仲介手数料を節約したくて買主と直接契約したら仲介業者から仲介手数料を請求された!

配信日: 2019.05.15 更新日: 2019.06.13

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仲介手数料を節約したくて買主と直接契約したら仲介業者から仲介手数料を請求された!
不動産業者を通じて土地や建物の売買を行うと、一定の仲介(媒介)手数料が発生することがあります。不動産は高額で売買されることも多く、仲介手数料の額も高額になりがちです。
 
契約が途中まで進んでいたにもかかわらず、高額な仲介手数料に驚き、仲介業者を排除し、売主と買主とが直接取引してしまうケースも見られます。しかし、そのような場合、トラブルに発展するおそれがあります。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

高額な手数料を節約したい!

Aさんは手持ちの土地を売却するため、とある不動産屋さんに仲介を依頼しました。そして、土地の売却が成立した際は、売買価格を参考にした仲介手数料をAさんから不動産屋さんへ支払うという仲介契約をしました。
 
その後、不動産屋さんの仲介により、Bさんという買い手が見つかりました。しかし、高額な仲介手数料を節約するため、AさんはBさんとの売買契約が成立する直前、不動産屋さんに「土地の売却を取り下げます」と言い、Bさんとの取引を中止しました。
 
その後、AさんはすぐにBさんと連絡を取り、不動産屋さんを通さず、直接Bさんに土地を売却しました。後日事実を知った不動産屋さんは、Aさんに対して次のような理由で仲介手数料の支払いを請求してきました。
 
「あなたがBさんに土地を売却することができたのは私の仲介行為があったからです。通常であればそのまま契約は成立し、私はあなたから仲介手数料を受け取れたはずです」
 
Aさんは土地を売却した時点で、不動産屋さんを通さず直接Bさんと取引していましたが、仲介手数料を支払わなければならないのでしょうか。 
 

Aさんは仲介手数料を払わなければならない可能性があります

今回の事例におけるAさんは、不動産屋さんに対し仲介手数料を支払わなければならない可能性があります。なぜなら、民法には次のような条文が存在するからです。

民法130条
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

 
上記条文は、「(1)一定の条件が成立することによって(2)不利益を受ける人が(3)条件が成立しないよう妨げたとき(4)相手はその条件が成立したとみなすことができる」ということです。
 
今回、Aさんは仲介料を払いたくないがために、不動産屋さんによる仲介が成立しないよう不動産屋さんとの契約を解除し、直接Bさんと契約しました。それを民法130条に当てはめて考えてみましょう。
 
(1)不動産屋さんの仲介による売買契約成立という条件が揃うことで
(2)Aさんは仲介手数料を支払う約束をした
(3)しかし、仲介による売買契約が成立しないよう不動産屋さんとの仲介契約を解除し直接Bさんと取引した
(4)不動産屋さんは仲介契約が成立したものとみなすことができ、Aさんは仲介手数料を支払わなければならない
 
となるのです。 
 

故意に条件の成就を妨げたとまでは言えないときは?

基本的に契約は当事者の意思の合致により成立します。
 
仮に不動産屋さんが仲介をしても、AさんとBさんとの間で合意を得られず、一度取引が流れてしまうこともあるでしょう。その後、一定期間経ってから、偶然AさんとBさんとが再会し、売買契約成立に至ったらどうでしょうか。
 
この場合、故意に条件が成就しないよう妨げられたとまでは言えないため、仲介手数料を支払う必要はないと思えるかもしれません。
 
しかし、仲介行為と売買契約成立の時期が近いなど、個別具体的な事情によっては、仲介行為と売買契約の成立に一定の因果関係があると判断され、仲介手数料を支払わなければならない可能性もあります。
 
不動産業者の仲介により不動産の売買を行う場合、仲介手数料については契約に則り、誠実に対応するようにしてください。
 
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
 

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