【相談事例】「60歳払込み終了の終身医療保険は役に立つのでしょうか?」
配信日: 2019.07.10 更新日: 2021.10.08
相談者の田原さん(仮名:独身女性、52歳)は、10年前に、終身医療保険の60歳払込み終了タイプで入院費の給付が日額5000円(一入院の限度120日)の保険に加入しました。
この度、新規で他の医療保険に加入した後にこの保険は解約する予定であったそうですが、最近加入した終身医療保険の保障内容(一入院限度60日で、先進医療特約、入院一時金特約、3大疾病後の払込免除特約)には満足しているものの、60歳以降は保険料の支払いがない保険の方が安心なのでは、との考えで、これまでの保険を解約するのを保留にし、継続している状態です。
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会)、企業年金管理士(確定拠出年金)。
大学卒業後、旅行会社、外資系生命保険会社勤務を経て、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。
「老後資金の不安をゼロにする」特に中小零細企業の退職金を大企業、公務員並みの2000万円以上にするというミッションのもと、マネーセミナーや個別相談、中小企業に確定拠出年金の導入支援を行っている。金融商品は出口が大事。「一生のお付き合い」がモットー。
FP事務所 くるみ企画
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10年前の終身医療保険の保障内容をまず確認
終身医療保険が発売されたのは2000年前後ですが、死亡保険が主契約の特約としてでしか契約はできませんでした。しかし、外資系の保険会社を中心として医療保険だけを単体で契約することが可能となり、ガン保険と同じく契約する人が増えています。
田原さんも10年前にこの保険を契約しており、保障内容は入院日額5000円に手術特約があるのみのシンプルな保障内容です。60歳払込み終了の医療保険なので、長生きした時には、保険料の負担がなく安心できるという考えから加入したそうです。
確かに、払込終了後も保険料の負担がなく保障が続くということは安心にはなりますが、それよりもまず、保障内容を確認することが大事になってきます。
保険会社によっては、現在保有中の契約(既契約)に、途中で現在発売されている先進医療特約や入院一時金特約、3大疾病の一時金特約などを付けられる場合もあります(中途付加ができる場合は、特約を付けることも可能です)。
今回新規で加入した終身医療保険には、入院一時金20万円の保障があります。
以前から加入している保険の日額5000円の保障と比べると、1回の入院が発生した場合に40日分の給付金と同じ金額になります。田原さんご自身は、40日間継続で入院することは今の段階ではかなり低いと思っています。
入院があった場合の目安を知ること
田原さんは、幸いにも今まで一度も入院した経験がなく、入院した場合にいくらかかるのか、イメージがつかないとおっしゃっています。
どんな疾患で入院するのか、どんな治療をするのか、などによって治療費が大きく変わってきますが、基本は健康保険の3割負担(高額療養費制度での実際の自己負担)とし、食事代や差額ベッド代などの健康保険の適用外の自己負担も考えた上で、今の保障内容が今の時代にあっているのかということが、本当の安心に近づくのではないでしょうか?
今の保障内容でいくらの給付があるのかを、具体的に考えてみましょう。
定期的な確認は「保障内容のお知らせ」の方がわかりやすい
契約が成立すれば保険証券が届きます。田原さんも証券ホルダーに大切に保管していらっしゃいました。しかし、保険証券は時間が経過すればインクがにじんだり、折り曲げて保管してしまいインクで紙がくっついたりと、見えにくい場合も出てきます。
また、証券には紙のスペース上最低限のことしか記載がない場合もありますので、保障内容を確認するには、契約時の設計書や年1回保険会社から送付される「契約内容のお知らせ」で確認する方がわかりやすいでしょう。
お知らせには、保障内容や保険料の内訳、担当の代理店名、担当者の名前、またカスタマーセンターなどの電話番号も記載されていますので、定期的な確認をするように心がけてください。
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表