更新日: 2020.07.03 その他暮らし

不動産売買や賃貸契約の「仲介手数料」について、最低限覚えておきたいこと

執筆者 : 高橋庸夫

不動産売買や賃貸契約の「仲介手数料」について、最低限覚えておきたいこと
不動産の売買や賃貸契約をする際に請求される「仲介手数料」。
 
果たしてこの仲介手数料は誰に支払うもので、金額設定に決まりがあるのでしょうか?
 
一般の方にとって、そんなに頻繁に経験することのない不動産売買や賃貸契約の際の予備知識として知っておきたいポイントを解説します。
 
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

仲介手数料とは?

仲介手数料とは、不動産の売買や賃貸契約が成立した際に、取引を仲介した不動産業者に対して支払う手数料のことをいいます。「媒介手数料」「媒介報酬」と呼ばれることもありますが、あくまでも売買契約や賃貸契約が成功した際の成功報酬となります。
 
不動産の取引については、物件価格が高額であることやさまざまな手続きを必要とすることなど、前提として専門的な知識やスキルが必要となります。そのため、多くの場合は不動産業者に属する宅地建物取引士(宅建士)が仲介業務を担うことになります。
 
例えば、不動産売買においては、
売主側・・・物件の査定、調査、販売のための広告など
買主側・・・物件の紹介、住宅ローンの申し込みなど
その他にも、売買契約書や重要事項説明書の作成や説明など、さまざまな業務があり、それに対する人件費や費用が掛かることになります。これらの費用に対する不動産業者への報酬が仲介手数料となります。
 

取引態様とは?

不動産取引の取引態様とは「当該物件に関する不動産業者の立場」のことをいいます。
取引態様については、宅地建物取引業法に物件の広告やチラシなどに取引態様の別を明示する義務があることとされているため、物件ごとに確認することができます。
 
取引態様には、売主、貸主、代理、仲介の4つがあります。売主と貸主は、不動産業者自らが所有者であるため、仲介手数料は掛かりません。代理は、売主から代理権を得て不動産会社などが売主に代わって契約をするケースです。仲介の場合には、前述のとおり、不動産会社のへの報酬として仲介手数料を支払うことになります。
 

両手取引、片手取引とは?

不動産取引の仲介には、不動産業者が1社の場合もあれば、2社など複数の場合もあります。例えば、売主と買主の双方に不動産業者が仲介している場合があります。
 
不動産業者1社が仲介し、取引が成立した場合に売主と買主の両方から仲介手数料をもらうことを「両手取引」といいます。不動産業者にとっては最もおいしい取引といえます。その一方、売主と買主の双方に不動産業者が仲介している場合は、それぞれ片方から仲介手数料をもらう「片手取引」となります。
 

仲介手数料の金額に決まりはあるの?

仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法にその「上限額」が以下のような計算式で定められています。
 
【物件価格に対する仲介手数料の上限額】
200万円以下の金額に対して、仲介手数料率5%
200万円を超え400万円以下の金額に対して、仲介手数料率4%
400万円を超える金額に対して、仲介手数料率3%
※物件価格と仲介手数料は消費税等相当額を含まない額
 
400万円超の場合の簡便的な計算方法としては、「物件価格×3%+6万円」で計算できます。計算結果は当然上記の場合と同じになります。そして、仲介手数料には消費税がプラスされます。また、賃貸契約の場合の仲介手数料については、不動産業者が受け取ることができる上限額として「賃料の1ヶ月分以内」との定めがあります。
 

まとめ

不動産取引の仲介手数料については、以上の点を最低限覚えておくとよいでしょう。
 
例えば、3000万円の不動産を購入した場合の仲介手数料は、消費税込みで105万6000円となります。
 
「えー、そんなに」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。これまで述べてきた仲介手数料はあくまでも法律に定める上限額であって、それ以上の金額の場合には違法となります。逆に、不動産業者によっては値引きできる可能性もあり得ます。ここでは値引き交渉のノウハウなどについては割愛しますが、そのような位置づけであることだけは覚えておいてください。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー


 

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