸経費が、いくら差し引かれるのか、確認することが大切です。
 

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予定利率の高さにだまされてはいけない

11月に販売された、予定利率3%の円建て変額保険のパンフレットに載っている加入例で検証してみます。
 
この変額保険は有期型です。契約例では30歳男性が60歳まで月額2万円の保険料を払い続け、60歳時に満期保険金を受け取ります。この間に死亡・高度障害の状態になったときに、907万円(最低保障)の保険金を受け取ることができます。
 
運用成果が0%の場合、60歳時、払込保険料累計額720万円に対して、満期保険金額は550万円ですので、差額170万円がこの保険に加入するコストと考えられます。このコストを月々にならすと4722円(170万円÷360カ月)です。つまり、保険料2万円を支払うたび4722円のコストがかかっていると評価できます。
 
仮に、予定利率3%で継続的に運用できたとしても、15年以内に解約した場合は元本割れしてしまいます。例えば、45歳に解約した場合、払込保険料累計額360万円に対して、解約返戻金は355万円です。
 

メリット・デメリット

変額保険のメリット・デメリットは以下のように考えます。
 

■メリット・特徴
  • 万一のときの保障をしっかり確保しながら、将来の資産形成も行える
  • 解約返戻金や満期保険金は一時所得
  • 死亡保険金には一定の非課税枠あり(相続税)
  • 支払保険料の一定額が生命保険料控除(所得控除)の対象
  • 死亡・高度障害には保障の最低保証あり
  • 運用が良ければ、保険金・解約返戻金が増える

 

■デメリット
  • 死亡保障が不要なおひとりさまには不向き
  • 解約返戻金や満期保険金には最低保障なし
  • 保険関係費用や運用にかかる費用などのコストが大きい
  • 運用が悪くても諸費用等は確実に取られる

 

まとめ

変額保険でお金を増やすというのは、コストが高いので効率が悪いです。死亡保障と資産形成は分けて対策を考えたほうがかかりやすいしシンプルです。単身者には、一般的に死亡保障は必要ないので変額保険は資産形成には不向きです。
 
ちなみに、毎月2万円の運用を考えてみましょう。30歳男性、保障期間60歳まで、死亡保険金900万円の月払保険料は1655円(某生命保険)です。
 
ざっくり残りの1万8000円を利率3%で、30年積立投資を行った場合、単純計算(コスト等考慮せず)で1048万9264円になります。死亡保障が不要であれば2万円を運用できますので、1165万4738円になります。
 
上記の変額保険では月払2万円、予定利率3%の満期保険金は907万円ですし、15年間は確実に損をします。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。


 

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