更新日: 2019.01.10 その他暮らし
え?66%の会社で違法労働発覚? ブラック企業から残業代をもらう3つの対処法
残業代を支払わずに残業させることは、もちろん法律違反です。「おかしいな」と思ったら早めに行動に移すことが大事です。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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弁護士
開成高校卒、東京大学法学部卒。弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動。どんな相談に対しても「わからない」とは言わないことをスタンスに、日々クライアントのために奮闘中。
【東京桜橋法律事務所】
労働基準関係法令違反は事業場全体の66%。時間外労働・不払い残業が多い
厚労省の資料によると、平成28年4月から平成29年3月に23,915の事業場に対して監督指導を実施したところ、全体の66%の事業場で労働基準関係法令違反が認められました。
主な法違反は「違法な時間外労働があった(10,272事業場)」、「賃金不払い残業があった(1,478事業場)」などです。
半分以上で労働基準関係法令違反があったというのは驚きですね。いかに残業や、サービス残業が労働者にとって日常的な光景になっているかが分かります。
厚労省/参考URL:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/betten1.pdf
残業代が支払われない時の主な3つの対処法
では、実際に自分の職場が残業代を支払わなかったら、どのように対応すればいいのでしょうか。まずは上司に「残業代が支払われていないのですが」と尋ねてみましょう。それでも支払う様子がない場合は、いくつかの選択肢があります。主な3つをご紹介します。
○労働基準監督署に通報する
労基署から会社に連絡がいけば、大体9割の会社が支払いに応じます。ただし、通報の際は匿名でなく氏名を言わなくてはいけないので、誰が労基署に通報したのか会社に知られる可能性もあります。従業員が1000人いるような会社であれば知られないこともありますが、中小企業だと実際には分かってしまうことが多いようです。
○労働局に斡旋の申立てをする
労働局の委員が間に立って、残業代を支払うように会社に指導したりして、問題の解決に向けて助力してくれます。
○労働審判を起こす
訴訟手続の簡易版です。訴訟では裁判所で両者が言い分を言い合う「期日」が何十回と繰り返され、何年もかかることがありますが、労働審判の場合はこの「期日」が3回までしかできません。3回までに決着をつける必要があります。もっとも、相手方が結論に対して異議申立てをして、結局訴訟手続になってしまうこともあります。
「残業したこと」の証拠を残さなくてはいけない
弁護士事務所でも未払い残業代の請求に関する案件は増えています。
労働者はまず「残業をしたこと」を証明できなければいけません。タイムカードがない職場であれば、自分で何時から何時まで働いたという証拠を残す必要があります。今は残業の証拠を残すための労働時間記録アプリなどもあるので、チェックしてみてください。
残業代請求権の時効は2年なので、過去2年分の情報を集めましょう。
残業代を支払わない職場が悪いことは当然です。ただ、一方で、職場側では「あいつは、残業の必要がないのに残っている」と思っていたりします。残業する必要がなければ定時で帰ること、残業するなら「業務命令」をもらって残業することを心がけることが大事です。けじめをつけて仕事をするようにしましょう。
TEXT:ファイナンシャルフィールド編集部
監修:豊田 賢治 (とよた けんじ)弁護士
東京桜橋法律事務所 所長 http://tksb.jp/
弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。
現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動。