2018.02.12 暮らし

少しでもトクして学びたい! 使いたい制度は?

新年、新学期と続くこのシーズンは「何かを新しく学びたい」「スキルアップしたい」という気持ちが盛り上がる人が多いのでは。今は、お金をかけずに学ぶ手段も豊富な世の中ですが、大きめの資格を取得したり、じっくり長期間学んだりといったときには、スクールや各種資格学校を利用することもあることでしょう。

そんなときに、各学校等のキャンペーンや割引を使うのももちろん一つの方法ですが、もう一つ、公的に学費を補助してもらえる「教育訓練給付金」制度を使う方法もあります。

教育訓練給付金制度とは?

教育訓練給付金制度は、会社員など勤めをして雇用保険に入っている人が利用できる制度で、学ぶために資格スクールなどの各種教育機関に受講の費用を支出した場合、その一部が支給されます。ただし、この『学ぶ』対象はなんでもよいわけではなく、この制度で「一般教育訓練講座」として指定されている講座が対象です。基本的に資格を取ったり、専門技術を身につけたりすることが目的の講座が中心となっています。
 
ラインナップをみると、難関士業の資格取得講座からありとあらゆる資格取得講座が並んでおり、そのなかには大学院まであります。そして、資格といってもお堅い資格だけではなく、きもの着付けやワインの資格取得などの、楽しみながら趣味も実益も兼ねられるような講座も対象です。
 
対象講座にどのようなものがあるかは、「厚生労働大臣教育訓練講座検索システム」で確認するのが便利です。
http://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SCM/SCM101Scr02X/SCM101Scr02XInit.form
 

いくら有利になる?

では、この制度でどれくらい支給が受けられるのでしょうか? 支給される額は、学校等の教育訓練機関に支払った「教育訓練経費」の20%相当額で、10万円が上限です。「教育訓練経費」とは、学校等に払った入学料や受講料の最大1年分の合計をいいます。したがって、教材費や資格試験の受験料等は含みません。
 
例えば、入学金1万円で30万円の講座を受講した場合、6万2千円の支給が受けられ、実質24万8千円で受講できたことになります。注意点としては、支給は10万円が上限である点です。20%相当額がいくら10万円を超えようとも10万円までしか支給されません。
 

支給をうける条件は?

この教育訓練給付金は、原則、雇用保険の支給要件期間が3年以上ある人が対象です。支給要件期間とは、単に雇用保険に加入しているのみならず、同じ事業主の適用事業に引き続いて雇用された期間を基本的に指します。ただし、雇用保険に加入していない空白期間が1年以内の場合は、前の勤務先での雇用保険被保険者期間も通算できます。
 
なお、初めてこの制度を使って支給を受ける場合は、支給要件期間は1年でOKです。
 

勤め先を辞めていても使える場合も

また、今勤務して雇用保険に加入中でなくとも、前の仕事を離職した日の翌日以降から受講を開始する日までが1年以内であれば、同じように給付が受けられます。ですから、退職して時間があるという人にはより使いやすいのではないでしょうか。
 
要件は退職前に支給要件期間3年間を満たしてさえいればよく、初めてこの制度を使う場合には、前述の在職時と同じく支給要件期間は1年で大丈夫です。
 
さらに、辞めた後1年以内に受講開始できない場合もあきらめないでください。1年以内のうちに、妊娠や出産、育児、病気・ケガなどのやむを得ない理由で30日以上受講開始できない日があれば、それをハローワークに申し出ることによって、本来1年以内のところを最大3年延長してもらうこともできます。
 

使うときの注意点は?

かさむ学費を少しでも軽減できる魅力的な制度ではありますが、この制度を使うときは「しっかり学ぶ」覚悟も大切です。というのは、支給の条件としてもう一つ、講座を必ず「修了していること」も必要だからです。学費を払ったものの途中でやめてしまった場合は支給を受けられません。そして「修了している」ためには、一定以上の出席や課題の提出などを満たしている必要があります。
 
なおこの制度、一度支給を受けると、その支給を受けたときの受講開始日から支給要件期間を3年以上あけなければ、再度支給を受けられないので注意する必要があります。しかし裏を返せば、ほぼ3年ごとに何度でも使える制度であるともいえます。
 

本格的に腰をすえて学ぶ場合は

ところでこの制度、これまで紹介してきた一般の教育訓練給付金のほか、「専門実践教育訓練」での支給もあります。「専門実践教育訓練」は、業務独占資格などの取得、専門学校、専門職大学院などを目的とした講座が対象で、支給額も教育訓練経費の40~60%、支給条件が96~144万円とアップする一方、支給要件期間も10年以上が条件です。
 
例えば、看護師、あん摩マッサージ指圧師、介護福祉士等の資格取得のため一定期間学ぶことが必要となるものや、専門学校の専門課程、専門職大学院などが対象となります。訓練期間が1~3年以上に及ぶものがほとんどですが、こうした資格等を目指すのであれば、必要となる学費も大きい傾向があるため、この制度を利用する価値は大きいといえるでしょう。
 
これも対象講座も、前述の講座検索システムで見ることができます。
 

学びたいと思ったときにまずは検討を

この制度は、パートタイマーや契約社員の人でも、雇用保険の被保険者であれば使えます。自分の給料から雇用保険が引かれているかどうか一度確認してみてください。その雇用保険料の額がたとえ月1000円程度だとしても、先述のような支給額が受けられます。資格や技術を身につけたからといって、すぐに就職に結びつく世の中ではありませんが、それらがあればキャリアアップの際に自分の武器の一つになるのではないでしょうか。
 
実は筆者もこの制度を2度使ったことがあります。例えば、キャリアコンサルタントの講座受講では6万円の支給を受け、受験料や試験対策セミナーの費用に充てられて助かった覚えがあります。
 
毎月お給料から天引きされている雇用保険、失業手当をもらったことがないので、なにも恩恵を受けていないと嘆く人もいますが、教育訓練給付金制度はそんな人も雇用保険の恩恵を受けられる制度でもあります。「学びたい」そう思ったときは、ぜひこの制度を思い出してみてください。
 
Text:福島 えみ子(ふくしま えみこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表

福島 えみ子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

http://mdtheory.co.jp/

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