更新日: 2021.04.07 その他暮らし

パート・アルバイトのシフト減…そんなときに申請したい「休業支援金」とは?

執筆者 : 當舎緑

パート・アルバイトのシフト減…そんなときに申請したい「休業支援金」とは?
2020年の定額給付金に始まって、企業や個人事業に対して持続化給付金、休業支援、雇用調整助成金など、さまざまな経済支援は行われてきましたが、貯蓄が増加している方がいる一方、パートや非正規社員など、苦しい経済状態が続いている方がいるという二極化が進んでいます。
 
そんなパート・アルバイトなどを支援する「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」が昨年夏に創設されましたが、まだまだ周知されていないようです。今回は、この休業支援金についてお話ししましょう。
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

「勤務できず、給料が減った!」そんなときには申請することを考えよう

労働者の雇用を維持するために企業に支給されている雇用調整助成金や雇用安定助成金は、企業が労働者に休業を支持し、その休業日に対して休業手当を支払うことが要件です。労働者にとっては、勤務先が休業手当を支払ってくれ、それを助成金として受け取ることができれば、通常の給与と同様にお金が受け取れ、生活の不安もなかったでしょう。
 
ただ、もともと雇用調整助成金等にはさまざまな要件がありました。2020年以降、支給要件がかなり緩和され、時短休業や出向にも対応できるなど、特例に特例を重ね、これまでの助成金等の申請を考えれば、かなり申請しやすいものになっているのは事実です。
 
ただし、所定労働日が雇用契約ではっきりしていない場合、この「休業日」を特定するというのは、困難な場合があります。
 
また、パートやアルバイトなど、「働けるときに働く」もしくは「扶養範囲で働きたい」など、不規則なシフトであれば、正式な雇用契約書を作成していないことも少なくないというのが、助成金を利用することの難しさとなっていました。このような事情から、勤務先でなく、労働者本人が、直接申請ができるという「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「休業支援金」)が創設されました。
 
この休業支援金は、2020年4月に遡及して支払われていましたが、令和2年10月分から12月分は令和3年3月31日まで、令和3年1月分から2月分は令和3年5月31日まで申請可能です。もし、勤務先から休業手当を支払ってもらっていないときには、すぐに申請を考えたいものです。
 

申請するための方法とは

申請はどうやって申請するのかをご紹介しましょう。確認するのは、「勤め先」が申請してくれるのか、それとも「労働者」本人が申請するのかです。
 
申請に必要なものは、
 

(1)支給申請書
(2)免許証などの本人確認の写し
(3)振込先の口座が分かるもの
(4)休業前と休業期間中の賃金が確認できる書類

 
ただし、支給申請書の形式が会社か労働者のどちらが申請するかで異なります。申請方法は、郵送できますが電子申請も可能です。電話での問い合わせも可能です。
 
■厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター
0120-221-276 月~金8:30-20:00 土日祝8:30-17:15

 
パート、アルバイトの場合、まずは「給与明細」があるかどうか調べましょう。パート、アルバイトなど、何の保険にも加入していなければ、給料の総額と手取りは同じですから、保管をしていないこともあるでしょう。
 
給付される金額は、休業前の1日当たり平均賃金の80%です。給与明細がなければ申請はできませんので、勤務先に給与明細を発行してもらうという手間が必要になるでしょう。
 

休業支援金を請求するメリットは大きい

本来は、勤務先が、労働者に休業手当を支払い、助成金を申請すればシンプルな話でしたが、雇用調整などの助成金も特例に特例を重ねたものの、申請書類が非常に分かりにくかったり、緩和された後も電子申請の不具合があったりと、企業に支給される助成金がすべての労働者をカバーできたわけではありません。だからこそ、今回請求できる休業支援金が役立つわけです。
 
支援金は、日々雇用やシフト制の方も対象ですし、6ヶ月以上の間、原則として月4日以上の勤務がある労働者でも対象になるということで、かなり対象者が幅広くなっています。給付のもととなる平均賃金は、原則として、過去6ヶ月のうち任意の3ヶ月分の賃金を90で除して算定します。任意の給料を選択できるため、より有利な給付金額にできます。
 
ただ、協力的な事業主ばかりではありません。「事業主が協力してくれない場合、個人からのみの申請は可能でしょうか。」というQ&Aが厚生労働省のホームページで、以下のように回答されています。
 

■労働者の雇用、賃金支払いの事実や休業させていることの事実については、労働者からの申し出のみで判断することは適当ではなく、この点について最低限事業主からの確認が必要です。仮に労働者が事業主に申し出たにもかかわらず、事業主が支給要件確認書への記載を拒むようなケースが生じた場合は、支給要件確認書の「事業主記入欄」の「事業主名」の部分に、事業主の協力が得られない旨を、事業主の主張その他関連する事情とともに記載の上、申請してください。その場合、労働局から事業主に対して報告を求めます。この場合は、事業主から回答があるまでは審査ができないこととなり、その分申請から支給までに時間を要しますのであらかじめご承知おきください。
(※ここまで、厚生労働省のホームページから抜粋)

 
休業支援金を申請することで勤め先に迷惑がかかるということはありませんし、解雇など不当な取り扱いをすることは、労働法各法で禁止されています。弱い立場ということで、遠慮することも多いかもしれませんが、この支援金は、通常雇用保険でカバーされない、学生など対象者も広くなっており、本来であれば、もっと多くの労働者が請求できる支援金です。もっと周知をすべき給付金といえるでしょう。
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
 

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