児童扶養手当の所得制限はいくら? FPがわかりやすく解説!

配信日: 2020.04.23

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児童扶養手当の所得制限はいくら? FPがわかりやすく解説!
児童扶養手当とは、ひとり親家庭の児童のために、地方自治体から支給される手当のことですが、受給するには一定の要件を満たす必要があり、その要件の中に所得制限も存在します。
今回は、児童扶養手当を受給するための所得制限について説明します。
 
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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児童扶養手当とは?

児童扶養手当は、離婚による母子家庭など、父と生計を同じくしていない子どもが育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与し、子どもの福祉の増進を図ることを目的として、支給される手当です。
 
ちなみに平成22年8月より、「母と生計を同じくしていない子どもを監護し、かつ、その子どもと生計を同じくしている父」(父子家庭の父)も支給の対象となりました。

どんな人が対象?

父母が婚姻を解消した児童、父または母が死亡した児童、父または母が一定程度の障害の状態にある児童、父または母の生死が明らかでない児童などに対して監護等を行っていることが要件です。
 
ただし、手当を受けようとするものや対象となる児童が日本国内に住所を有しないとき、児童が父または母と生計を同じくするとき、母または父の配偶者(事実上の婚姻関係も含む)に養育されるとき、などのケースでは支給されませんので注意してください。
 
また、平成26年12月より、受給者等の年金額が手当額を下回る場合は、その差額分の手当が支給されることになっています。ちなみに東京都における受給条件は以下のとおりです。
 
・父母が婚姻を解消(事実婚の解消含む)した後、父または母と生計を同じくしていない児童
・父または母が死亡した児童
・父または母が政令で定める障害の状態にある児童(※)
(※)父障害の場合、受給資格者は母または養育者、母障害の場合、受給資格者は父または養育者
・父または母の生死が不明である児童
・父または母が、母または父の申し立てにより保護命令を受けた児童
・父または母から引き続き1年以上遺棄されている児童
・父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童
・父母が不明な場合(棄児等)

 
以上のいずれかに該当する18歳に達する日以降の、最初の3月31日までにある子ども(一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満)を保護している人に児童扶養手当が支給されます。

受けることができない人はどんな人?

まず、受給者である保護者や児童が日本にいない場合や、扶養の実態がない場合には支給されません。また、気をつけなければならないのは、所得制限があることです。
 
所得の計算の対象は生計を1つにしている家族ですので、受給対象者が経済的に自立していなくても、同居している誰かが限度額を超えている場合には手当が支給されません。

児童扶養手当はいくら?

具体的な支給額については以下のとおりとなっています(2019年4月時点)


※一部支給額の計算方法(令和元年度)
4万2910円-〔(受給資格者の所得額-所得制限限度額(全部支給所得ベース))× 0.0229231 +10円〕

児童扶養手当の所得制限について

支給にあたっては、所得制限があります。児童扶養手当の額は、受給者の所得(収入から各種控除額を減じ、さらに、受給者やその児童が父または母から養育費を受け取っている場合には、その養育費の8割相当額を加えて算出した額)と、扶養親族等の数を勘案して決定されます。
 
また、就労等により収入が増えるにつれて、児童扶養手当を加えた総収入が増えるよう定められています。具体的な所得制限額については、以下のとおりです。
 
(所得制限限度額表:2019年4月時点)


ただし、受給資格者と生計を同じくする扶養義務者がいる場合で、その者の所得額が扶養親族等の数に応じた所得制限限度額以上の場合には、全部支給停止となることに注意が必要です。

児童扶養手当を受けるための手順について

児童扶養手当は自分で申請しなければ受給できません。ご自身の居住している市町村の窓口にて手続きを行います。流れについては以下のとおりです。
 
1.居住している市町村の窓口にて面談を行い、現在の家庭の状況を説明し、受給対象かどうかを確認する。
2.居住している市町村の窓口にて以下の書類を提出し、申請を行う。
 
必要書類(詳細については、必ずお住まいの市町村の窓口に事前に確認するようにしてください)
・申請者(保護者)と子どもの戸籍謄本の原本(発行から1ヶ月以内のもの)
・申請者(保護者)名義の預金通帳(振込先確認のために必要)
・印鑑(認印で可、シヤチハタ不可)
・申請者(保護者)と子どものマイナンバー確認書類(個人番号カード、通知カード、マイナンバーが記載されている住民票のいずれか)
・申請者(保護者)の本人確認書類(運転免許証、個人番号カード、パスポートなど)
3.審査開始
4.審査決定通知後、受給開始(審査に問題がなければ翌月分から支給開始されます)

申請してから受給開始までの期間については、自治体によって異なりますが、2ヶ月程度といわれています。

Q&A

●市町村によって児童扶養手当は違いますか?

児童扶養手当は国の制度ですので、全国どこの市区町村でも金額は同じです。

●手当の支給方法について教えて

毎年1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回に分けて支給されます。支給額については、申請時の振込口座に振り込まれます。
(例)2019年11月分および12月分:2020年1月に支給。
   2020年1月分および2月分:2020年3月に支給。

●問い合わせはどこにすればいいですか?

各市町村の福祉事務所が担当しています。福祉事務所内でもさまざまな窓口に分かれていますので、どの窓口に相談に行けばいいか、事前に福祉事務所に問い合わせ、相談窓口を確認しておくようにしましょう。

まとめ

児童扶養手当とは、ひとり親の自立をサポートする制度です。したがって、認定を受けて5年、支給要件に当てはまって7年たつと、一部支給停止の対象となりますので注意してください。
 
これは、ある程度生活が落ち着いて働ける状況にあるのに、制度に頼ったままの生活をし、働く意欲がない受給者に対しては支給額を半額にするというものです。
 
具体的には、児童扶養手当の支給開始月の初日から起算して5年(または手当の支給要件に該当する日の属する月の初日から起算して7年)を経過したときは、手当の額の2分の1を支給停止とする(ただし、3歳未満の児童を育てている場合は、3歳までの期間は5年の受給期間に含めない)、となっています。
 
ただし、何らかの理由で働けない場合や、親族の介護の必要があるなどの理由がある場合は、全額支給を受けることが可能です。児童扶養手当の制度は、1人で子どもを育てる親の自立を促すことを目的としていることから、手当だけに頼るのではなく、自立した生活を送ることに対する前向きな姿勢が大切だといえるでしょう。
 
(参考)
東京都福祉保健局 児童扶養手当
厚生労働省 IV経済的支援
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員


 

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