自動車保険の「ドラレコ特約」どんな場合に役立つの?
配信日: 2021.02.20 更新日: 2024.08.01
これらを契機として重大な社会問題となった「あおり運転」ですが、道路交通法の一部改正で取り締まりが強化されており、併せてドライブレコーダーの普及も進んでいます。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
妨害運転罪の創設
道路交通法の一部改正により、「妨害運転罪」が創設されました(2020年6月30日施行)。その主な内容は以下のとおりです。
1. 他の車の通行を妨害する目的で、一定の違反をした場合(あおり運転)
※一定の違反として道路交通法には、車間距離不保持、進路変更禁止違反、安全運転義務違反など、さまざまなものが規定されています。
2. あおり運転をして、高速道路上に他の車を停止させるなど危険を生じさせた場合
上記のような、あおり運転行為で妨害運転罪が適用されると、最長で5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられ、行政処分として1回で免許取り消しとなります。
ドライブレコーダーの装着率の向上
国土交通省のアンケート調査でも、ドライブレコーダーの装着率は年々向上し、自家用車を保有する方の約半分(45.9%)が装着しているとの結果が出ています。あおり運転への対策のみならず、自動車運転中の事故に対する備えとして、ドライブレコーダーが有効な手段であることが一般的にも認知されていることがうかがえます。
ドライブレコーダーは、常時映像や音声などを記録したり、車両への衝撃や急ブレーキなどを感知して自動的に記録する車載装置です。交通事故の発生状況を記録することを主な目的としていますが、あおり運転をした相手の行為を映像で残しておくことで、その映像を警察での捜査などに利用できます。
自動車保険のドラレコ特約
損害保険会社の自動車保険の特約として、「ドラレコ特約」が付帯できる商品があります。比較的新しいサービスですので、利用できる損害保険会社はそれほど多くはないようですが、これによって損害保険会社からドライブレコーダーが貸与されるため、安価な特約保険料(通常、月額1000円以下程度)だけの負担で高性能なドライブレコーダーを装着できるようになります。
ドラレコ特約では、運転診断(音声や報告書)、事故発生時の自動通報サービスや駆け付けサービスなどを受けられる場合もあります。
自動通報サービスとは、ドライブレコーダーが事故発生時の衝撃などを感知したときに、自動的に損害保険会社や警備会社に通報するサービスです。その際に、事故発生時の映像が損害保険会社にも自動送信され、オペレーターと直接会話できるサービスもあります。
自動通報サービスにより、「いつ、どこに、誰と行ったか」などの位置情報や時刻情報も併せて損害保険会社に提供されることとなります。これらは、ときとしてプライバシーを含む情報となる場合もあるので、サービスの利用に当たっては情報が自動的に損害保険会社に提供されることに「同意する」ことが前提となります。
まとめ
自動車を保有する方にとって、今やドライブレコーダーは必須のアイテムになりつつあります。ただし、実際に交通事故が発生した際に自分だけで対応するのは自信がないので、損害保険会社や警備会社のサポートを自動的に受けることができれば安心だとお考えの方も多いでしょう。そのような方にとって、「ドラレコ特約」は有効な対策の1つであると思います。
出典
国土交通省 「国土交通行政インターネットモニターアンケート 自動車用の映像記録型ドライブレコーダー装置について」
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー