障害がある子の手当や年金についてFPが解説
配信日: 2021.03.21 更新日: 2021.05.12
しかし公的制度により、各種手当を受給できる場合があります。どんな制度があるのか確認をして、必要な手当をしっかり受けられるようにしましょう。
執筆者:松木優子(まつき ゆうこ)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。
来店型保険ショップ元コンサルタント。首都圏郊外の地域密着店や、都市部の富裕層が多い店舗で、年間約150組のお客様のコンサルタントを担当。
監修:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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特別児童扶養手当
対象:20歳未満で、精神または身体に障害のあるお子さんを育てている父母などに支給されます。対象に該当する障害の目安は下記のとおりです。
●身体障害者手帳1級、2級、3級程度、下肢4級程度の一部
●愛の手帳1度、2度、3度程度
●長期安静が必要な疾病、精神障害により日常生活に大きな制限を受けている
ただし、お子さんが施設などに入所している、当該障害を理由として公的年金を受給している、お子さんまたは受給者(父母など)が日本国外に住んでいる場合は支給されません。
所得制限:本人もしくは配偶者か扶養義務者の前年の課税所得から、各種控除額を引いた金額が下記表以上の場合、手当は支給されません。
※各種控除については、お住まいの市区町村にご確認ください。
扶養親族の数 | 本人 | 配偶者および扶養義務者 |
---|---|---|
0人 | 459万6000円 | 628万7000円 |
1人 | 497万6000円 | 653万6000円 |
2人 | 535万6000円 | 674万9000円 |
3人 | 573万6000円 | 696万2000円 |
4人 | 611万6000円 | 717万5000円 |
※板橋区 「児童の手当(所得制限・控除一覧)」より筆者作成
支給月額:支給対象となる障害の程度を特別児童扶養手当の障害程度基準表と照合し、1級または2級に振り分けられます。各級の支給額は次のとおりです。
●1級5万2500円
●2級3万4970円
申請日の翌月分から預金口座に振り込まれます。振り込みは4月(12~3月分)・8月(4~7月分)・11月(8~11月分)の年3回です。受給開始後は、受給を継続できるか所得状況届(現況届)を毎年提出します。
障害児福祉手当
対象:20歳未満で、精神または身体に障害のあるお子さん本人に支給されます。該当する障害の目安は下記のとおりです。
●身体障害者手帳1級程度、2級の一部
●愛の手帳1度、2度程度
●上記と同等の疾病や精神障害
特別児童扶養手当と併せて受給できますが、障害の条件は障害児福祉手当の方が少し厳しいです。なお、お子さん本人が施設などに入所している、当該障害を理由として公的年金を受給している場合、手当は支給されません。
所得制限:本人もしくは配偶者か扶養義務者の前年の課税所得から、各種控除額を引いた金額が下記表以上の場合、手当は支給されません。
※各種控除については、お住まいの市区町村にご確認ください。
扶養親族の数 | 本人 | 配偶者および扶養義務者 |
---|---|---|
0人 | 360万4000円 | 628万7000円 |
1人 | 398万4000円 | 653万6000円 |
2人 | 436万4000円 | 674万9000円 |
3人 | 474万4000円 | 696万2000円 |
4人 | 512万4000円 | 717万5000円 |
5人 | 550万4000円 | 738万8000円 |
※板橋区 「障がい者手当の所得限度額」より筆者作成
支給月額:一律1万4880円で、申請日の翌月分から預金口座に振り込まれます。振り込みは2月(11~1月分)・5月(2~4月分)・8月(5~7月分)・11月(8~10月分)の年4回です。受給開始後は、受給を継続できるか所得状況届(現況届)を毎年提出します。
都道府県や市区町村ごとの手当
特別児童扶養手当と障害児福祉手当は国の制度ですが、これとは別に都道府県や市区町村が独自に設けている手当もあります。
例えば東京都は、都内に住所があり、20歳未満の心身障害児を扶養している父母などに「児童育成手当(障害手当)」として月額1万5500円を支給しているほか、常時複雑な配慮を必要とする重度知的障害などがある方に月額6万円の「東京都重度心身障害者手当」を用意しています。
また、茨城県では20歳未満の心身障害児を養育している父母などに、在宅介護の経済的援助を図るため「在宅障害児福祉手当」(月額3000円)を支給しています。こうした手当の詳細については、お住まいの自治体の子育て支援や福祉の窓口に問い合わせることをおすすめします。
障害基礎年金
対象:20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入する義務があります。しかし20歳未満で障害を負った場合、成人後の就業や年金保険料の納付が難しい方もいるでしょう。そのため、20歳時点で国民年金法で定められた障害等級1級または2級に認定されていると、保険料免除と同時に、20歳以降で障害基礎年金の支給が受けられます。
支給月額:障害等級1級:8万1427円(年額97万7125円)、障害等級2級:6万5141円(年額78万1700円)。
所得制限:年金保険料の納付が免除されているため、支給の際は所得制限が設けられています。
●所得による支給制限(障害等級2級の例)
前年の本人所得額 | 支給内容 | 支給額(年額) |
---|---|---|
462万1000円超 | 全額停止 | ― |
360万4001円~462万1000円 | 2分の1停止 | 39万850円 |
360万4000円以下 | 全額支給 | 78万1700円 |
※日本年金機構 「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」より筆者作成
※扶養親族がいる場合、親族1人につき38万円または48万円が制限額に加算されます。
※20歳を過ぎて就職し、厚生年金に加入した場合、厚生年金保険料は納めます。
今回ご紹介した手当以外にも医療費の助成や、独自の年金積立制度などを設けている自治体もあります。教育や生活支援も含めて、必要なサポートを受けられるよう、まずは自治体の窓口に問い合わせてみましょう。
出典・参考
板橋区 「特別児童扶養手当」
板橋区 「児童の手当(所得制限・控除一覧)」
板橋区 「障害児福祉手当(国制度)」
板橋区 「障がい者手当の所得限度額」
福ナビ とうきょう福祉ナビゲーション 「障害者(児)のための手当」
茨城県 「在宅障害児福祉手当」
日本年金機構 「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。
監修:FINANCIAL FIELD編集部