更新日: 2021.02.17 保険

高度障害保険金はどんな保障?所定の高度障害状態に該当することが難しい?

執筆者 : 大泉稔

高度障害保険金はどんな保障?所定の高度障害状態に該当することが難しい?
生命保険を検討中に、保険会社の担当者から「生命保険は死亡時のみならず、高度障害時にも保険金が支払われます」と勧められたことがあるかもしれません。
 
高度障害時に保険金を受け取ることができる「高度障害保険金」とは、それほどまでに心強いものなのでしょうか?
 
大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

高度障害保険金とは、どんな保障なのか?

多くの生命保険では「死亡」の他に「高度障害の状態になったとき」を保険事故としています。保険事故とは、保険金が支払われる出来事を意味します。高度障害保険金とは、「被保険者が生命保険の約款に定義するところの高度障害の状態になったとき」に、被保険者が請求し、受け取ることができるものです。
 
高度障害保険金の金額は、死亡保険金のそれと同じ金額です。例えば、死亡保険金の額が5000万円の場合、高度障害保険金の額も同じく5000万円ということです。ですので、確かに心強いものではあるのですが、高度障害保険金が声高に訴求するほどのものなのか、筆者は少々疑問を感じます。
 
その理由としては、一般的に思い描く「高度障害状態のイメージ」と「生命保険の約款に定義するところの高度障害の状態」にギャップがあるのではないかと思うからです。
 

高度障害状態とは、どんな状態なのか?

「生命保険の約款に定義するところの高度障害の状態」とは、具体的には以下のような状態です。

●両眼の視力をまったく永久に失ったもの
 
●言語またはそしゃくの機能をまったく永久に失ったもの
 
●中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
 
●両上肢とも手関節以上で失ったか、またはその用をまったく永久に失ったもの
 
●両下肢とも足関節以上で失ったか、またはその用をまったく永久に失ったもの
 
●1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用をまったく永久に失ったもの
 
●1上肢の用をまったく永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

これを見て筆者は、「生命保険の約款に定義するところの高度障害の状態」は、公的な障害者支援制度の内容よりも厳しいのではないかと感じます。
 
例えば、障害基礎年金での「眼の障害」1級では、『両眼の視力の和が0.04以下のもの』としています。つまり、障害基礎年金1級よりも「生命保険の約款に定義するところの高度障害の状態」のほうが厳しい状態だということが分かります。
 
また、生命保険文化センターのサイトには『国が定める身体障害者福祉法で身体障害等級1級に該当しても、約款で定める高度障害状態に該当しない場合は、高度障害保険金は受け取れません』とも書かれています。
 
つまり、国が定める身体障害者等級1級などになってしまったとしても、生命保険約款が定める高度障害状態に該当しなければ、保険金は支払われないのです。
 

高度障害の状態とは、実際には約款の定義以上に厳しい?

死亡保険金は、約款上「死亡」という揺るぎのない事実を保険事故としていますので、他に問題(告知義務違反や、いわゆる自殺免責)がなければ、保険金の支払いはスムーズだと思われます。
 
では、高度障害保険金の場合は、どうでしょうか?以下は、高度障害保険金を受け取るために、裁定審査会に申し立てを行った例です。
 
『高次脳機能障害(精神障害状態の一種)で脳に障害があるため、常に声掛け、監視がなければすべての日常生活動作を行うことができず、約款に規定する高度障害状態「中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの」の「常に介護を要するもの」に該当する介護保険制度での認定は要介護3、障害者認定は精神障害1級にも該当』する方が、裁定審査会の裁決で却下され、高度障害保険金を受け取ることができませんでした。
 
上述の裁定審査会への申し立てに対して、生命保険会社の主張(反論)は『本件約款において「介護」という文言は、いわゆる常に寝たきりの方が想定され、精神障害者への声掛け、監視は含まない趣旨で用いている』というものです。
 
ちなみに、先述の高度障害の状態には「常に寝たきり」という文言はありません。ですから、筆者は、高度障害保険金を受け取るということは「約款に定義するところ」以上に、厳しい状態ではないかと感じています。
 

高度障害の保障に疑問を感じる

高度障害保険金とは、冒頭で述べたように、それほどまでに声高に訴求できるものなのでしょうか?
 
もちろん、すべてではありませんが、多くの生命保険の商品は、死亡保険金と高度障害保険金がセットになっています。しかし、高度障害保険金という保障が付いていて、それが「心強いもの」であるかということについては、これまで説明した理由から筆者は疑問を感じざるを得ません。
 
生命保険商品の中には、死亡保障のみに特化し、高度障害の保障を付けていないものもあります。また、フラット35の新機構団体信用生命保険(新機構団信)の保障内容も、2017年に「高度障害保障」から「身体障害保障」にリニューアルしています。
 
「身体障害保障」の保険事故は、『身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき』と定義されているのです。つまり、フラット35の新機構団信の「身体障害保障」は、いわゆる障害者手帳の1・2級に連動した、分かりやすい保障になったといえそうです。
 

まとめに代えて

高度障害保険金を受け取った方もいらっしゃることでしょう。その方たちにとっては、「加入しておいて本当に良かった」と思える保険です。
 
先述のとおり、高度障害保障をなくした保険の存在や、フラット35の新機構団信のように高度障害保障を身体障害保障にリニューアルしているケースもあります。
 
高度障害保障が付いた保険に加入する際は、本稿で紹介した事例も念頭において、検討されてみるのはいかがでしょうか。
 
(引用・参考)
日本年金機構「第3 障害認定に当たっての基準 第1章 障害等級認定基準 第1節/眼の障害」

生命保険協会「【事案21-56】高度障害保険金請求」

生命保険文化センター「生命保険に関するQ&A 高度障害保険金を受け取るのは、どんなときなの?」

生命保険文化センター「用語辞典 ― ミニ知識」

日本生命「注意喚起情報+ご契約のしおり 定款・約款」
(※日本生命の生命保険は、2012年4月以後は、高度障害の保障がありません。そのために、日本生命の「注意喚起情報+ご契約のしおり 定款・約款」には高度障害の保障の記載がありません)

フラット35「【フラット35】と【団信】が一つにあってリニューアル(新機構団体信用生命保険制度の保障内容等についてはこちらをご覧ください)」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
 

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