更新日: 2020.01.20 子育て
児童扶養手当とは? 対象者・支給額などをチェック
執筆者:三浦雅也(みうら まさや)
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属
2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)
「お金のことをもっと身近に感じてほしい!」をモットーに、“手帳”を使った人生設計の方法や、知っててよかったお金の話セミナーをはじめ、年間50回以上の講演を行う。
専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
http://www.fp-sakai.com
児童扶養手当とは?
児童扶養手当とは、1人親家庭の生活の安定と自立の促進を図ることを目的として厚生労働省から支給される手当です。
●対象者はどんな人?
対象となるのは、下記のいずれかに当てはまる児童です。年齢は、18歳に達した後の3月31日まで(一定以上の障害の状態にある子については20歳でなくなるとき)となっています。申請できるのは、その児童を監護している母または、監護し、かつ生計を同じくする父、父母にかわって児童を養育している養育者です。
《対象となる児童》
・父母が婚姻(内縁関係を含む)を解消した児童、その後、父または母と生計を同じくしていない児童
・父または母が死亡した児童
・父または母が重度障害の状態にある児童
・父または母の生死が明らかでない児童
・父または母から遺棄されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童
・遺児など父母が明らかでない児童
・父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
上記のように、離婚以外の理由で1人親になったときも利用できるのがポイントです。
●支給されない場合
以下の条件に当てはまる場合は、支給されないので注意しましょう。
・手当てを受けようとする者もしくは児童が、日本国内に住所がない場合。
・児童が里親に委託されている場合。
・児童が児童福祉施設などに入所している場合。
・児童が父または母の配偶者(内縁含む)に養育されている場合。
・申請者が母(もしくは父)または養育者のときは、児童が父(もしくは母)と生計を同じくしている場合。
このように、子どもが里親の元や児童福祉施設にいる場合や、内縁の配偶者に養育されている場合も申請不可となっています。
●支給額(手当額)はいくら?
児童扶養手当の支給額は、申請者の所得によって変わります。全額支給の場合の手当額(月額)は以下のとおりです。なお、申請者や児童が公的年金を受け取っているときは、手当額が異なる場合があります。最寄りの市区役所のこども福祉課へご相談ください。
〈1人目の児童について〉
全部支給:4万2910円
一部支給:4万2900〜1万120円
〈2人目加算額〉
全部支給:1万140円
一部支給:1万130〜5070円
〈3人目以降加算額(1人につき)〉
全部支給:6080円
一部支給:6070〜3040円
児童扶養手当の額は、物価の変動などに応じて毎年額が改定されるため、上に記載の金額から変更になる場合もあります。ご自身の所得が、全額支給と一部支給のうちどちらに当てはまるかは、以下の表に記載されている所得制限額をご確認ください。
(※神戸市HP「児童扶養手当」より引用)
ただし、自分の子ども以外に下記の条件に当てはまる人物を扶養している場合は、所得制限限度額への加算が行われます。
《申請者》
・老人控除対象配偶者、老人扶養親族・・・1人につき10万円
・特定扶養親族(19歳〜22歳)・・・1人につき15万円
・16歳〜18歳までで申立書がある扶養親族・・・1人につき15万円
《扶養義務者》
・老人扶養親族・・・1人につき6万円
※ただし、老人扶養親族のほかに扶養親族などがいない場合は1人を除く
当てはまる人は、こちらも忘れずに申請するとよいでしょう。
●支給月はいつ?
気になる支給日ですが、最近の改正によって変更されたので確認しておきましょう。
令和元年10月までは年に3回(4ヶ月に一度)支給でしたが、令和元年11月より年に6回(2ヶ月に一度)の支給に変更されました。支給日は原則11日で、支給日が土曜日、日曜日または休日の場合はその直前の日になります。
現時点からの支給月は、
・令和2年1月10日(令和元年11月、12月の2ヶ月分)
・令和2年3月11日(令和2年1月、2月の2ヶ月分)
・令和2年5月11日(令和2年3月、4月の2ヶ月分)
・令和2年7月10日(令和2年5月、6月の2ヶ月分)
・令和2年9月11日(令和2年7月、8月の2ヶ月分)
・令和2年11月11日(令和2年9月、10月の2ヶ月分)
と決定されています。なお、支給開始月は請求月の翌月です。
毎年8月に更新の手続きが必要
児童扶養手当は、申請すれば自動的に子どもが18歳になるまで支給され続けるわけではありません。継続して受給するときは、7月末頃に送付される「現況届」に現在の収入や家庭状況などを記入したうえで、市区役所へ直接提出してください。
●もし受給資格がないのに手当を受給していたら?
