医療費は節約できないと思っていませんか?ちょっとしたことで窓口で支払う金額に差が出ることも
配信日: 2020.03.06
しかし、ちょっとしたことで、窓口で支払う金額に差が出ることがあります。医療費節約のポイントをお伝えします。
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
病院・診療所で診察を受けるとき
病気やけがで診察を受けるとき、いつも決まった「かかりつけ医」がありますか?
紹介状を持たずに、いきなり大学病院のように大きな病院(入院ベッド数400床以上)に行くと、通常の医療費に加えて「選定療養費」(初診は5000円以上、再診は2500円以上)を請求されてしまいます(救急車で搬送される場合などは対象外)。
まずは、自宅の近くに「かかりつけ医」を持ちましょう。具合が悪くなったときは行き慣れた「かかりつけ医」で診察を受ければ、過去の診察歴からより適切なアドバイスを受けられることもあります。また、重大な病気や特殊な病気が疑われる場合は専門医や大病院を受診できるように、紹介状を書いてくれます。
もう1つ、診察を受けるときに気を付けたいのは、できるだけ診療時間内に行くことです。時間外に行くと通常の医療費に加えて、下の表のような時間外加算を請求されてしまいます。気を付けたいのは診療所の診療時間です。診療所とは、入院ベッド数20床未満(ゼロを含む)の病院、医院、クリニックなどです。
例えば、朝7時から夜8時までというように長い診療時間を設けているところもありますが、診療時間内であっても一般に朝8時前、夕方18時以降(土曜日は12時以降)は時間外加算の対象となります。
午後から「何だか体調がおかしい」と思っていたら、夜になって高熱が出るというのはよくある話です。迷ったときは、念のために診療時間内に診察を受けておくのも1つです。
処方箋を持って薬局に行くとき
病院で診察を受けた後、処方箋を受け取って薬局に行くときは、「おくすり手帳」を持参しましょう。薬局で薬を調剤してもらう際は「薬剤服用歴管理指導料」がかかります。
「おくすり手帳」を持って行くかどうかで金額が違い、持って行けば40円(健康保険で3割負担の場合)安くすみます。大きな額ではありませんが、「おくすり手帳」を持参するだけで安くなるのですから、できるだけ持って行きましょう。
また、薬局でジェネリック医薬品を提案されることがあります。
ジェネリック医薬品とは、新薬として発売された先発医薬品の特許期間が過ぎた後、新薬と効き目や安全性が同等であると、厚生労働省から承認を得て製造された後発医薬品のことです。新薬と比べて開発費が少なくて済むので低価格です。
主成分は同じでも副成分が違うことがありますから、まったく同じ効き目とは言い切れませんが、ジェネリック医薬品を出してもらうと安くなるので検討してみてはいかがでしょうか。
入院するとき
交通事故に遭ったときのように、入院時期に待ったがきかないときもありますが、入院時期を医師と相談のうえで決められることもあります。そのようなときは、同じ月のうちに退院できるようなスケジュールを選ぶと安く済むことがあります。
健康保険を利用すれば医療費は1割~3割負担で済みますが、それでも入院して治療を受けたときは医療費が高額になりがちです。そのようなときに利用したいのが、高額療養費制度です。
高額療養費制度とは、1ヶ月に医療機関や窓口で支払った額が一定額(自己負担限度額)を超えた場合、払い戻される制度です。ただ、この場合の「1ヶ月」は歴月の1ヶ月ですから、入院中に月が変わると高額療養費制度をうまく使えないケースがあるのです。
例えば、40歳で年収500万円の人が入院をして、医療費の自己負担額が12万円だったとします。入院した同じ月のうちに退院した場合には、自己負担限度額(約8万円)を超えた約4万円が高額療養費として戻ってきます。
一方、入院してから退院の日が翌月になってしまい、自己負担額が入院した月に7万円、翌月5万円だった場合は、どちらも自己負担限度額に満たないので、高額療養費制度の適用は受けられません。
まとめ
病気で具合が悪いときに節約を優先してはいられませんが、「かかりつけ医」を決めてできるだけ診療時間内に診察を受けること、「おくすり手帳」を持参することだけでも節約になります。
もちろん、なるべく病気にならないのが何よりの医療費の節約ですから、日ごろの体調管理や生活習慣に気を付けて過ごしたいものです。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者