2018.01.02 暮らし

賃貸マンション 大家さんからの値上げ交渉に対抗する手段とは?

最近、物によっては、値段があがっているものを見かけることがあります。「景気回復の実感はあまりないのに」と、思っている方も多いのではないかと思います。

最近では、賃貸マンションの更新時に、値上げ交渉されたという話も耳にします。給与の手取りは、ほとんど、増えていないのに、支出ばかり、上がっていく。

こんな時は、家賃の値上げ交渉に関して、何か良い対策は、ないものでしょうか。不動産関連に詳しい、東京桜橋法律事務所の池田理明 弁護士に、対策を聞いてみました。

合意がなければ基本的には値上げは難しい

基本的に、賃貸契約の更新時であっても、大家さんと借主の合意がなければ、賃料をあげることはできません。家賃の値上げに合意しなければ、出て行って欲しいと言われても出ていく必要はないのです。
 
それでも大家さんが、どうしても家賃を上げたければ、借地借家法上の賃料増額請求をすることになります。これは、土地や建物の価格が上昇するなどの経済事情の変動により、近隣類似の賃料と比較して家賃が不相当に低くなったような場合に認められる権利です。
 
総務省統計局が発表している「2015年基準 消費者物価指数 全国 平成29年(2017年)10月分 総合」では、消費者物価指数(総合)は対前年同月比で、0.2%とありますから、一般的には、賃料増額請求は難しい情勢と考えられます。
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm
 
また、賃料増額を求めて訴訟提起などをするには、不動産鑑定士などにも依頼が必要で、コストがかかるため、貸主が実際に請求するケースはあまり多くありません。

貸主に有利な特約は無効となるケースも

併せて、賃貸契約で、家賃値上げについての特約をつけている場合がありますが、立場の強い貸主に有利になるような内容は、無効となるケースも少なくありません。
 
賃貸契約で特約があるからといって、直ちに値上げの合意をしなくてもよい場合も多いので、覚えておいてください(特約の背景や理由によります。)。
 
家賃の値上げ交渉がまとまらず、大家さんから「出ていけ」といわれたとしても、そうしなければいけない義務はありません。借主としては、まずは、従来どおりの家賃を、きちんと払い続けましょう。
 
逆に、合意できていないからと、家賃を払わないと、賃貸契約の不履行になり、未払いが続くと、追い出されることにもなりますのでご注意ください。

退去時のトラブル

また、他に、よく見られるトラブルは、賃貸住宅退去時の原状回復費用についてです。
 
トラブルがあまりにも多かったため、平成10年3月、国土交通省は「原状回復ガイドライン」を策定し、原状回復についての一般的な基準を取りまとめ、これまで何度かの改訂をしています。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
 
ここにも記載されていますが、室内の床、壁紙などの自然損耗(経年劣化)の回復費用は、大家さんもちです。つまり壁紙や天井クロスを貼り換えたとしても、それが全て賃借人の負担とはならないのです。
 
通常は、大家さんが預かっている敷金から、賃借人が負担すべき原状回復費用を引いた金額が、借主に返ってきます。特に大きな問題がないのに、敷金だけでは十分でないといわれ、追加請求をされたような場合は、要注意です。
 
大家さんが原状回復工事の明細や見積もりを見せてくれなかったり、交渉が上手くいかなかったりした場合は、弁護士に依頼するのが良いと思われます。
 
日本の法律では、賃貸マンションの借主の権利が、守られている部分があります。是非、そのポイントを覚えておいてください。
 
 
著:ファイナンシャル フィールド 編集部
監修:東京桜橋法律事務所 池田理明 弁護士

FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

池田 理明

監修:池田 理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。

ファイナンシャルフィールドとは?