都道府県別の生活保護率って?最も高い県はどこなのか
配信日: 2020.07.06
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
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生活保護を受けている人数は東京都が圧倒的に多い
2018年に全国で生活保護を受けている世帯は約164万世帯、人数では約210万人です。ただ、あまりにも数が大きくてイメージが湧かないので、人数を都道府県別に調べてみました。
下記のグラフは厚生労働省『平成30年度被保護者調査』から、2018年に生活保護を受けていた1カ月平均の被保護実人員を都道府県別に分けて表したものです。全都道府県の人数を合計すると210万人になります。
グラフをひと目見てわかるように、人数では東京都が圧倒的に多いです。被保護実人員の多い順に東京都(27万9078人)、大阪府(6万8135人)、北海道(6万3608人)、埼玉県(5万7110人)となっています。逆に少ないのは富山県(1669人)、石川県(3013人)、島根県(3019人)、鳥取県(4089人)の順になっています。東京都と富山県では27万7409人の差があり、東京都は富山県の実に167倍もの人数になっています。
傾向としては大都市のある都道府県が多くなっていますが、都道府県ごとに人口が違うので、1400万人近い人口の東京都が被保護実人員でも多くなるのは仕方ないことです。
保護率は北海道が高く富山県が低い
次のグラフでは、被保護実人員を人口に対する割合で確認してみました。保護率は推計人口(2018年10月1日現在)に対する1カ月平均の被保護実人員で割っており、表記の単位は‰(パーミル)で人口1000人あたりの人数です。
最も保護率が高いのは北海道(23.4‰)で、2番目が大阪府(22.9‰)、3番目が青森県(22.0‰)、4番目が沖縄県(21.7‰)となっています。逆に保護率が低いのは富山県(2.6‰)で、以下、岐阜県(3.3‰)、石川県(4.4‰)、長野県(4.6‰)となっています。
保護率が低いほうは北陸地方近辺に集中しているので、この地域は生活に困りにくい基盤が他よりも整っているのではないでしょうか。保護率が高いほうは北と南と中心地なので、気候等の地理的な要因ではなく、その地域固有の要因がありそうです。
ちなみに主要都市(東京23区は含まず)の保護率を確認してみると、保護率が高い都市は大阪市(51.1‰)、函館市(45.7‰)、尼崎市(40.3‰)等、低い都市は富山市(4.7‰)、岡崎市(5.2‰)、豊田市(5.5‰)等となっています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、これから保護率が上がるかもしれません。生活保護を受けることになった理由はさまざまであり、保護率を下げることは簡単ではないでしょうが、都道府県によって保護率に大きな違いがあるので、良い取り組みがあれば広がっていってほしいものです。
生活保護制度は、生活に困っている人の頼りになる必要不可欠な制度です。ただ、税金を活用している以上は納税者の納得できる運営が重要です。多くの人が生活保護制度のことを知り、状況を理解し、本当に困っている人に対して優しく手を差し伸べてほしいものです。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者