児童扶養手当の支給が決定したのち再婚や収入が変化し、支給の要件に当てはまらなくなる場合もあるでしょう。そんなときは、必ず「資格喪失届」を提出して、受給資格がなくなったことを申し出る必要があります。
というのも、受給資格がないことを知っていたにも関わらず手当を受給していた場合、今までに受け取った手当全額を一括で返還しなければならないことや、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられることがあるからです。
不正受給にならないように、しっかりと要件を確認しておきたいところです。
児童扶養手当証書とは?
児童扶養手当の受給を決定するために、役所では、必要書類をもとに受給資格があるかの審査を行います。すでに児童扶養手当証書があれば、手続きの際に「わたしは所定の審査を終えて手当の受給資格があるんですよ」と証明をすることができます。
●どんなときに必要なの?
児童扶養手当証書は、以下のような手続きを行う際に必要となります。
・児童扶養手当ての更新を申請するとき
・届け出の内容が変わったとき
・対象児童が3月31日をもって18歳でなくなるとき(一定以上の障害の状態にある子については20歳でなくなるとき)
・対象児童の数が出産などにより増えたとき
・支払い金融機関を変更したいとき
・児童扶養手当の受給要件に該当しなくなったとき
・他の市町村に転居することになったとき
現在の状況が変わるようなときは、市区役所へ申請を行う必要があります。証書は、申請の際に必要な書類として明記されていますので、大切に保管しておきましょう。
●いつもらえるの?
児童扶養手当を認定するための審査には通常3ヶ月から4ヶ月の期間が必要です。審査を終えて受給資格が認められた場合のみ、支給決定通知書と一緒に児童扶養手当証書を受け取ることができます。
児童扶養手当証書を紛失してしまった場合はどうすればいい?
児童扶養手当証書の必要性についてお伝えしたところで、証書を紛失してしまった場合の手続きについてお伝えします。
●再発行は可能?
結論から申しますと、証書を紛失(もしくは破損)してまった場合でも、再発行が可能です。なくしてしまったときは、再発行の手続きを行ってください。
先述したとおり、児童扶養手当証書は、何か手続きを行う際に必要になります。もし、証書を再発行しないでおくと、児童扶養手当の更新が遅れてしまい、受給が通常どおり行われない可能性があります。
●どこに問い合わせればいいの?
そうならないためにも、紛失が判明したら、市区役所へ「児童扶養手当証書亡失届」を提出してください。1ヶ月程度で新しい証書が発行され、ご自宅まで郵送してもらえます。
ひとり親家庭が自立できる制度を活用しよう
児童扶養手当は、1人親が子どもを育てていくことができるように支給されています。制度を活用して、今より豊かな時間を過ごす親子が増えるといいですね。
まとめ
最後に児童扶養手当は、
・児童手当(子ども手当)と別枠で支給される
・受給にあたって税金がかからない(非課税)
・所得や家庭状況などをもとに審査が行われる
・受給決定まで3ヶ月から4ヶ月の期間が必要
・1人目の児童に対して満額だと4万2910円が支給される
・所得に応じて1万120円〜4万2900円まで支給額が変動する
・年に6回(2ヶ月に1度)支給される
・手当の継続支給を希望する場合は「現況届」を提出する
・手続きの際は児童扶養手当証書が必要
・もし証書を紛失(破損)してしまった場合でも再発行できる
《参考HP》
※神戸市HP「児童扶養手当」
※厚生労働省HP「児童扶養手当について」
執筆者:中西雅也
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属